第75話 王を超える者
【保有DP:68,920】
【侵食率:8.5%】
【ダンジョンランク:B】
【階層数:5】
【七王統率:5/7】
世界樹が揺れていた。
今まで見たことがないほど激しく。
枝が軋む。
葉が震える。
そして。
見えない何かを警戒していた。
【神界観測】
【観測者を確認】
嫌な表示だった。
だが。
不思議と恐怖はない。
むしろ興味の方が大きい。
「見られてる?」
スイが空を見上げる。
「みたいですね」
リリスも表情を引き締めていた。
神界。
ついに向こうもこちらを認識したらしい。
なら。
急ぐべきだった。
まだ神界軍には勝てない。
なら勝てるところまで一気に行く。
今まで以上に。
◇◇◇
俺は魂炉を開いた。
海王因子。
獣王因子。
七王級。
それも上位の因子だ。
温存する理由はない。
【海王因子】
【獣王因子】
【使用しますか】
「実行」
即答だった。
次の瞬間。
ダンジョン全体が震えた。
第二階層。
第三階層。
第四階層。
第五階層。
全て。
今までで最大規模の魔力が噴き上がる。
フィリアが壁にしがみつく。
「また!?」
もはや恒例だった。
◇◇◇
最初に変化したのはスイだった。
蒼い光。
黄金の光。
二つの因子が同時に流れ込む。
粘液が膨張する。
圧縮される。
そして。
形が変わる。
【進化条件達成】
【種族進化】
光が爆発する。
以前のスイではない。
王喰らいの魔粘王ですらない。
さらに上。
さらに異質。
そして。
【個体名:スイ】
【種族】
【深淵魔王粘体】
空気が凍る。
リリスですら言葉を失った。
魔王。
ついにその文字が出た。
見た目も変わる。
以前よりさらに人間に近い。
だが人間ではない。
髪は銀色。
瞳は黄金。
身体の一部は未だ粘液。
美しい。
そして。
恐ろしい。
存在感だけで周囲の魔物が跪いていた。
◇◇◇
続いてリリス。
こちらも変化する。
蜘蛛脚が黒銀へ変わる。
魔力が増大する。
空間そのものが歪む。
【進化条件達成】
【種族進化】
【個体名:リリス】
【種族】
【深淵魔蛛皇】
蜘蛛皇。
以前の蜘蛛王とは格が違う。
今や完全に七王級だった。
いや。
七王上位。
海王や獣王と並べる。
そのレベルだ。
◇◇◇
進化が終わる。
だが。
終わらなかった。
今度は俺だった。
コアが震える。
魔力が流れ込む。
七王。
王国。
英雄。
ダンジョン。
全ての吸収が重なる。
【条件達成】
【ダンジョンランク昇格】
【B→A】
全員が固まる。
ついに来た。
Aランク。
王国が恐れるレベル。
英雄が討伐対象にするレベル。
その領域。
そして。
新たな表示が現れる。
【特殊権能解放】
【王権捕食】
俺は目を細めた。
また強そうな名前だった。
詳細を開く。
【王級個体を吸収した際】
【能力継承率上昇】
【因子獲得率上昇】
【支配率上昇】
笑うしかない。
完全に七王狩り専用能力だった。
システムすら俺に七王を食えと言っている。
◇◇◇
その時だった。
シャドウバットが飛び込んでくる。
慌てていた。
今まで見たことがないほど。
『キィィィッ!!』
視界共有。
映像が流れ込む。
そして。
全員が固まった。
巨大な裂け目。
第五階層のさらに奥。
そこにいたのは。
一体ではない。
二体でもない。
無数だった。
天使。
翼を持つ存在。
神界の軍勢。
そして。
その先頭に立つ一人。
六枚の翼。
白銀の鎧。
神々しい光。
【神界個体を確認】
【神将級】
空気が凍る。
神界軍。
予想より早かった。
だが。
俺は笑った。
ちょうどいい。
七王を狩るだけでは退屈だった。
向こうから来るなら話は早い。
喰う相手が増えるだけだ。




