第15話 冷遇モード
その後、ウチエの台はチャンスゾーンに行くことすらなかった。海老名の台は当たりはするものの、連チャンに失敗し、大したメダルを吐き出さなかった。
結局、二人合わせて1000枚メダルが増えて終わった。所持金は二人合わせて120万エニー。メダルに換えると6000枚。ウチエの弟を救うための5万枚には到底及ばない。
閉店時間となり、熱中していた客たちは追い出されるように店を出ていく。店の端には車、宝石、銃などが並んでいる景品コーナーがある。そこには売られている人たちの写真パネルも並べられていた。
「あれが弟だっチェ」
ウチエが、顔を逸らしながら指差すパネルには、10代半ばに見える少年の、不安そうにこちらを見る顔が写っていた。
店から出ると、空はすっかり暗くなっていたが、街は煌びやかな灯りに包まれている。酒場の前で若い女たちが客引きをしている。
「パネルがまだあったってことは、まだ弟くんは買われていないってことだよな?」
「そうだけど、、いつ買われるかわからないっチェ」
「心配すんなって!また作戦を考えるからさ。俺がメダルをたんまり出して、すぐに弟くんを助けてやるよ!」
「うん、、」
ウチエの返事に元気がない。
「じゃあさ!とりあえず今日はどこかに泊まって、明日また勝負しに行こう。どこかに宿はないかなー」
ウチエの顔を直視するのを避けるために、キョロキョロを周りを見渡す。スロット場から歩いて100メートルくらいの場所に宿があった。
「いらっしゃい。観光客の方だね。スロットでは勝てたかい?」
受付の恰幅の良いおばさんが元気に訪ねてくる。
「2部屋、空いていますか?」
「あぁ。空いてるよ。2部屋で2万エニーね」
3階の2部屋を借りることができた。ウチエを部屋まで案内する。
「じゃあ、明日の朝また一緒に頑張ろう。俺が良い作戦を考えておくから、絶対大丈夫だって!」
「うん、、」
ウチエは目を腫らしている。
部屋に入り、ベッドに寝転がりながら状況を整理する。
・ウチエの弟を救うためにはメダルが5万枚必要。
・今の所持金をメダルに換えると6000枚。
・海老名は台の設定を6にする能力を持っている。
・ウチエは力が溜まると好きなタイミングでレア役を引くことができる。スロットを打っていれば力が溜まる。
・連チャンが続くとなぜか「冷遇モードに入り、当たらなくなる。
(やっぱりあの「冷遇モード」っていうやつを攻略しないとなー。連チャンしたら勝手に入るものなのかな?)
(まあ、俺の力をフル活用するためには「あの作戦」しかないよな。日本にいた時は絶対やらなかったけど)




