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好きな人の恋人役になったらいつの間にか囚われていました  作者: Karamimi
本編

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アンネリカが連れ去られてしまった!~ディラン視点~

王太子にカサンドラの家を調べると約束してから、早速父上と一緒に公爵家に付いて調べ始めた。


さすが悪名高いキャンベル公爵家、面白いほどに悪事の証拠が挙がって来る。



「ディラン、この家は随分と色々とやらかしているね。人身売買だけでなく、横領・脱税の証拠まで出て来たよ」


「そうですね。でも父上、人身売買をしていたと言う決定的な証拠がまだ見つかっていない様です」


そう、売買を行っていた記録だ。この記録が無ければ、裁判になった時に勝てない。


「そうだね、今調べさせているところだが、中々見つからなくてね。人身売買を行っているアジトに置いてあるはずなんだが、そこが中々見つからないんだよ」


困った顔の父上。でもまだ時間はある、ギリギリまで調べよう。


「それと、横領や脱税の証拠ですが、この資料ではいささか不十分です。もっと徹底的に調べ上げましょう」


中途半端に潰しても仕方がない。やるなら徹底的にやるべきだ!


「さすが我が息子だ。今入念に調べさせているところだ。こっちは問題なく裁けそうだね」


横領と脱税だけでは、公爵家を潰すことは出来ない。せいぜい罰金刑だ。とにかく、人身売買の証拠を探さないと。


ファイザバード家の名に懸け、懸命に調査を進めたが、結局未だに人身売買を行っているアジトについては見つかっていない。クソ、卒業式は明後日だ。何とかしなければ!



そんな時、王太子から呼び出された。


「ディラン、少し話がしたいんだ。昼食が終わったら、僕の部屋に来てくれるかい?」


貴族学院には王族専用の部屋が準備されている。クソ、アンネリカと学院で過ごせる貴重な時間を!まあ、卒業したらずっと一緒に居られるのだから、仕方がない。王太子に付き合ってやるか。



昼休み、いつもの様にアンネリカと食事を楽しんでいたのだが、なんだか最近元気がない。もしかして、友人の男が居なくなったから、まだ寂しいのか?あの男を隣国に送ってしばらくは元気がなかったからな。


やっぱり、アンネリカはあの男が好きだったのかもしれない!クソ、考えただけで腹が立つ。


そう思いつつも、俺はこれから王太子の元に向かわなくてはいけない。


アンネリカには

「今からちょっと用事があるから」

と伝え、早めに教室に送り届けた。


本当であれば、1秒だって離れたくない。でも、今はカサンドラの家をどうするかの方が大切だ。イライラを抑えつつ、王太子の待つ部屋へと向かう。




「やあ、ディラン。よく来てくれたね」

既にあらかじめ送っておいた資料に目を通していた王太子がこちらを向く。


「この短期間で、本当によく調べてくれたね」


嬉しそうに笑う王太子。


「しかし、まだ人身売買の徹底的な証拠が見つかっていません」


そうだ、人身売買の証拠が無ければ、カサンドラを地獄に突き落とすことが出来ない!


「とりあえず横領と脱税だけでも、十分キャンベル公爵家にダメージを与えられるよ。これで婚約は一旦白紙に戻せそうだ。でも、やっぱりカサンドラには地獄を見てもらいたいね。引き続き調査を頼むよ」


アンネリカを傷つけられた俺がカサンドラに対し怒るのは分かるが、なぜ王太子までカサンドラを地獄に落としたいんだ?


「王太子、カサンドラに何かされたのですか?」


ふと疑問に思った事を聞いてみた。


「何かされただって?僕の大切なフ(・)ワ(・)をあの女は殺したんだ!」


「フワ?」


「そうだ!子供の頃に飼っていた犬だよ。フワフワだったからフワ」


そう言えばこの男、動物好きだったな。それにしても、フワフワだからフワって、ネーミングセンスなさすぎだろ…


「フワはね、物凄く人懐っこかったんだ。だから、カサンドラにも嬉しそうに飛びついた。それがどうやら気に入らなかったらしく、騎士に命じてこっそり殺したんだ!」


「王太子の飼い犬を殺すって、さすがにそれはマズイはずです!カサンドラは罪に問われなかったのですか?」


「父親でもある公爵がねじ伏せたんだよ。僕はあの日から、あの女が大っ嫌いなんだ。最近では、とにかく婚約破棄できればいいと思っていたけれど、まさか復讐できる日が来るなんてね。ディラン、本当に君には感謝しているよ。ありがとう」


嬉しそうに笑う王太子。

その時だった。アンネリカの護衛をしている騎士から通信が入った。


“ファイザバード公爵令息様、大変です!フローレス様が何者かに連れ去られました”


何だって!アンネリカが?


「きっとカサンドラの仕業だろう。あの女ならやりかねない」


隣で王太子が呟く。確かにカサンドラが一番怪しい。


「誰に連れ去られたんだ。何でお前はアンネリカが連れ去られるのを、黙って見ていたんだ!」


怒りに任せ、通信機に怒鳴りつけた。


“申し訳ございません。何かあればすぐに報告せよとの指示だったもので”


「ふざけるな!」


ただ見ているだけなら護衛騎士なんていらない!とにかくアンネリカだ!怒り狂う俺の隣で、王太子が冷静に騎士に話しかけた。


「とにかく君も、僕の部屋に至急来てくれ」


“かしこまりました。すぐに向かいます”


王太子と騎士がやり取りをしている横で、俺はアンネリカの居場所を探る為、機械を取り出した。どうやらまだ移動中の様で、居場所を示す赤い丸が移動している。


「ディラン僕の推測だが、きっとカサンドラの指示で誘拐されたんだ。多分だが、カサンドラはフローレス嬢を売り飛ばそうとしている。あの女は強欲だ。ただ殺すなんてもったいない事は絶対しないはず。うまくいけば、人身売買を行っているアジトにたどり着けるかもしれないぞ」




「ふざけるな!アンネリカを売るだって!そんなふざけた事、俺が絶対させない!とにかく、今からアンネリカを助けに行く!」


急いで部屋を出ようとしたところで、王太子に止められた。


「落ち着け!君1人で乗り込んで、どうやってフローレス嬢を助けるつもりだ。相手はキャンベル公爵の手の内にある、人身売買を行っている組織だぞ。下手をすると君まで捕まってしまうかもしれない」


「それならどうしろと言うんだ!」


「いいかい、カサンドラの性格からして、必ずフローレス嬢に会ってから売りに出されるはずだ。今はまだカサンドラは学院に居るはず。という事は、しばらくはフローレス嬢が売られることはない。とりあえず、その機械を騎士たちに渡して、先回りさせよう。もちろん、王宮からも応援の騎士を呼んでくる。そこで、一気に組織を捕まえるんだ」



「それはお前の推測だろ。もしのんびりしている間に、アンネリカの身に何かあったらどうするんだ!そもそもあの気性の荒いカサンドラの事だ。またアンネリカを傷つけるに決まっている!」


「ディラン、落ち着くんだ。フローレス嬢は商(・)品(・)だ。いくらカサンドラでも、商品を傷つけはしないよ。それにフローレス嬢の元には、今から騎士たちを向かわせるから大丈夫だ。とにかく、せっかくアジトを突き止められるチャンスかもしれない。無駄には出来ない!」


クソ、アンネリカが商品だって!ふざけた事をぬかしやがって!

でも、王太子の言っている事は確かに正論だ…


「失礼します。殿下、お待たせいたしました」


アンネリカを警護していた騎士が入ってきた。お前がしっかりアンネリカを守っていれば、こんな事にはならなかったのに!怒りが沸きあがるのを必死に抑えた。



「僕は一度王宮に戻って父上に話したのち、フローレス嬢が囚われている場所まで行くよ。ディラン、時間が無い。君はどうする?」


「今すぐにアンネリカを騎士たちが追ってくれるのですよね?ならば、俺も一度公爵家に戻り、父上に状況を話した後、すぐにアンネリカの元に向かいます。もちろん、公爵家からも選りすぐりの騎士を連れて行きます」


俺の言葉に納得したように頷く王太子。


「それじゃあ、この通信機で連絡を取り合おう」


王太子から通信機が渡された。


「わかりました。アンネリカの居場所を特定できる機械を渡しておきます。これを持って、すぐにアンネリカを追わせてください。俺は家にスペアがあるので、それを見て後を追います」



「わかった。おい、お前はこれを持ってすぐにフローレス嬢を追え。各自通信機は持っているな!何かあればすぐに連絡を入れろ!」


「「は!」」


アンネリカの護衛騎士と、王太子の護衛騎士それぞれに指示を出す。


「それじゃあ、僕は先生に早退する事を伝えてから行くよ。君の事も伝えておくから、先に公爵家に行ってくれて構わないよ」


「わかりました。よろしくお願いします」


学院の事は王太子に任せて、急いで校門へと向かう。アンネリカ、助けに行くのが遅くなってしまい、すまない。でも必ず助けるから、どうか無事でいてくれ!


そう願いつつ、猛スピードで馬車へと向かうディランであった。


実は王太子、事前にカサンドラがアンネリカに何かするという情報を、カサンドラ付きの護衛から仕入れていたのです。


もしかしたら人身売買のアジトを突き止められるかもしれないと思った王太子は、あえてアンネリカ付きの護衛騎士に、アンネリカが連れ去られても邪魔をしない様指示をだしました。



もちろん、そんな話ディランの耳に入ったら怒り狂うので、内緒にしていたのです。



ちなみに王太子はディランがアンネリカの居場所を特定できる事を知っています。


次回もディラン視点です。

今後、アンネリカ視点、ディラン視点が交互に続いていきます。

よろしくお願いいたしますm(__)m

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