第8話 マキシマムエンターテイメント
「海老名くん、朝食の用意ができてるよ」
この日はバーゾロさんが2階に来てくれた。
「ナナはどちらへ?」
朝食をいただきながら尋ねる。
「今日は学校さ。あいつ、勉強が好きみたいでさ。この村で生きていくなら家業とスロットの知識さえあれば十分なのにな。」
食事を終えた頃、バーゾロさんが、らしくない話し方で聞いてくる。
「今日はさ、その、スロット行かないのか?」
「今日は色々と考える日にさせてください。」
バーゾロさんはそれ以上何も言わずに、畑の方へ向かった。
(なんか、わかんなくなっちゃったなー。日本でも行き詰まった時はスロット打ちに行ってたし、まあ今日は遊びで行ってみるか)
宿を出て一人でスロット場へ行く。ガラス張りのスロット場は今日も大盛況だ。
台に札を入れると、機械の声が聞こえる。
「設定はいくつにしますか?」
「んー。そのままで」
「承知いたしました。設定を据え置きます。」
なかなか当たらず、メダルが減っていく。
(やっぱり普通に打つと勝てないんだなー。)
「今日はお一人でお越しなんですね」
後ろから話しかけられ、振り向くと屈強そうな3人の黒服がいた。
「はい、そうですけど、何か?」
「少し確認したいことがありまして、奥の方まで一緒に来てもらえますか?」
(おいおい、やばい展開じゃないか?これ。)
男たちに連れられ、カウンターの奥の部屋に入る。
部屋には緑色のスーツをビシッと着た男が座っていた。髪はオールバックでまとめられている。
「はじめまして、ヒキ強のお客様。私はこのスロット場を運営するマキシマムエンターテイメントの社長、ホールコンと申します。お客様のお名前をお伺いしても良いですか?」
「海老名です。」
「海老名さん、あなたにはどうやら、不思議な力があるみたいですね。その力を見せてもらいたくて、今からこの台で勝ってくれませんか?」
部屋の隅にはスロットが1台置いてある。
「いや、今までたまたま勝っただけなんで、この台で勝てるかはわからないですよ。」
ホールコンがニヤリと笑う。
「そうですか。それならこの村で眠ってもらいましょう。」
尻ポケットから銃を取り出し、海老名に向けてくる。
「え、いやいや、どういうことですか!?」
「2時間あげます。その間に5000枚出してください。それができなければ村の肥料になってもらいます。」
(おいおいおい。こんな展開あるのかよ。)
慌てて台に札を入れる。
「設定はいくつにしますか?」
(ここは6にするしかないだろ!頼む、爆出ししてくれ。)




