第72話 樹界王の贈り物
【保有DP:40,420】
【侵食率:7.5%】
【ダンジョンランク:B】
【階層数:5】
【七王統率:2/7】
神界の話を聞いた後も、俺とユグドラの会話は続いていた。
樹界王は思っていたより話が通じる。
少なくともオークキングのような脳筋ではない。
そして。
七王の中でも珍しい存在だった。
「あなた、本当に七王を全部倒す気なの?」
ユグドラが呆れたように聞いてくる。
「そのつもりだ」
「私も?」
「敵なら」
即答だった。
ユグドラは数秒固まる。
そして大きくため息を吐いた。
「番人が気に入る理由が分かったわ」
褒められている気はしない。
だが悪い気もしなかった。
その時だった。
ユグドラが立ち上がる。
巨大な森全体が揺れる。
無数の根が動き出す。
地面が割れる。
そして。
森の中央から巨大な光が現れた。
「これは……」
リリスが目を見開く。
俺も同じだった。
莫大な魔力。
今まで見たどの宝物とも違う。
生命そのものが凝縮されたような存在。
やがて。
一粒の種が現れた。
翡翠色。
心臓のように脈打っている。
【特殊個体を確認】
【世界樹の種】
空気が変わる。
システムですら特別扱いしている。
それだけで価値が分かった。
「持っていきなさい」
ユグドラが言う。
フィリアが固まる。
スイも固まる。
リリスも驚いていた。
「いいのか?」
俺が聞く。
するとユグドラは笑った。
「どうせ神界と戦うんでしょう?」
「ああ」
「なら必要になる」
その表情は妙に真剣だった。
ふざけているわけではない。
本気だ。
「世界樹は神界へ繋がる」
その一言で全員が反応した。
神界。
つまり。
最終目標。
その伏線がここで出てきた。
「昔はたくさんあった」
ユグドラが空を見る。
「今は私だけ」
少し寂しそうだった。
だが。
それ以上は語らない。
俺も追及しなかった。
今はまだ先の話だ。
◇◇◇
帰還後。
俺はすぐに種を植えた。
場所は第四階層。
ダンジョン中心部。
最も魔力が濃い場所だ。
種が地面へ埋まる。
次の瞬間。
莫大な魔力が噴き上がった。
「うおっ!?」
フィリアが吹き飛ぶ。
スイが慌てて支える。
リリスも目を見開いた。
成長が速すぎる。
種を植えて数秒。
もう芽が出ている。
さらに伸びる。
十メートル。
二十メートル。
三十メートル。
止まらない。
そして。
システムが反応した。
【世界樹を確認】
【特殊施設化成功】
【DP自動生成開始】
【1日:500DP】
沈黙。
全員が固まる。
俺も固まった。
「は?」
フィリアが声を漏らす。
当然だった。
500DP。
今まで新人冒険者三人を殺して120DP。
王国を潰してようやく数千DP。
それなのに。
毎日500。
「強すぎないか?」
俺が聞く。
だがシステムは答えない。
代わりに。
新たな表示が現れた。
【世界樹効果】
【配下成長速度上昇】
【魔力回復速度上昇】
【侵食率上昇補助】
【神界反応率上昇】
最後だけ嫌だった。
かなり嫌だった。
「絶対これ後で面倒なやつだよね?」
フィリアが言う。
俺もそう思う。
だが。
得られる利益の方が大きすぎた。
植えない理由がない。
◇◇◇
その夜。
ユグドラから最後の通信が届く。
内容は短かった。
【七王統率】
【2/7】
オークキング。
そしてユグドラ。
二人目だ。
だが。
その直後。
さらに別の反応が現れる。
【七王から宣戦布告を確認】
【骸王モルド】
空気が変わる。
リリスが笑う。
スイも笑う。
俺も笑った。
どうやら。
次の王は話し合う気がないらしい。
それでいい。
むしろ分かりやすい。
ならやることは一つだ。
喰う。
王だろうが。
七王だろうが。
神だろうが。




