第79話 神将討伐
【保有DP:68,920】
【侵食率:10.4%】
【ダンジョンランク:S】
【階層数:8】
【七王統率:5/7】
神将が来た。
六枚翼。
白銀の鎧。
黄金の槍。
神界軍の先鋒。
その存在は空そのものを支配していた。
世界樹の上空。
神将はゆっくりと降下する。
逃げる気はない。
隠れる気もない。
堂々としている。
当然だった。
今まで負けたことなどないのだろう。
「下等世界の管理者を確認」
神将が言う。
感情のない声だった。
「排除を開始します」
それだけ。
会話終了。
交渉終了。
神界らしい。
実に分かりやすかった。
「感じ悪いな」
俺は笑う。
「同感です」
リリスも頷いた。
スイは既に前へ出ている。
待てと言っても無駄だっただろう。
◇◇◇
神将が槍を振るう。
光が走る。
世界が割れる。
山を消し飛ばせる一撃だった。
だが。
スイが拳で殴り飛ばした。
轟音。
光が砕ける。
神将の動きが止まる。
初めて表情が変わった。
「……なに?」
驚いていた。
当然だ。
今までなら。
この世界の存在は死んでいた。
だが。
今のスイは違う。
終焉魔王粘体。
番人の核を吸収した怪物。
もはや七王を超えている。
◇◇◇
神将が加速する。
空間転移。
一瞬で背後。
槍が振り下ろされる。
だが。
そこにリリスがいた。
蜘蛛糸が空間を固定する。
転移封鎖。
神将の顔色が変わる。
「馬鹿な」
リリスは笑う。
「遅いですね」
その瞬間。
数万本の蜘蛛糸が神将を包み込んだ。
拘束。
封印。
切断。
逃げ場はない。
◇◇◇
そして。
最後。
俺が動く。
初めてだった。
神将へ直接触れる。
黄金の槍を掴む。
魔力を吸う。
魂を吸う。
存在そのものを吸う。
神将が絶叫した。
「あり得ない!!」
叫ぶ。
暴れる。
だが遅い。
もう遅い。
今の俺はダンジョンそのものだ。
世界樹。
番人の核。
七王。
全部積んでいる。
神将の身体が崩れる。
光になる。
そして。
吸収された。
【神将を捕食】
【DP+120,000】
【保有DP:188,920】
【神性因子獲得】
静寂。
フィリアが座り込む。
「え?」
理解が追い付いていない。
俺も少し驚いていた。
高い。
想像以上だった。
七王より高い。
神界の価値が見えた。
◇◇◇
その時だった。
空が燃える。
赤い炎。
巨大な火柱。
そして。
もう一つ。
影。
世界そのものが暗くなる。
次の瞬間。
二つの巨大な魔力が現れた。
【七王を確認】
【炎王イフリート】
【七王を確認】
【影王ノクス】
ついに来た。
残る二王。
そして。
その二人は神将の消滅した場所を見ていた。
しばらく沈黙。
そして。
炎王が大笑いした。
「ははははは!!」
豪快だった。
空が燃える。
海が蒸発する。
だが本人は気にしていない。
「最高だ!」
初対面の感想がそれだった。
影王ノクスは逆だった。
静かだった。
だが。
口元だけが笑っている。
「本当に神将を殺したのか」
その声には興味があった。
そして。
二人は同時に言う。
「話がある」
どうやら。
地下世界最後の王たちも。
神界と戦う気らしかった。




