第13話 ウチエの能力
海老名とウチエはスロット場に向かう。ケイ-イヒンタウンのスロット場は黒い円形のコンサートホールのような建物だ。
場内に入ると、やはり台は8割以上埋まっている。スロット台がギッシリと詰まった列が何十列もある。2席並んで空いている台がなかなか見つからず、二人はしばらく歩き回る。
空き台を探して場内を半分くらい歩いた頃、2台並びで空いている台を見つけた。
「よし、この台にしよう」
後ろを歩くウチエに伝える。
「この金を使ってくれ」
持っていた100万エニーの束から、だいたい半分くらいをウチエに渡す。
「こんなに貸してくれるの、、?頑張るっチェ!」
(今更だけど、この語尾はなんなんだ、、?)
「ちょっと待ってな。」
海老名はウチエの台に、1枚だけ札を入れる。
「設定はいくつにしますか?」
台が尋ねる。
(ああ。もちろん設定6だ)
頭の中で念じて答える。
「承知いたしました」
これでウチエの台は設定6だ。自分の台にも札を入れて設定を6にする。
1万エニーの札は50枚のメダルに替わった。
(200スロ、やばいな。この店は200スロ専門店ってことだよな。どんな金持ちが来ているんだ?)
(俺たちは設定6のノリ打ちだから、大丈夫、、だよな?)
不安が押し寄せてくる。
「まあ、頑張ろうか」
「絶対勝つっチェ!」
メダルを250枚ほど使ったがまだ当たらず、焦りを覚える。隣を見ると、ウチエの台は青く光っている。
(おお、チャンスゾーンだな。ここでレア役を引ければ当たるが、、まあ運次第だな)
「きたきたきた。ここっチェ!ここで力を入れて叩くっチェ!」
一瞬、ウチエの右手がぼんやり赤く光ったように見えた。その右手でウチエはレバーを叩く。
ウチエが引いたのは、レア役である弱チェリーだった。
(おおおおお。本当に引いたよ。でもこれ、ただの運、、だよな、、?)
「やっぱり台が光った時が力の入れどころだっチェ」
(オカルトパチンカス、、、)
ウチエの台は200枚ほど吐き出したところで、連チャンをかけたチャンスに移行した。
「お、また台が光ってるから力の入れどころだっチェ!」
(力を入れるってどういうことだ、、?まさか?)
再びウチエの右手がぼんやりと赤く光る。が、その光は弱い。ウチエは勢いよくレバーを叩く。
ウチエが引いたのはハズレ役だった。当たりが終わる。
「まだ力が溜まってなかったっチェー!」
(さっきからあの光はなんなんだ)
「なあ、さっきから言ってる、力を入れるっていうのはどういうことなんだ?」




