第4話 搾取
後ろを振り向くと、声の主は10代前半に見える少女だった。
「メダル、すごかったですね。この村には旅行でいらしたんですか?」
「まあ、そんなところだよ。君はここで何をしてるの?」
「恥ずかしい話なんですけど、あなたみたいに旅行で来て大勝ちした人に物乞いをしているんです。この村にとってはそれが貴重な収入源で、、」
「物乞い」という言葉に胸が痛くなる。
「これは俺がリスクを負って勝ち取った金だからさ。タダではあげられないな。」
少女は不安そうな顔をする。
「この村を案内してよ!そしたら案内料くらいは払えるからさ。」
海老名の言葉を聞き、緊張の糸が解けたように少女は軽快に話し出す。
「任せてください!貧しい村ですけど、素敵なところもたくさんあるんですよ!そうそう、私の名前はナナって言います。あなたは?」
「俺は海老名だよ。」
50万400エニーを換金しガラス張りの建物を出る。
「もう夜なので、村の案内は明日で良いですか?そういえば海老名さんは今日泊まる宿は決まってるんですか?」
「いや、ここに到着してスロットしか打ってないよ。」
「実は、私の家は宿なんです!いつもガラガラなんですけど。よろしければ、うちでどうですか?」
「おお!じゃあ、お世話になろうかな」
ナナの実家である宿に着く。1階は家族の食卓兼、食堂、2階には客室が4部屋ある。
「こんなものしかお出しできないですけれど、今日はゆっくりしていってくださいね」
ナナの母親であるシロナさんがパンとスープでもてなしてくれる。木製のテーブルは端がすり減っている。
「今日、スロットでデカく勝ったみたいだな。俺たちはいつも負けっぱなしだからスカッとするよ!」
ナナの父親のバーゾロさんが小さなパンをつまみながら話しかけてきた。
「あれ、普段はそんなに当たらないんですね。僕がやった時はポンポン当たりましたけど。たまたま設定が良い台を取れたんですかね。というか、台に座った時に機械に設定の希望を聞かれた気がします。」
「その設定っていうのは、、なんだ?」
(この世界のスロットには設定はないのか?だとするとあの機械の声はなんだったんだ?)
これ以上話してもおかしいやつだと思われそうなので、海老名は話題を変える。
「ところでバーゾロさん、お酒もいただけますか?たぶん、お代は今日の勝ち分で十分払えるんで!」
「おいおい。お酒なんて、貴族かマキシマムエンターテイメントの社員しか飲めないよ。悪いな。」




