第9話 対話
背中に銃を向けられながらスロットを打つ。2時間以内に5000枚を出さなければ命はない。
海老名は手を休めず必死に打ち続ける。20分ほどすると最初の当たりを引いたが、500枚ほど出て終わってしまった。
(やべえ。いくら設定6でも伸びないこともあるもんな。)
次の当たりも600枚ほどで終了。残り1時間と少しだ。
胃を鷲掴みにされたように、喉から何かが溢れそうになる。
後ろではホールコンが訝しげに見守る。
(何か特別な力があるなら、早くそれを使えば良いのではないか?当たりのタイミングや連チャン回数はコントロールできないのか?)
残り40分となった時、台が光り、3回目のあたりを引いた。右手で打ちながら、左手で小さなガッツポーズをする。
(やべえ、楽しい!やっぱりヒリつきがあってこそのスロットだ!)
当たりは続き、気がつけば7000枚が出ていた。
ホールコンが後ろから話しかける。
「どうやら本物のようだな。ただ、特別な操作はしていないように見えたが、どうやっているんだ?」
ホールコンは海老名の横に移動し、頭に銃を向ける。
「台の設定を変えられるんだよ。開いて見てみろよ。」
「設定、、?それはなんだ?」
ホールコンは鍵を差し込み、スロット台を開く。中には大量の札とメダルが入っている。ボタンは二つのみで、電源ボタンとリセットボタンのみのようだ。
「なあ、この台はどこのメーカーが作ってるんだ?」
海老名は尋ねる。
「わからない。俺はこの台をベガスラシティから入荷した。村を支配するのにちょうど良いってな。お前、出身はどこだ?」
「俺の出身は日本、、ってわからないよな。」
「ニホン、、?あのリセという男と同じところじゃないか。」
(俺と同じ、日本出身のやつがいるのか、、?転生者、、?)
「そのリセっていうやつについて教えてくれ。」
少し考え込んだ後、ホールコンは話し始める。
「自分の命が危ないっていうのに、不思議なやつだな。10年前のことだ。当時は俺もギャンブラーだった。一発大きく当ててやろうとギャンブルの聖地、ベガスラシティに行ったんだが、そこでも大負けをした。そんな時、あの男が話しかけてきたんだ。やつが売っているスロットで賭場を経営すればたちまち金持ちになれるって。もちろん最初は信じなかったさ。ただ後払いで良いって言うんで、3台だけ買って帰った。そしたらよ、負けてるのにも関わらず客がどんどん打っていくんだ。すぐに新しい台を入荷して、気がついたら俺はこの村を牛耳っていた。」




