第78話 神殺しの準備
【保有DP:68,920】
【侵食率:10.1%】
【ダンジョンランク:A】
【階層数:5】
【七王統率:5/7】
番人の核。
それは今まで手に入れたどの因子よりも異質だった。
王級因子ですら比較にならない。
近付くだけで魔力が震える。
世界樹が反応する。
ダンジョンコアが反応する。
スイも。
リリスも。
本能的に理解していた。
これは危険だ。
そして。
同時に。
莫大な力だ。
「使うの?」
フィリアが聞く。
俺は即答した。
「使う」
温存する理由がない。
神界軍が来ている。
神将もいる。
今更安全運転などしていられなかった。
◇◇◇
魂炉を起動する。
番人の核を投入。
次の瞬間。
警告音が鳴り響いた。
【危険】
【高濃度神代因子を確認】
【適合者を選定します】
空気が凍る。
神代。
初めて見る単語だった。
王級ですらない。
さらに古い。
さらに上。
それが番人の力だった。
そして。
候補が表示される。
【適合候補】
【スイ】
【リリス】
【ダンジョンコア】
全員が固まる。
フィリアが慌てて叫ぶ。
「ちょっと待って!」
「全部ヤバそうなんだけど!?」
その通りだった。
だが。
俺は迷わない。
最も効果が大きい場所へ使う。
「コアへ投入」
静寂。
そして。
魂炉が反応した。
◇◇◇
世界が揺れる。
第一階層。
第二階層。
第三階層。
全ての壁が震える。
魔力が逆流する。
世界樹が急成長を始める。
五十メートル。
百メートル。
二百メートル。
止まらない。
地下世界全体へ根が伸びる。
その時だった。
【ダンジョンランク昇格】
【A→S】
全員が固まる。
早すぎる。
だが止まらない。
【新階層解放】
【第六階層】
【第七階層】
【第八階層】
一気だった。
普通なら何十年、何百年も掛ける成長。
それが数秒で終わる。
番人の核。
文字通り規格外だった。
◇◇◇
さらに。
スイとリリスにも変化が起きる。
核の余剰魔力。
世界樹による増幅。
その全てが流れ込む。
【個体進化】
【スイ】
【深淵魔王粘体】
↓
【終焉魔王粘体】
空気が歪む。
スイの存在そのものが変わる。
以前までの王級。
そのさらに先。
七王を超える領域だった。
続いて。
【リリス】
【深淵魔蛛皇】
↓
【冥界魔蛛女王】
蜘蛛脚が黒金へ変わる。
瞳が紫へ変わる。
今や完全に地下世界最上位だった。
フィリアが遠い目をしている。
「私だけ普通の人なんだけど」
仕方ない。
実際そうだった。
◇◇◇
その時だった。
シャドウバットが絶叫する。
『キィィィィィ!!』
視界共有。
映像が流れ込む。
そして。
全員が立ち上がった。
神将だった。
六枚翼。
白銀の鎧。
神界軍の先頭。
その神将が。
こちらへ向かっていた。
逃げる気はない。
隠れる気もない。
真っ直ぐ。
一直線に。
世界樹を目指している。
「見つかったか」
俺は笑う。
当然だった。
ここまで魔力を放出した。
隠れる方が無理だ。
だが。
ちょうどいい。
今の俺たちがどこまで強くなったのか。
試す相手としては。
最高だった。
「行くぞ」
スイが笑う。
リリスも笑う。
フィリアだけが頭を抱えていた。
「神と戦う準備期間ゼロなんだけど!?」
だが。
そんなものは関係ない。
神界軍。
神将。
そして神。
全部。
喰うだけだ。




