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『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


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55/80

第55話 喰らうほど強く

【保有DP:2,663】


【侵食率:4.8%】


【ダンジョンランク:C】


【吸収ダンジョン数:2】


 コボルトダンジョンを吸収してから三日。

 俺はダンジョンの変化を確認していた。

 まず分かったのは、吸収によって強化されるのはDPだけではないということだ。

 コアそのものが成長している。


 魔力総量。

 感知範囲。

 配下との繋がり。


 全てが強化されていた。

 そして当然ながら、その恩恵は配下にも及ぶ。

 さらに、この三日でダンジョンの防衛も見直した。

 吸収したコボルトダンジョンから得た知識を利用し、侵入経路には新たな罠を増設。

 通路の一部は迷路状に組み替え、シャドウバットによる監視網も拡張した。

 万が一侵入者が現れても、まずは罠と監視で削り、奥へ進むほど配下が集中的に迎撃できる構造になっている。

 俺が外へ出ている間でも簡単には落とされない。

 ダンジョンそのものの守りは、以前より遥かに堅くなっていた。


 最初に異変を見せたのはスイだった。


「あるじ」


 訓練場でゴブリンたちを相手にしていたスイが首を傾げる。


「なんか、おなかいっぱい」


「意味が分からん」


「でもいっぱい」


 そう言った瞬間だった。

 スイの身体から魔力が溢れ出す。

 訓練場の空気が震えた。

 俺は即座に状態を確認する。


【原初の眷属:スイ】


【進化条件達成】


【コア成長】

【長期戦闘経験】

【累積捕食量】


 なるほど。

 今回の吸収が最後の条件だったらしい。

 スイは最初から戦い続けてきた。

 冒険者。

 討伐隊。

 人面蜘蛛。

 コボルト軍。

 誰よりも経験を積んでいる。

 さらにダンジョン吸収によるコア強化。

 限界が一段階外れたのだろう。

 光がスイを包み込む。

 数分後。


【進化完了】


【エルダースライム】


 以前と見た目は大きく変わらない。

 だが違う。

 魔力の密度が別物だった。

 スイ自身も驚いているらしい。

 軽く腕を振っただけで石壁に亀裂が走った。


「つよい!」


 本人は大喜びだった。

 リリスも苦笑している。


「完全に化け物ですね」


「お前も十分化け物だろ」


「ありがとうございます」


 褒めてない。

 だがリリスは満足そうだった。

 その時、新しい通知が表示される。


【Bランク進化条件】


【吸収ダンジョン数:5】


【現在:2】


 あと三つ。

 思ったより近い。

 フィリアも画面を覗き込む。


「普通のダンジョンなら一生掛かっても無理だと思う」


「そうか」


「もう二つ吸収してる時点で異常だからね」


 俺は少し笑った。

 異常で結構。

 強くなれるなら問題ない。

 その時だった。

 シャドウバットから映像が届く。

 山脈地帯。

 以前見つけた黒狼の牙。

 その周辺だ。

 だが今回は別のものが映っていた。


 人間。


 しかも冒険者ではない。

 重装備の騎士たちだった。

 数は三十以上。

 中央には豪華な馬車。

 旗印も見える。


「貴族か?」


 フィリアの顔色が変わる。


「まずい」


「またか」


「本当にまずい」


 珍しく真剣だった。


「地方領主の旗だよ」


 俺は映像を見る。


 騎士。

 兵士。

 護衛。

 かなりの規模だ。

 そして行き先も分かる。


 黒狼の牙。

 あのダンジョンだ。

 どうやら向こうも同じ獲物を狙っているらしい。

 俺は少し考えた。


 都合が良い。


 黒狼の牙。

 領主軍。

 両方まとめて利用できる。

 先に戦うのはどちらか。

 潰し合うのは誰か。

 考えるだけで楽しくなってくる。


「出発する」


 俺は即座に決断した。

 リリスがうなずく。

 スイは嬉しそうに飛び跳ねる。

 フィリアだけが頭を抱えていた。


「どうして毎回一番危険な方へ行くの……」


「効率が良いからだ」


 強い相手は価値がある。

 価値があるなら奪う。

 それだけだった。

 そして俺たちは山脈地帯へ向かう。

 次の獲物。


 黒狼の牙。


 そして、その先にいる領主軍を喰らうために。

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