表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/80

第37話 使える駒

【保有DP:54】


【侵食率:3.2%】


【ダンジョンランク:D】


【配下モンスター】

・スイ(ヒューマノイドスライム)×1

・リリス(原初のアラクネ)×1

・シャドウバット×1

・ゴブリン×3

・ポイズンスライム×1

・洞窟ネズミ×2


 訓練施設を起動してから数日が経過した。


 最初は半信半疑だったが、効果は予想以上だった。

 ゴブリンたちは以前とは別物になっている。

 棍棒を振り回して遊ぶだけだった連中が、今では連携して動くようになった。


 二体が前へ出る。

 一体が後ろへ回る。

 単純な動きだ。


 だが冒険者相手なら十分嫌らしい。

 少なくとも以前のように突撃して死ぬだけではない。


「へぇ」


 思わず感心する。

 施設化された女剣士は伊達ではなかったらしい。

 洞窟ネズミも変化していた。

 以前は好き勝手に走り回るだけだったが、今は決められた巡回路を移動している。


 侵入者を発見した場合はシャドウバットへ伝達。

 そしてシャドウバットから俺へ報告。

 簡易的な警戒網だ。


 小規模ながら、確実にダンジョンらしくなっている。


 さらにポイズンスライム。

 こいつは通路脇へ潜み続ける訓練をしていた。


 動かない。

 ひたすら動かない。


 だが侵入者が近付くと飛び出す。

 地味だが厄介だ。

 新人冒険者程度なら十分脅威になる。

 俺は満足していた。


 強者一体より雑魚十体。

 今の俺にはその方が価値がある。


 スイやリリスは切り札だ。

 切り札を使う前に消耗させるべきだ。

 雑魚が削る。

 罠が削る。

 そして最後に強者が仕留める。

 それが理想だった。


 より正確に言えば、消耗を前提とした駒である。

 一体失えば損失は出る。

 だが損失と成果が釣り合うなら問題はない。

 駒は盤面を有利にするために存在する。

 生かすためではなく、使うために。

 その時だった。


『キィッ』


 シャドウバットが戻ってくる。


 視界共有。


 森の景色が流れ込んできた。

 木々の隙間を吹き抜ける風は弱く、葉擦れの音さえ妙に遠い。

 鳥の鳴き声も途絶え、森全体が息を潜めているようだった。

 湿った土の匂いと、張り詰めた空気だけがそこにある。


 人影。

 三人。

 武装は軽い。

 年齢も若い。


 どう見ても新人冒険者だった。


 その姿を捉えた瞬間、巡回中だった洞窟ネズミがぴたりと動きを止める。


 通路脇に潜むポイズンスライムも、わずかに体表を震わせた。


 ゴブリンたちは棍棒を握り直し、興奮と緊張の入り混じった息を漏らしている。


 初めての実戦を前に、配下たちの空気が目に見えて変わった。


 訓練の成果を試すにはちょうどいい。

 スイも気付いたらしい。


「ごはん?」


「そうだ」


 新人三人。

 以前ならスイ一人でも終わっていた相手だ。

 だが今回は違う。


 まずはゴブリンを使う。


 ネズミを使う。


 ポイズンスライムを使う。


 どこまで削れるか試してみる。

 勝てるかどうかではない。

 どの駒がどれだけ機能し、どこで壊れるのか。

 それを見極める方が重要だった。


 死んでも構わない。


 駒とはそういうものだ。

 使い潰されることに意味がある。


 一体が倒れて得られる情報は、一体を温存して得られない情報より価値が高い。


 躊躇する理由はない。

 必要なら全て切る。

 盤面を有利にできるなら、それが最も合理的だ。


 新人冒険者たちはまだ何も知らない。

 自分たちが見られていることも。

 既に狩場へ足を踏み入れていることも。

 静まり返った森の奥で、見えない糸がゆっくりと締まっていくような感覚があった。

 俺は静かに命令を下した。


「迎撃準備を開始しろ」


 ゴブリンたちが一斉に立ち上がる。

 その動きに合わせるように、ダンジョン内の空気がさらに重く沈んだ。


 初めての実戦が始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ