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新入社員・田中君と新藤さん(短編連作)  作者: 遠藤 世羅須


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28/30

第27話(田中厚太)「タンパク質を差し入れる男」

田中君です。

朝の新藤さんとの経緯が気になっています。

どうしますかね?

昼休み

田中は近くのコンビニに行く。


自分の昼食のためではない。

”引っかかっていたもの”を買うためだ。


お目当ての商品を購入し、急いで会社に戻る。


まだお昼休み時間なので、オフィスに人はまばらだった。


自分の席の隣で、新藤さんが昼食をとっている。

田中は自席に戻ると、意を決して

食事中の新藤さんに、買ってきた小さなレジ袋を渡す。


「あのー、これ、良かったら」


新藤さんが驚いたように目を丸くする。

「何ですか?」


「朝の会話が、少しだけ気になっていました」


袋の中を見て、一度田中の顔を見る。

そこには、コンビニの一個入り

「ゆで卵」が入っていた。

挿絵(By みてみん)


新藤さんは、”それ”を見ながら、しばしフリーズしている。


「あの、これ、どういう…、いえ、何故…」

しどろもどろの返答になっている。


「いや、怪しいものではありません。栄養、足した方がいいかと思って

 色々ご迷惑をお掛けしましたし、タンパク質になるかなと思いまして」


まだ目を見開いていた新藤さんだったが、

急に肩を震わせ、次にむせるように笑い出した。


田中は不安になり尋ねる。

「…おかしいですか?」


新藤さんは笑い涙を拭いながら答えた。

「ふふっ、ありがとうございます。

 お詫びにゆで卵をもらったの、人生で初めてだったので。

 別に迷惑なんてないですよ。お気遣いすみません」


田中は

「いえ、同期を気遣うのは同期の務めですから」

と自分でも何を言っているのかよくわからない。


田中は席に座るが、意味なくマウスを動かしたり、

机の上のペンの位置を変えたり、そわそわする。


やがて新藤さんが、お昼ご飯の締めにパックを開けた。

「では、ありがたく頂きます」

と言って、殻を机の角で叩いて割り、食べ始める。


田中は、それを見ながら、

ポツリと聞く。

「プロテインバーの方が良かったですか?」


新藤さんは、今度はやさしく言う。

「もう、お気遣いなく」


田中はしみじみ思う。

気遣いには、栄養以外の成分も必要らしい。


(つづく)


※ 

タンパク質補給が手軽に出来るのは

プロテインバーあたりでしょうか?

タンパク質のプレゼントは難しいですwww

田中君、そっちじゃない方向で(笑)


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