表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第2話(新藤美咲)「“ご苦労さまです”の難易度」

田中君と新藤さん、新入社員として社会人スタート切りました。しかし、社会に出なければわからない事、知らない事がたくさんあるようです。少しのぞいてみましょう。

入社初日。新藤美咲は、笑顔の練習をしてきた。

“感じよく。丁寧に。過剰に萎縮しない。あと、敬語を間違えない。”


部署に通され、挨拶を終えたあと、席に案内された。

隣が同じ新入社員の田中厚太。

田中は背筋を定規のように伸ばし、

マウスを握る手に無駄な力が入っている。


午前中は、PCの設定と諸手続き。

先輩が来て言った。

「新藤さん、これ設定終わったらチャットで“完了です”って送って」

「はい、承知しました」

美咲はチャットを開いた。

宛先は、部署の全体チャンネル。

見守る人数が多いほど、文章は慎重になる。


そして美咲は、“社会人らしさ”を最大限に発揮しようとした。

(完了です、だと軽い。完了いたしました、だと堅い。

ここは丁寧さと、お疲れ様の気持ちの両立

——そうだ、先輩たちを労う一言を添えよう)


美咲は指を震わせながら送信ボタンを押した。

「設定、完了いたしました。ご苦労さまです」

送信。

画面が跳ねるように反応で埋まった。

チャット欄にスタンプが連打され、

既読の横に小さな笑いの絵文字が並んだ


そして課長から一言。

「新藤さん、“ご苦労さまです”は、こっちが言うやつだね」

美咲の胃がきゅっと縮んだ。

言ってしまった。やってしまった、

それは完全に上司のセリフだった!

全体チャンネルで、全員を労ってしまった。


美咲は慌てて訂正しようとして、さらに迷った。

画面を見つめる時間が長い。


迷っている間にも、田中が小声で言った。

「新藤さん、今の……すごい上司感ありました」

美咲は顔が熱くなるのを感じた。

「言わないで……」

追い打ちのように、先輩が通りがかって笑った。

「新藤さん、初日で部を労うのは、ちょっと早いかな」


美咲は小さく息を吐き、机に突っ伏したくなった。

そのとき、課長が続けてチャットを送ってきた。

「でも、気遣いはいいね。次は“完了しました”だけでOK」


美咲は椅子にもたれ、画面から目を離した。

そして、心の中だけで言い直した。

“ご苦労さまです”は——まだ、早い。

鏡がなくてもわかる。顔が赤い。


(第3話に続く)

挿絵(By みてみん)

新人の頃はとかく背伸びをしたいもの。そんな愛すべき2人の行く末を見守ってあげてくださいね。


大変申し訳ございません。

本話、遅れての投稿となってしまいました。

小説家になろうサイトのみ、次話が公開されています。

混乱させてしまい申し訳ございませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ