第41話 効率
【保有DP:105】
【侵食率:3.3%】
【ダンジョンランク:D】
【配下モンスター】
・スイ(ヒューマノイドスライム)×1
・リリス(原初のアラクネ)×1
・シャドウバット×1
・ゴブリン×4
・ポイズンスライム×2
・洞窟ネズミ×3
侵食率のことは気になった。
だが考えても分からない。
なら後回しだ。
今優先すべきことは明確だった。
戦力の強化。
そしてDPの確保である。
俺はダンジョン全体を見渡す。
第一階層。
一本道の通路。
落とし穴。
待ち伏せ。
誘導。
新人冒険者相手なら十分機能する。
だが、まだ足りない。
女剣士の討伐隊を思い出す。
あいつら相手なら今の戦力でも厳しい。
勝てるかもしれないが、損害は大きくなる。
「効率、ですか」
リリスが呟く。
どうやら俺の思考が読めたらしい。
「ああ」
「普通は生存を考えるのですが」
「俺はダンジョンだ」
生き残るのは大前提だ。
その上で、できるだけ損害を抑えて侵入者を資源に変える。
冒険者を倒しても配下を大量に失うようでは意味がない。
必要なのは勝利だ。
それも確実な。
侵入者を一方的に資源へ変える。
それこそダンジョンマスターの戦い方だろう。
その時だった。
『キィッ』
シャドウバットが飛来する。
偵察から戻ったらしい。
視界が共有される。
森。
獣道。
そして...人影。
三人。
冒険者だ。
だが前回より弱そうだった。
装備も粗末。
年齢も若い。
明らかに新人だった。
「また来たか」
俺は少し考える。
新人三人程度では大きな成長には繋がらない。
もちろん狩る。
だが、それだけだ。
俺が欲しいのは、ダンジョンをさらに強くするための土台だった。
「迎撃はどうします?」
リリスが聞く。
「いつも通りだ」
ゴブリン。
ポイズンスライム。
洞窟ネズミ。
そしてスイ。
訓練の成果を確認する。
それでいい。
俺はシャドウバットの視界を閉じる。
新人三人はもう結果が見えている。
今気になるのは別のことだった。
訓練施設。
侵食率。
そして軍勢。
目的はダンジョンを強くすることだ。
冒険者を殺すのはそのための手段に過ぎない。
だから俺は新人たちよりも、自分の配下たちへ視線を向けた。
ゴブリンたちが訓練している。
棍棒を振る。
連携する。
動きは以前より明らかに良い。
そして、それを見ながらふと思う。
「もっと数が欲しいな」
四体では足りない。
十体。
二十体。
いや、もっとだ。
第一階層を埋め尽くす。
侵入者を削る。
罠へ追い込む。
最後にスイやリリスが仕留める。
理想的だ。
その光景を想像していると、自然と笑みが浮かんだ。
どうやら俺は、思っていた以上にダンジョン運営が好きらしい。
その時だった。
視界の端で、訓練施設が僅かに光る。
女剣士の幻影が木剣を振る。
そして表示が現れた。
【ゴブリンの練度が上昇しました】
俺は目を細めた。
面白い。
どうやら訓練の成果が出始めたらしい。
強者を倒して得た施設。
弱者を育てるための施設。
無駄がない。
実に良い。
俺は新人冒険者のことなど忘れ、次の軍勢計画を考え始めていた。




