第63話 王国崩壊
【保有DP:2,380】
【侵食率:5.9%】
【ダンジョンランク:C】
【吸収ダンジョン数:3】
王都へ到着したのは三日後だった。
アルディア王国最大の都市。
人口数十万。
巨大な城壁。
王城。
騎士団本部。
そして四英雄。
本来なら何万人もの軍を率いて攻める場所だろう。
だが俺たちは違う。
軍隊ではない。
侵略者でもない。
ダンジョンマスターだ。
だから正面から戦う理由がなかった。
フィリアの案内で王都地下へ侵入する。
古い排水路。
数百年前に作られた地下通路。
王都の人間ですら忘れているような場所だった。
「本当に使えるんだな」
「王都育ちだからね」
フィリアが少し誇らしげに言う。
そのおかげで俺たちは一切戦うことなく王城地下へ到達した。
ここまで戦闘なし。
警報なし。
発見なし。
完璧だった。
そして。
王城最深部。
執務室。
そこには一人の老人がいた。
アルディア国王。
護衛は十数人。
強い。
だが。
ヴァルグほどではない。
「何者だ!」
騎士が叫ぶ。
スイが消える。
一秒後には終わっていた。
護衛全員が床へ転がる。
気絶。
あるいは死亡。
王だけが残る。
老人は蒼白になっていた。
「ば、馬鹿な……」
俺は王を見る。
今までだったら話を聞いたかもしれない。
だが時間が惜しい。
王国そのものに興味はない。
欲しいのは結果だ。
「吸収」
その瞬間。
王の身体が光へ変わった。
悲鳴もない。
抵抗もない。
ただ消えた。
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【アルディア王国国王を吸収しました】
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【DP+5,000】
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【特級魂を確認】
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部屋が静まる。
フィリアが固まっている。
無理もない。
ついさっきまで王国の頂点だった男が消えたのだから。
だが俺は別の表示を見ていた。
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【王国指揮系統の混乱を確認】
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もう終わった。
王国は今この瞬間から崩壊を始める。
そして予想通りだった。
数時間後。
王都全域が大混乱に陥る。
王失踪。
護衛壊滅。
原因不明。
騎士団は大騒ぎだった。
そして。
四英雄が招集される。
王都各地に散っていた英雄たちが王城へ向かい始めた。
だが。
それを待つ必要はない。
「始めるぞ」
俺は笑う。
今から英雄狩りだ。
◇◇◇
一人目。
聖騎士アルバート。
治癒と防御を得意とする英雄。
王城へ向かう途中。
狭い路地で襲撃。
リリスの蜘蛛糸。
スイの奇襲。
ブラッドファングの追撃。
十秒。
終了。
⸻
【英雄を撃破しました】
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二人目。
炎将軍ガレス。
王国軍最強の攻撃役。
王城へ急行中。
街道上でシャドウメイジの幻惑へ引っ掛かる。
気付いた時には囲まれていた。
十五秒後。
死亡。
⸻
【英雄を撃破しました】
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三人目。
剣聖エルド。
王国最速。
王都でも有名な英雄。
だが王失踪の混乱で単独行動。
そこをブラッドファングが発見。
スイと挟撃。
二十秒後。
終了。
⸻
【英雄を撃破しました】
⸻
フィリアが震えている。
理解が追いついていない。
「おかしい……」
当然だった。
英雄は国の守護者。
伝説。
怪物。
それが次々死んでいる。
しかも同じ夜に。
そして最後。
残るは一人。
王国最強。
四英雄筆頭。
白銀の女英雄。
レオナ。
王城へ到着した彼女はようやく気付く。
王がいない。
仲間が消えている。
何かがおかしい。
だが。
遅かった。
背後からスイが現れる。
正面にはリリス。
左右にはブラッドファング。
完全包囲。
レオナが剣を抜く。
美しい剣だった。
強い。
確かに強い。
だが今の俺たちは。
ヴァルグを倒した時より遥かに強い。
王を吸収した。
DPを得た。
英雄三人を施設化した。
勝負は始まる前から終わっていた。
「貴様らは何だ」
レオナが問う。
俺は少し考えた。
そして答える。
「支配者だ」
その直後。
総攻撃が始まった。
◇◇◇
夜明け。
王都は静かだった。
国王消失。
四英雄全滅。
騎士団壊滅状態。
指揮系統崩壊。
わずか一夜。
本当にたった一夜で。
アルディア王国は死んだ。
⸻
【アルディア王国を実質制圧しました】
⸻
思ったより早かった。
そして。
まだ深層主も。
地下世界も。
神すらも残っている。
こんな場所で立ち止まるわけにはいかなかった。




