第22話 中チェ
「なんだこれ!台からすごい音が鳴ってるっチェ!」
中チェを引いたウチエの台からは、けたたましい当たり音が鳴り響いている。
その後、レバーを叩くたびに台から滝のようにメダルが流れ出す。中チェは冷遇モードをも凌駕するようだ。
ガタっ
小太りが倒れるように、空いていた台に座り込んだ。
ウチエの台からはメダルが止まらず、ドル箱を交換してもすぐにいっぱいになった。
やっと当たりが終わり、台が静かになった頃にはウチエの後ろには40箱近いドル箱の山ができていた。
「ウチエさん、、すごいな」
スロット場の連中にイチャモンをつけられる前に、急いでドル箱を台車に乗せる。
「皆さん、ここが潮時です。勝ち逃げしましょう!」
冷遇モードのまま打ち続けようとする仲間たちに伝える。
「え、そうなのか?この調子ならまだまだ当たるんじゃないか?」
「いいえ、ここで終わりです。引き際が大事なんです。」
「まあ、あんたがそう言うなら」
男たちは後ろに積んであるドル箱を台車に乗せる。海老名の仲間が一斉に台車を使ったのでスロット場の台車が品切れになった。
景品交換カウンターの前には巨大な賽銭箱のようなものが置いてある。ここにメダルを投入すると瞬時に枚数が数えられるようだ。
仲間たちはドル箱の中身を計数機にぶち込んでいく。4000枚、8000枚、6000枚。日本だとなかなか見ない数字が次々と表示される。メダルを入れ終わると、枚数が印字されたチケットが排出された。
海老名のメダルも流し込む。画面に枚数が表示された。4800枚。上出来すぎる枚数だが、目標の5万枚には遠く及ばない。
(あとは、、)
「私のも入れてほしいっチェ」
後ろにいたウチエが言った。
海老名はウチエのメダルを計数機に流し込んだ。画面の枚数が1000枚、1900枚、2900枚、3800枚と増えていく。緊張で息が苦しくなりながらもこの作業を続けた。最後のドル箱を流し込んだ。
42300枚。画面に表示された。
後ろから仲間たちの歓声が聞こえた。
「うおおおお!これも山分けか?すげー!」
「一人いくら持ち帰れるんだ!?早く換金しようぜ!」
「すみません、勝ち分の分配について相談があり、一度酒場に行きませんか、、?」
海老名の声は震えていた。
「ん?まあ、赤髪のニイチャンと八重歯のネーチャンの分もあるし、一度話し合うか」
30人の仲間たちはスロット場を出て酒場に向かった。酒場に着くと、赤髪と八重歯がビールを飲んで待っていた。
「おつかれー!で、いくら勝ったんだ?」
赤髪が言う。
「赤髪のニイチャン、すごかったな!俺たちもすげー勝ったぜ!」
「まずは状況を整理しましょう」
海老名が言う。




