第16話 軍団打ち
宿で目覚めた海老名は、急いで身支度をする。部屋を出ると、隣のウチエの部屋のドアを叩く。
「ウチエさん、起きてる?」
「うん」
部屋から出てきたウチエの目元にはクマができていた。
「今日は俺の作戦があるからさ、任せておけって!うまくいけば今日のうちに弟くんを助けられるよ!」
「ありがとう、、海老名さんがそう言ってくれると、本当になんとかなる気がするっチェ」
スロット場に行く途中のウチエの足取りは昨日よりも弱々しかった。スロット場はすでに開場していて、大勢の客で賑わっていた。ウチエと並んで着席し、二人の台を設定6にする。
「俺の作戦のためには、まずはメダルが必要なんだ。ひとまず昨日と同じ方法で、できるだけたくさん当ててくれ」
「わかったっチェ」
連チャンをかけたチャンスの際、ウチエは力を使う。ウチエの右手が赤く光るたびに連チャンし、軽快にメダルが増える。海老名の台も今日は調子が良く、ウチエほどではないがメダルを吐き出していた。
(なんか昨日よりも調子が良いな!あの作戦がなくてもいけるか?)
二人のメダルが5個目のドル箱を満たそうとした時、小太りでスーツを着た店員が早足で二人の後ろを通った。
「冷遇モードに切り替わりました」
「冷遇モードに切り替わりました」
立て続けにウチエ、海老名の両方の台から声が聞こえる。その次の連チャンには二人とも失敗した。
「なあ、今の声、聞こえたか?」
「声、、?なんか喋ってたっチェ?」
(ウチエには聞こえていないのか。俺の能力に関係があるのかな?それと、あの店員が後ろを通った瞬間「冷遇モード」に入ったような、、)
「よし。いったん打つのをやめにしよう。一緒にこの箱を持ってくれ」
ウチエにドル箱を手渡す。
ウチエと一緒にスロット場を歩き回る。場内でドル箱を積んでいる客はほとんどおらず、大半が負けていることがすぐにわかった。
場内を半分歩き回った頃、タバコを吸いながら不機嫌そうにスロットを打つおじさんを見つけた。
「すみません、たぶん負けていますよね。俺の金で打ちませんか?今日は調子が良いんですよ。ほら」
山盛りのドル箱を見せる。
おじさんは冷たい眼差しでこちらを見る。
海老名は続ける。
「勝ったら勝ち分を山分けでお願いします。負けたらお金を返さなくても良いです。どうですか?」
「あー?あんた、何者だ?、、、、、つっても、俺もちょうど軍資金が切れていたんだ。その話に乗らせてもらうよ。負けても金は返さねーからな!!」
「ありがとうございます!」
「じゃ、最初は僕が札を入れますね」
「設定はいくつにしますか?」
(6!)
「承知いたしました」




