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新入社員・田中君と新藤さん(短編連作)  作者: 遠藤 世羅須


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7/15

第6話(新藤美咲)「“ご自由にお取りください”の罠」

今回は新藤さんのターンです。

社会人と学生時代は文化の違いが大きいですよね。

今日はそんな社会的”常識”に関してのお話です。

休憩室のテーブルに、箱が置いてあった。

新藤美咲は、そこに書いてある文字をじっと見つめた。


「ご自由にお取りください」とだけ書かれていた。


午前中の疲労で極度に糖分を欲していた美咲の脳は、

仕事の色々な事を考えつつ、注意力も散漫になっていた。

そして、この言葉を文字通り『自由』と解釈した。


(学生時代も、こういうの皆好きなだけ取ってたし)


美咲は個包装を二つ取った。

そして、少し遠慮して……三つ目も、取った。


そこへ、見知らぬ営業の男性が入ってきた。

「あ、それ、僕が持ってきた差し入れなんです。良かったらどうぞ」

美咲は軽く会釈。

「ありがとうございます。あの、自由……ですよね……」

「え、自由……」

彼の視線が、美咲の手元で膨らんだ小山に落ちる。


背後からコーヒーを淹れに来た田中が、

手元に個包装を一つだけ持ちながら囁いた。

「新藤さん……“常識の範囲内で”って空気、ありますよ、それ」

見えない空気が美咲の首を締める。

挿絵(By みてみん)


美咲は慌てて言った。

「いえ、これは……席で配る係なので」

「配る係?」

「はい、部署の……士気向上の……」


営業男性は一瞬、目が袋の山に吸い寄せられた。

「あ……なるほど?」

美咲の顔は、袋菓子より赤くなった。


結局、美咲は手の中の小山を抱えて、部署の席を回った。

「どうぞ」と言うたびに顔が熱くなり、

最後に自席で一つ口に入れたときには、もう味がわからなかった。


“自由”は、”自由”じゃない。


(つづく)

私も、社会に出た時、今回のようなお土産(均一の中身ではないもの)を、一番最初に取って怒られた事がありました。遠慮せい!と。文化ギャップ、教えてくれる方がいれば良いのですけどねぇ。

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