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好きな人の恋人役になったらいつの間にか囚われていました  作者: Karamimi
本編

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アジトに突入しアンネリカを救い出せ~ディラン視点~

「おい、もっとスピードを上げろ!」


窓から御者に向かい叫ぶ。こうやって移動している間も、アンネリカが酷い事をされているかもしれない、そう思うと居ても立っても居られないのだ。


その時、王太子から通信が入った。


“ディラン、カサンドラに付けていた護衛騎士に連絡したら、既に公爵家に帰っているとの事だ。あの女も、どうやら早退した様だ”


「なんだって!それでカサンドラは公爵家にまだ居るのか?」


“そこは分からない!公爵家は警備が厳重で、出入り口もいくつかある。正直、公爵家に入ってしまうと、カサンドラの動向は分からないんだ”


「グレイソン、なぜカサンドラに位置情報が分かる宝石を身に付けさせないんだ!そうすれば、カサンドラの動向なんて簡単にわかるだろう!」


怒りに身を任せ、つい怒鳴ってしまった。まさか、こいつがここまで無能だとは思わなかった。



“僕だって何度かカサンドラに付けさせようとしたさ。でもあの女、なぜか見せびらかす時以外は、宝石を身に着けないんだよ。どうやら、コレクションにして楽しんでいる様なんだ”


クソ、なんて女だ!


“とにかく、そう言う事だからよろしく”


そう言い捨てると、通信が切れた。増々アンネリカが心配だ。とにかく早く父上に報告して、アンネリカの元へ向かわないと!




通信が切れると同時くらいに、公爵家に到着した。

急いで馬車を降り、父上の元に向かう。



「父上、大変です!アンネリカが誘拐されました!」


執務室で父上の専属執事と会話をしていたところに、俺は乗り込んだ。


「何だって!どういう事だ、ディラン!」


いつも冷静な父上が立ち上がり、珍しく動揺している。


「どうやらカサンドラに誘拐されたようです。王太子の話では、アンネリカが売買に使われる可能性が高いという事で、今すぐ護衛騎士を連れてアンネリカを救出に行きます」


「なるほど、お前が一度ここに戻ってきたという事は、アジトを見つけ出し、キャンベル公爵家を叩き潰す為という訳か!わかった。それで今、アンネリカ嬢はどこに居るんだ?」



そうだ、アンネリカの居場所を示す機械だ!執務室を一度出て、自室へ向かい機械を手に取る。念の為、本体の他にスペアを3つ作っておいたのだ。


スペアを持って急いで執務室へと戻った。


「父上、今アンネリカは東へ向かっている様です」


父上にスペアの1つを渡した。


「なるほど、東の街にスパイを数名派遣している。その者たちに、アンネリカ嬢の後を追わせよう。その方が早い」


「ありがとうございます。父上」


よし、これでアンネリカの方は大丈夫だ。俺もすぐにアンネリカを追おう。そう思った時、王太子から通信が入った。


“ディラン、とりあえず父上に許可は取った。うちからは第1騎士団が派遣されることになったよ。今からすぐにフローレス嬢の後を追っている騎士に連絡を取りつつ、フローレス嬢の元へ向かうよ”



「わかりました。俺もすぐに向かいます」


第1騎士団が派遣されるなら心強い。とにかく俺も急いでアンネリカの元へ向かわないと!


「ディランは随分グレイソンと仲良くなったみたいだな。向こうが騎士団を動かすなら、家はそんなに多くの騎士を準備する必要はなさそうだな。それなら、家からはスパイ活動に優れた、特殊部隊を派遣しよう」


「ありがとうございます。早速行ってきます」


「まて、ディラン。私はここから指揮を取る。何が起こるか分からないから、通信機を持って行け。これがあれば、私や特殊部隊、先に向かっているスパイとも連絡が取れる」


父上から通信機を受け取り、急いで馬車に乗り込んでアンネリカの後を追う。本来であれば、馬で急いで行きたいところだが、帰る時アンネリカを乗せる事を考えると、やはり馬車の方がいい。


ただし、公爵家の家紋の付いた馬車ではいくら何でも目立ちすぎる。スパイ活動でも使われる、一般的な馬車で出発した。



「坊ちゃま、あまり機械ばかり見ていては、馬車酔いを起します。私が御者に方向を指示いたしますので、少し景色をご覧になっていてください」


俺があまりにも機械ばかり見ている為、隣に乗っていた俺専属の執事が心配した様だ。でも、今はこれを見ていないと落ち着かない。それにしても、どこまで行くつもりだ!随分と東の方まで来ているようだが…


馬車を走らせて2時間が経過した頃、アンネリカの動きが止まった。どうやら、目的地に着いたようだ。


早速父上から通信が入る。


“ディラン、やはりアンネリカ嬢は人身売買のアジトに連れてこられたようだ。ちょうど東に居た家のスパイが、うまくアジトに潜入できたようだ。それにしてもスパイの話だと、沢山ある物流の倉庫の1つにアジトはあるらしい。さらにアジトの入り口は、パレットで隠されている為、かなりわかりづらい様だ。多分お前では探せないだろうから、倉庫に着いたらスパイに連絡を入れろ”



「わかりました、父上」



なるほど、それにしても、よくそんな場所にアジトを作ったものだ。家の優秀なスパイが血眼になって探しても見つからない訳だな。


俺はすぐに王太子にも報告した。あまり大勢でアジトまで行くと敵に怪しまれるという事で、近くで落ち合う事にした。もちろん、その事をスパイにも話しておく。よりスムーズに事を運ばせるためだ。


その後、一気にアジトを攻める作戦で行く事になった。



馬車に揺られる事約3時間、やっと王太子との集合場所に着いた。既に王太子と、先に潜入していた公爵家のスパイも来ていた。


「やっと来たね、ディラン。君の家のスパイの話によると、入り口は全部で4ヶ所有るらしい。それぞれに騎士団を配備させよう。さらにアジトのある倉庫を中心に、半径1kmの場所に検問も設けた。騎士団長と僕、ディラン、一部の騎士は正面から突入だ。とにかく1人も逃がすな!徹底的に捕まえよう」


「もちろんだ。そんな事よりグレイソン、アンネリカが心配だ。とにかく急ごう」


我が家のスパイの誘導で、アジトの入り口までやって来た。他の騎士たちもそれぞれの場所に配備されている。


「いよいよですね。王太子殿下とファイザバード公爵令息は私の後ろを付いて来てください。何が起きるかわかりませんから」


第1騎士団長を先頭に、一気にアジトへと潜入した。



「なんだお前ら!」


組織の人間だろう。何人かが俺たちを見て逃げようとしている。


「あいつらを捕まえろ」


団長の指示で騎士団員たちが次々に捕まえていく。どんどん奥に進むと、売られる予定の人間たちが牢に入れられている場所を発見した。


「アンネリカ!アンネリカ!」


牢の通路を走りながら叫ぶが、返事はない。


「ディラン、どうやらここにはいないようだ。フローレス嬢の居場所を示す機械も、少しずれた位置をさしているし」


興奮しすぎて、機械でアンネリカの位置を確認するのを忘れていた。確かにグレイソンの言う通り、ここじゃない!


「グレイソン、俺はアンネリカを探してくる。お前は騎士団長とこのまま進んでくれ」


機械の示している場所を頼りに、アンネリカを探す。


「坊ちゃま、ここの様です」


俺と一緒に付いて来ていた執事が、ある部屋を指さした。確かに機械もここを指している。


「よし、行くぞ」


勢いよくドアを蹴飛ばし、中へと入った。


「アンネリカ!大丈夫か?」


しかし、中に居たのは、見るからに悪そうな男だ。


「おい、貴様!アンネリカをどこに隠した?」


念のため持ってきた剣を抜き、男に突き付けた。


「ひ~~~、お許しを!ここには私しかおりません」


「嘘を付くな!アンネリカが居るはずだ。ピンクの髪にエメラルドグリーンの瞳をした女性だ!」


喉元に剣を付きつけ、さらに問い詰める。


「あの女なら、エフェタリア王国に売る為、荷台で運ばれているはずです。ここにはおりません」


「エフェタリア王国だと!」


エフェタリア王国と言えば、人身売買が盛んな国だ。あんな国に連れて行かれたら面倒だ。でも、なぜ機械はここを示していたんだ?



「坊ちゃま、ここにアンネリカ様の上着があります」


「何だって!」


だからここを示していたのか!大変だ!俺はすぐにグレイソンに通信する。



「グレイソン、大変だ!アンネリカがエフェタリア王国に連れて行かれた。とにかく、検問を封鎖してくれ。急げ」


とにかくグレイソンに指示を出したが、アンネリカがここに着いたのはもう随分前だ。ここからエフェタリア王国との国境まで、約2時間。間に合うのか?


このままアンネリカを失ってしまうかもしれない。クソ、こんな事ならグレイソンンのいう事など無視して、さっさと助けにこれば良かった!



「坊ちゃま、落ち込んでいる場合ではありません。公爵家のスパイがアンネリカ様を尾行しているはずです。とにかく、スパイたちに通信を入れてみましょう」


確かに執事の言う通りだ。家の優秀なスパイなら、間違いなくアンネリカの近くに居るはずだ。


急いで通信を繋ぐ。


「アンネリカの居場所を知っている者は、今すぐ応答しろ」


“坊ちゃまですか?今アンネリカ様を尾行しております。どうやら、エフェタリア王国に向かっている模様です”


やっぱりそうか。


「まだエフェタリア王国の国境は超えていないのだな?良かった。グレイソンには検問を封鎖するように伝えてあるが、万が一間に合わない場合は、何とかして足止めしろ。俺も今から急いでそっちに向かう」


“かしこまりました”


よし、とにかくアンネリカはまだ国境を超えていない。急いでアンネリカを助けに行こう。


「お前は馬車で国境を目指せ。俺は早馬で向かう」


執事に指示を出し、急いでアジトの外へと向かう。


「なぜ私が馬車なのですか?坊ちゃまが馬車にお乗りください」


「俺は一刻も早くアンネリカの元に向かいたいんだ!とにかくお前は馬車だ」


「承知いたしました」


出口に向かう途中、逃げ惑う組織の人間を次々に捕まえていく騎士団の姿が目に入った。まさに戦場だ!


外に出ると、騎士団が乗って来たであろう馬を1匹拝借し、急いで国境に向けて馬を走らせる。


アンネリカ、待っていてくれ!今助けに行くから!



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