☆第29話[駆け出した冒険者⑩]
冒険者として駆け出したレオ
休日をぶらぶらと満喫しているところに思わぬところでトラブルに巻き込まれているのだが
周りの心配をよそに本人は飄々として解決へと進んでいた
…トントントン バタッ
僕は階段を降りてギルドの地下にある闘技場に来ていた
(『へー、地下ってこうなってるんだー、始めて来たなー♪』)
そこには数人の冒険者が既にトレーニングをしていた
…
「∇;おっ、逃げずに来たじゃねーか」
『逃げる?それで此処で何をするんですか?』
「∇;ギルドの規則は分かるな?」
『はい!
①:ギルド内での問題行動は禁止
②:犯罪行為をしない
③:依頼 (クエスト)はしっかり完遂する
④:冒険者は実力主義で身分・種族で偏見をしない
⑤:横暴・横柄な態度をしない
⑥:虚偽・偽称を行わない
⑦:不明な事や問題があれば職員に相談する
大きく分けてこの7ヶ条です』
「∇;そうだ、ギルド内での揉め事はご法度だがな血の気の多い冒険者だ、話し合いだけじゃ決まらない事もある」
『はぁ、』
「∇;そこでこの闘技場だ、此処に上がった時点でお互いの了承を得て実力行使での解決が認められている」
『はぁ、なるほど』
「∇;さっさと上がってこい」
『別に僕はえっと、カリースさん?と決めなきゃいけない事なんてないんですが…』
「∇;そんな事はどうでも良いんだよ、俺はおまえがムカつくからな叩きのめしてやる」
(『あー、これは話しても無駄なタイプの人だな…』)
僕が悩んでいると既に地下にいた冒険者達が近寄って来た
…
「揉め事?」「大丈夫かい?」「厄介なのに目をつけられたな」「あんなのに付き合う事ないわよ」
そう言って僕を見て擁護してくれた
しかし僕はここで引き下がっても同じ事の繰り返しになるからと周りの心配をよそに闘技場に上がる事にした…
…
……
………
…………
その頃、一階では受付嬢の二人が慌てて話をしてた
「どうするにゃ!レオが地下に降りちゃったにゃ」
「うーん、どうしよう…きっと闘技場よね?」
「間違いないにゃ!レオは強いと思うけど心配にゃ…」
「そうだ、モンドさんとタンブールさん呼んできて!」
「あ、わかったにゃ!!」
そういうとフリュートは階段を駆け上がった…
…
「タンブールさん!モンドリーヌさん!大変にゃ」
「あらーどうしたのー?フリュートちゃんそんなに慌ててー」
「レオが来たんだけど私達のせいでカリースに絡まれて地下に行ったにゃ!」
「なんだと…」「あら…」
そういうと二人は仕事の手を止めてフリュートと一緒に下に降りた
…
「すいません、私が居ながら…」
一階に降りるとギタールが入り口を一時封鎖して近づいて来た
「あぁ、話は後だ、下に行けるか?」
「はい、時間的にも余裕がありますし一時封鎖の札も出してます」
「ごめんにゃのにゃ…」
「きっと大丈夫よー♪」
そういうと四人は地下へと急いだ
…
……
…トントントン、トントントン バタバタッ
そこには闘技場に上がっている二人がいた
…
……
「おい!お前ら何してるんだ?」
『あ、タンブールさん!それに皆さんも』
「レオ、そこに立つ意味分かってるのかにゃ?」
『はい!先程教えてもらいました!』
「教えてもらったって…君はまだ冒険者になったばかりじゃない?」
「おい!カリース、お前も自分より下のランクに何を絡んでるんだ!」
「∇;おっと、俺だけを責めないでくださいよ?こいつは説明した後に自分からここに来たんですから」
「レオ君、本当なのー?」
『そうですね、別にどっちでも良かったんですけどラチがあかない感じだったので』
「∇;俺が先輩としてこいつに冒険者の厳しさを教えてやるんですよ」
「くっ、あのバカ…おい!レオ無理するなよ!危なくなったら止めるからな」
「∇;はっはっは、お優しい事で」
『ありがとうございます!多分この程度大丈夫です!』
「∇;言ってくれるじゃねーか」
…
「ところでー、二人には何があったのー??レオ君は問題を起こすようには見えなかったけどー??」
「そうだ、俺もそう思う!」
「「実は…」」
…
そういうとギタールとフリュートは事の顛末をタンブールとモンドリーヌに話し始めた…
…
……
………
「はぁ…それじゃあ完全にレオへの嫉妬じゃねーか…」
「うーん、それでこの仕打ちはレオ君可哀想ねー…」
「すいません。止めれなくて」「にゃあ……」
そこに数人の冒険者も集まってきた
「俺たちも止めようとしたんですけど…」「カリースは新人いびりが酷いって事も…」「すいません」
…
「まぁ、結局レオのやつが自分であそこに立ってるって事は何かしらの考えがあるんだろ…危なくなったら止めに入るし」
「見守るにゃ…」「そうね…」
…
……
………
「∇;じゃあそろそろいくぜー」
そういうとカリースさんは斧でいきなり切りかかってきた
『うわ…びっくりしたー』
僕は冷静に後ろに下がり回避して間をとった
「∇;ふっ、避けやがったか、だがまだまだこれからだよ!」
カリースさんはそういうと連続して切りかかってきた…
(『いや、もうカリースって呼び捨てでいいや』)
「∇;おりゃ、おりゃ…ふぅ、避けるのだけは上手いようだな」
『避ける?あ、あぁ、そうですか?』
(『これ攻撃だったんだ…めちゃめちゃ遅いから準備運動かと思ってた…』)
…
「レオ君余裕そうねー♪」
「そうだな!」
「でも、カリースは斧でレオは素手ですよ?」
「当たったら大怪我にゃ…」
「いや、大丈夫だろ、間合いも完璧で避け方に無駄がない」
「けど、いつまでも避けてちゃ終わらないわねー」
「そうだな……おい、レオ、俺たちも忙しいんだ、さっさと終わらせてくれ」
「タンブールさん何言ってるですか…?」
「そうだにゃ、回避だけで精一杯にゃんじゃ?」
「いや、それはレオを甘く見過ぎだろ」
…
「∇;くっ、タンブールめ、何言ってやがる」
『あー、すいません、終わらせますねー!』
「∇;このクソガキ、舐めてんじゃねーよ!」
…ズドーン
カリースは勢いよく床に斧を振り下ろした為、抜くのに手間取っていた
『んー、その隙が命取りですよ』
―――――戦闘―――――
『*ブイスト(速度上昇)』
『〆背負投げ(肩越しに投げ)』
――――――――――――
ズダーン…
「∇;ウッ…」
―――――戦闘―――――
『〻岩波(胸部に突き斬り) 《今回は寸止め》』
――――――――――――
トンッ
僕は斧を引き抜くと軽く胸部を突いた
…
『ふぅ…ここまでですね……あっ…!』
「そこまで!!」
タンブールさんが勝敗を決したのを確認して止めに入ってくれた
「レオ、凄かったな!!」
『ありがとうございます!あの…』
「どうした??あぁ、本来なら事実確認を取らなきゃいけないんだが…ギルドの職員も冒険者も目撃者がいたからな今回はお咎めなしだ!そもそもお前は悪くないみたいだしな!」
『ありがとうございます、あの…』
「どうした?……あっ。」
ようやくタンブールさんも気づいてくれたのだが、カリースが完全に泡を吹いて気絶していた
「自分からふっかけておいて、どこまでも情けないやつだな…」
『どうしたらいいですか?』
「うーん、自業自得だ、放っておけよ」
『わかりました…』
…
僕は闘技場を降りた
…
「レオ!凄かったにゃ!」「本当に強いのねー」
『そんなにですか?相手が弱かったんじゃないですかね?』
「いや、駆け出しの冒険者とは到底思えない動きだったわよ!」
『何か気恥ずかしいですね 笑』
「それと、ごめんなさいね…」
「そうにゃ…巻き込んじゃったにゃ…」
『気にしないで下さい!僕が勝手にした事なんですから!』
「そーかもしれないけど…」「んにゃ…」
「ほらほらー、そろそろ上に戻るわよー♩」
少し気まずい雰囲気になりかけたのをモンドリーヌさんがその場を和ませてくれた
「よーし、みんな戻るぞ」
元々地下にいた冒険者たちもゾロゾロと一階に登っていった
『ほら♪ 戻りましょう!』
「そうね!」「行くにゃ!」
…
……
こうして冒険者になって初めて起きた
ちょっとした事件は無事解決したのだった
…
この戦いを見た冒険者達の間でレオが話題になり、様々な話題となるのだが、本人は全く気にしてなかった




