第17話 設定6集団
職人の台を設定6にした。海老名の手持ちの金を渡して打ってもらう。
「ウチエさん、同じように、もう一人声をかけてくれないか?」
「わかったっチェ。でも知らない人にお金を預けて大丈夫か?」
「今は声をかけるのを2人までにしておくよ。2人だったら持ち逃げされないよう見張っておけるからな」
ウチエは不思議そうな顔だったが、素直に従った。少し歩くと、険しい顔でスロットを打っているメガネの男を見つけた。
「ねえねえ、今負けてるっチェ?私たちのお金で打たない?勝たせられるから!勝ったら、勝ち分は山分けで頼むっチェ!」
メガネは数秒黙り込んだが、条件を飲んだ。メガネを、すでにスロットを打っている職人の隣に座らせる。全員の台の設定を6にして、海老名、職人、メガネ、ウチエの順番で並んで打ち始めた。
始めにメガネの台が当たり、ウチエ、海老名、職人と続いて当たる。ウチエは再び能力を使って連チャンをさせた。他3人の台も設定6なだけあって、連チャンが終わってもまたすぐに当たる。
1時間もすると、4人の後ろにはドル箱が9箱積み上がっていた。周りの客も4人を見ている。このスロット場の中で、4人は明らかに異質な存在のようだ。
当たりを引いて連チャンをするたびにざわめきが聞こえる。海老名はスロットを打ちながらも小まめに周りを見ていた。
当たりの音とざわめきに紛れて、小太りでスーツを着た店員が列の端に立っているのが海老名の視界に映った。その瞬間のことだった。
「冷遇モードに切り替わりました」
「冷遇モードに切り替わりました」
「冷遇モードに切り替わりました」
「冷遇モードに切り替わりました」
(やっぱりあいつ、何かやってやがる)
「みなさん、一度これでやめにしましょう。十分勝っていますよね?約束通り勝ち分の半分だけください。あとはみなさんの分です!」
職人とメガネはそれぞれドル箱1つ分のメダルを海老名に渡した。同じ列にいる数名が海老名たちの方をチラチラと見ている。
(ここが勝負どころだ)
「みなさん、ご覧の通り、僕はみなさんをスロットで勝たせることができます。みなさん、けっこう負けていますよね?今なら全員仲間に入れてあげますよ!」
「俺も入れてくれ!」
「俺も頼む!」
「おうおい、俺が先だぞ!」
10人弱の男が海老名にすがってきた。
「わかりました。しかし、勝つためには作成が必要です。今から隣の酒場で作戦会議をしましょう」
ウチエは不安そうな顔だったが、海老名の目は自信でみなぎっていた。




