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『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


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50/80

第50話 奪う者

【保有DP:93】


【侵食率:4.0%】


【ダンジョンランク:D】


【配下モンスター】


・スイ(ヒューマノイドスライム)×1

・リリス(原初のアラクネ)×1

・シャドウバット×1

・ゴブリン×11

・ポイズンスライム×3

・洞窟ネズミ×6


 赤く輝くダンジョンコアを前にして、俺は静かに表示を見つめていた。


⸻


【ダンジョンコアを確認】


【吸収が可能です】


⸻


 フィリアはコアへ縋り付くように抱きついている。

 涙で顔はぐしゃぐしゃだった。

 それでも離れない。

 最後まで守ろうとしているのだろう。

 無意味だとしても。


「お願い……」


 震える声が響く。


「お願いだから……」


 俺は答えない。

 代わりに吸収を選択した。


⸻


【ダンジョン吸収を開始します】


⸻


 瞬間。


 赤いコアが激しく輝いた。

 光の奔流が最深部を埋め尽くす。

 フィリアが悲鳴を上げた。

 コアへしがみつく腕に力が入る。

 だが止まらない。

 コアから溢れた魔力は巨大な渦となり、俺の意識へ流れ込んできた。


 ダンジョン構造。


 配下の情報。


 蓄積された魔力。


 長い時間をかけて育てられてきた全て。

 それらが一つ残らず俺へ取り込まれていく。

 フィリアは必死に首を振っていた。


「いや……」


「やめて……」


「やだ……!」


 だが誰も止めない。

 スイは不思議そうに見ているだけだ。

 リリスも無言で見守っている。

 やがて赤いコアへ亀裂が走る。


 一本。


 二本。


 三本。


 フィリアの顔から血の気が引いていった。

 自分のダンジョンが終わる。

 それを理解したのだろう。


⸻


【吸収率:27%】


⸻


【吸収率:54%】


⸻


【吸収率:83%】


⸻


 光はさらに強くなる。

 そして。


⸻


【吸収率:100%】


⸻


 赤いコアが砕け散った。

 無数の光の粒となって消えていく。

 最深部から魔力の流れが消失する。

 フィリアはその場へ崩れ落ちた。

 目の前で故郷が消えた。

 そんな表情だった。

 だが俺は別の通知を見ていた。


⸻


【ダンジョン吸収完了】


⸻


【DP獲得:1,127】


⸻


【保有DP:1,220】


⸻


 思わず笑う。


 過去最高どころではない。


 今まで積み上げてきたDPを一度に超えてきた。

 新人冒険者を狩る。

 討伐隊を潰す。

 そんな積み重ねが馬鹿らしくなるほどの数字だった。


 なるほど。

 ダンジョンマスター同士が争う理由が分かる。

 効率が違いすぎる。

 これなら奪う。

 俺なら迷わず奪う。

 そして通知はまだ終わらなかった。


⸻


【ダンジョンランク上昇条件を達成】


⸻


 次の瞬間。

 世界が震えた。

 俺はこの感覚を知っている。


 ダンジョン進化だ。


 膨大な魔力が流れ込み、ダンジョンそのものが作り変わっていく。

 壁が広がる。

 通路が伸びる。

 新たな空間が生まれる。

 魔力濃度が上昇する。

 数分にも数十分にも感じられる変化の後、ようやく全てが落ち着いた。


 そして最後の通知が表示された。


⸻


【ダンジョンランク:C】


⸻


 ついに到達した。


 弱小ダンジョンの時代は終わった。

 俺は静かに満足感を噛み締める。


「返して……」


 小さな声が聞こえた。


 フィリアだ。


 砕け散ったコアがあった場所を見つめながら、ぽつりと呟いている。


「返してよ……」


 俺は答えない。

 返す理由がない。

 これは戦利品だ。

 奪ったものだ。

 俺のものだ。


 フィリアは涙を拭うこともせず俯く。

 そんな彼女へ視線を向けながら、俺は新たな保有DPを確認した。


⸻


【保有DP:1,220】


⸻


 命名ができる。


 上級召喚もできる。


 生成も強化できる。


 選択肢は一気に増えた。

 だが焦る必要はない。

 強くなるための時間は十分ある。

 そして今の俺には、さらに重要なことがあった。

 ダンジョンを一つ吸収した。

 なら次だ。


 二つ目。


 三つ目。


 もっと大きなダンジョン。

 もっと強いダンジョンマスター。

 もっと価値のある獲物。

 俺はフィリアのダンジョンがあった場所を見つめながら静かに笑う。


 これが始まりだ。


 奪う側としての。

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