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異世界人は魔法を使えませんって、そら無いでぇ~  作者: 浪花翁
第一章 孤児院編
10/24

010 いい湯だな~♪

ちょっと、ええと・・・相当短いです。

 勉強会が終わった。


 「あとは寝るだけだな」


 勇人の言葉にシモンからは意外な言葉が返ってきた。


 「いいや、今日は湯浴みだよ。週に一度だけど寝る前に盥にお湯を張って身体を洗うんだ。チビたちは嫌がるけど汚れが取れてスッキリするぞ」


(おっ、風呂代わりやな。けど週一度の湯あみだけて、つくづく無い無い尽くしの世界やなあ。まあ地球でも近世まで風呂のない国はようけあったはずやし、今でも風呂はおろか飲む水さえ満足にない地域もあるんやさかい、湯あみが出来るだけまし言うとこか。一応聞いてみよか)


 「風呂はないのかい」


 「風呂に入るのは貴族様くらいだなあ。俺たちも暖かくなったら川で水浴びはするよ」


 予想通りの答えとはいえ、風呂に入る見込みがないことで勇人は暗い気持ちになった。さして風呂好きという訳ではないが、お風呂の国の人ではあるのだ。


 そう言えば孤児たちもエラドも何となく臭かった。分からないだけでたぶん自分も。


 「助祭様は貴族なんだろう。どうしてるんだ」


 「流石に風呂は風呂桶もないから諦めてるらしいけど、毎日(たらい)にお湯を張って湯浴みをしているらしいよ。魔力は殆どそれに使ってるんだって」


(盥言うんは、洗濯に使うか、ときどき天から降ってくるもんや思うとったけど、そら風呂桶代わりにも使えるわなあ。て、お富さんか。ちょいと年増のええ女が庭で行水やったらええんやけど、汚らしいガキではなあ)


 「それで明日からはどうするんだ。水路は(のり)も底も多分七日くらいは乾かないよ」


 「うん。俺もそう思う。堀を広げる作業はそれからだなぁ。それまではチビたちはエラドに任せて俺たちは薪作りでもするさ」


 勉強会がお開きとなった後はいつもならそれぞれ自分の寝室に戻るのだが、今日は女の子たちはそのまま食堂に残ってテーブルや椅子を片付けると台所から大きな盥を持ち出してきた。よく見ると全員が洗濯したての下着や作務衣を持ってきていた。男の子たちは食堂を出て、各自の寝室に戻るとやはり着替えの衣類を持って倉庫に向かい、そこで盥を持ち出して桶で井戸から水を運んで盥に満たし始めた。


 盥が水でいっぱいになると、今度は全員が桶に向かって手を突き出した。どうも火魔法を使っているらしい。ラノベ定番の火魔法と言えば呪文を唱えると火の玉が表れて的目掛けて飛んで行くものだが、この世界では呪文も唱えず、火の玉も現れない。その代わりに手と盥とが淡く光り、年長のタミールが時々盥の水に手を浸けて思案顔をしている。水の温度をみているらしい。


 暫くしてタミールが「よし」と言うと全員が手を降ろした。それとともに一番幼い二人が服を脱いで盥に入った。タミールともう一人、十三歳の子らしいのが手伝って二人を頭からゴシゴシと洗ってゆく。その間に他の子は桶に水を汲んできて温め始めた。勇人は水くみは手伝ったものの、お湯を沸かす手伝いは出来ないので、仕方なく盥で洗われている二人を見ていると手ぬぐいのほかに石鹸のようなものが使われていた。


(そう言うたら、昔石鹸の代わりに使うとったいう何たら言う木の実があったなぁ。皮言うか果肉言うか、それを乾燥させたもんを水ん中で揉んで使うんやったっけ。ラノベに時々出とったけど、何ちゅう名前やったかなぁ・・・進化のどん詰まりみたいな・・・袋小路の実?・・・ちゃうわムクロジの実や。)


 それから歳下から順番に盥に入って身体を洗った。入れ替わる度に桶で何倍かお湯を捨て、新しく温めておいたお湯を足した。


(注ぎ湯をしてくれるからお湯が冷めんのはええけど、段々汚いお湯になるなあ)


 自分たちが入り、最後に一番年上の二人がお湯に入るとすることがなくなった。勇人は傍にいたシモンに聞いてみることにした。


 「なあシモン、年下から入るのはなぜなんだろう」


 「小さい子ほど病気になり易いからだよ。だからなるべくきれいなお湯に入れるんだ」


 「小さい子を大事にするんだなあ」


 「あたりまえだろ。自分の義妹(いもうと)義弟(おとうと)なんだ」


 「病気になったら治療なんかはどうやってるんだい」


 「熱が出たら解熱の薬草があるからそれを煎じて飲ませる。咳や痰が酷ければ同じようにそれを抑える薬草を使う。できることはそのくらいだよ」


(これは知っとった。聞くだけアホやった)


 「貴族も同じかなぁ」


 「ははは。これだけは平民も貴族様も一緒だよ。『ざまあ』だ。薬師が薬を作っているけど、少ない量でも効くとか、飲みやすいとか、その程度の差しかないって話だよ」


(「何たら散」とか「何たら(とう)」とか言う漢方薬みたいな物も無いんか。林に漢方薬の材料はあったし薬効もわかってるけど「用法、用量」が解らんさかいなあ。これも親父からの耳学問やなあ。つくづく嫌んなるわ)


 湯浴みが済むと残り湯を捨てて盥を仕舞い、それぞれが居室に戻った。後は寝るだけだ。


 勇人は寝る前に前日から仕掛けておいたソーラーの調子を見た。時計は正常に動いておりソーラー式の懐中電灯も弱弱しいながら点灯したが、充電式電池とスマホはまだ動かなかった。


(充電機能がお釈迦になってんのか、電源の懐中電灯の充電が不十分で電池やスマホにまで充電に回せてへんのかわからん。気長に待つしかないんか)


 後は寝るしかなかった。

お富さんが分からない人はググって見て下さい。元は歌舞伎です。歌もあります。もっともお富さんは庭でたらいで湯あみはしなかったと思います。髪の毛は洗ったかも

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