表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/80

第43話 隣人

【保有DP:143】


【侵食率:3.5%】


【ダンジョンランク:D】


【配下モンスター】


・スイ(ヒューマノイドスライム)×1

・リリス(原初のアラクネ)×1

・シャドウバット×1

・ゴブリン×8

・ポイズンスライム×3

・洞窟ネズミ×5


 森の奥を移動するゴブリンたち。

 その映像を見ながら、俺は考え込んでいた。

 冒険者ではない。

 野生の魔物とも違う。

 明らかに集団行動をしていた。

 しかも見張りまでいる。

 統率されているのだ。


「自然発生の群れではないな」


「そうですね」


 リリスも同意する。

 俺はシャドウバットの映像をもう一度確認した。

 五体のゴブリン。


 装備は粗末だ。

 棍棒。

 石斧。

 木盾。

 だが重要なのはそこではない。

 隊列を組んでいた。

 先頭。

 中央。

 最後尾。

 最低限ではあるが警戒しながら移動している。

 あれは訓練された動きだ。

 少なくとも偶然ではない。


「誰かが管理している」


 そう考えるのが自然だった。

 俺は思い出す。

 今まで警戒してきた相手は二種類だった。


 冒険者。


 そして深層主。


 ダンジョンの外から来る敵と、ダンジョン最深部に存在する怪物。

 だが、それ以外は考えたこともなかった。

 この世界にダンジョンが一つしかない保証などない。

 むしろ複数ある方が自然だ。

 俺が存在するのだから。

 他にも存在するはずだ。


「リリス」


「はい」


「ダンジョンマスターは珍しいのか?」


 少し考えた後、彼女は首を振った。


「分かりません」


「知らないのか」


 それもそうだ。

 リリスは外の世界を知らない。

 スイなどもっと知らないだろう。


「あるじ」


 スイが手を挙げる。


「なんだ」


「ごはん?」


「違う」


 即答した。

 スイは少し残念そうだった。

 最近は何でも食事へ結び付ける。

 その発想は嫌いではないが。

 俺は再び映像を見る。

 そして気付いた。

 ゴブリンたちの移動経路。

 一定だ。

 まるで決められた道を通っているように見える。


「帰っているのか」


 拠点へ。

 巣へ。

 あるいは――ダンジョンへ。


 その可能性が頭をよぎる。

 もし本当に他のダンジョンだとしたら。

 俺は少し興奮した。

 冒険者は資源だ。

 だがダンジョンは違う。

 そこにはDPがある。

 魔物がいる。


 そしてコアがある。


 つまり大きな価値が眠っている。

 普通なら警戒する場面だろう。

 未知の敵。

 正体不明の存在。

 危険かもしれない。

 だが俺が最初に考えたのは利益だった。

 何を得られるか。

 どれだけ強くなれるか。

 それだけだった。


「あるじ、顔こわい」


 スイが言う。


「そうか?」


「うん」


 リリスも小さく頷いた。

 どうやら無意識に笑っていたらしい。

 俺は咳払いをする。

 少し落ち着こう。

 相手がダンジョンと決まったわけではない。

 まずは情報だ。

 情報なくして勝利はない。

 女剣士の討伐隊から学んだことでもある。


「シャドウバット」


『キィ』


「追跡しろ」


 命令を受けた黒い蝙蝠は即座に飛び立った。

 静かに。

 音もなく。

 森の影へ溶け込んでいく。

 索敵能力なら配下の中でも最高だ。

 見つかることはないだろう。


 一時間。


 二時間。


 三時間。


 その間もダンジョンは動き続ける。

 ゴブリンたちは訓練する。

 ネズミは巡回する。

 ポイズンスライムは待ち伏せ位置を覚える。

 以前なら考えられなかった光景だった。

 少し前まで、まともな戦力はスイしかいなかったのだから。

 軍勢は着実に育っている。

 その事実に満足しながら待つ。

 そして夕方。

 ついにシャドウバットが戻ってきた。


『キィッ!』


 興奮している。

 珍しい。

 俺は即座に視界を共有した。

 映像が流れ込む。


 森。


 岩場。


 崖。


 そして――。


 洞窟。

 大きな洞窟だった。

 入口の前には見張りのゴブリン。

 中へ入っていくゴブリン。

 さらに奥。

 暗闇の先。

 そこにあった。

 淡く赤く輝く結晶。

 俺は息を呑む。

 見間違えるはずがない。

 毎日見ている。

 俺自身でもある。


「ダンジョンコア……」


 間違いない。

 他のダンジョンだ。

 その瞬間、俺の胸の奥で何かが高鳴った。

 恐怖ではない。

 期待だった。

 冒険者以外の敵。

 そして未知の存在。

 世界は思っていたより広い。

 そして俺は、自分以外のダンジョンを初めて見つけた。

 奪うかどうかは後で決めればいい。

 まずは知ることだ。

 相手の戦力。

 構造。

 配下。

 弱点。


 全て調べる。

 情報は力になる。

 それは人間から学んだことだった。

 俺は赤く輝くダンジョンコアを見つめながら、静かに次の計画を立て始める。

 新たな獲物か。

 あるいは新たな脅威か。


 その答えは、まだ分からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ