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新入社員・田中君と新藤さん(短編連作)  作者: 遠藤 世羅須


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17/19

第16話(新藤美咲)「電話の関所 “失礼します”」

新藤さん、電話がまだ恐怖です。

掛ける方はまで良い方ですけどね。

先方へ電話。美咲にとって、社外電話はまだ“恐怖”に近い。


深呼吸して、番号を押す。


「お世話になっております。○○社の新藤と申します」

言えた。奇跡的に噛まなかった。


用件も伝えられた。相手も理解してくれた。

最後は締めるだけ。


「それでは、よろしくお願いいたします。失礼いたします」


――のはずだった。



相手が言った。

「はい、よろしくお願いします」


その瞬間、美咲の脳が“会話終了”と判定してしまう。



「はい! ありがとうございます!」

言ってしまった。

しかも切らない。切るタイミングが分からない。


(『敬語とメールの基本』には『相手が切るまで待つ』とあった。

 でも相手も、こっちが切るのを待っている……!?)


相手も切らない。

受話器の向こうから、かすかな息遣いだけが聞こえる


二人の沈黙が電話を温める。

耳たぶが暖かくなってくる。



美咲は焦って、最後の一撃を放った。

「……失礼します! 今度こそ!」

そして勢いで切った。


受話器を置いた瞬間、顔が熱くなる。

隣の先輩が笑いながら新藤に言った。

「私も、最初の頃、予定通りにはいかなかったよ」


そして、笑顔で、

「“今度こそ”は言わなくても大丈夫だよ」



美咲は小さく頷いた。

言わなくていい言葉ほど、口から出てしまう。

挿絵(By みてみん)


(つづく)


電話は最初の関門ですね。

言葉遣いとかの言葉選び、間の取り方、

音声だけなので、難易度高いです。

一つ々々覚えていくしかないですね。

ベテランになれば当たり前も、

新人にはハードル高いです。

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