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『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


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第36話 軍勢の芽

【保有DP:144】


【侵食率:3.2%】


【ダンジョンランク:D】


【配下モンスター】


・スイ(ヒューマノイドスライム)×1

・リリス(原初のアラクネ)×1

・シャドウバット×1


 新人冒険者三人を捕食したことで、保有DPは144まで増加した。

 十分な蓄えだ。

 だが貯め込むつもりはない。

 女剣士との戦いを経て、俺は理解している。


 スイは強い。

 リリスも強い。

 だが強者だけでは足りない。


 必要なのは軍勢だ。

 侵入者を削り、罠へ追い込み、時間を稼ぐ雑魚たち。


 死んでも構わない駒。


 それが今のダンジョンには必要だった。

 俺は管理画面を開く。


【生成可能】

・スライム:10DP

・ポイズンスライム:30DP

・ゴブリン:50DP

・ゴブリンファイター:80DP

・コボルト:100DP

・落とし穴:30DP

・蜘蛛糸罠:60DP

・毒沼:80DP


 選択肢は増えている。


 ダンジョンランクが上がった影響だろう。

 だが今回は生成を閉じた。

 確実だが高い。

 今欲しいのは数だった。

 続いて召喚画面を開く。


【眷属召喚】


・10DP召喚

 一般眷属


・50DP召喚

 上級眷属出現率上昇


・100DP召喚

 レア以上出現率上昇


 スイもシャドウバットも召喚で手に入れた。

 だがリリスは苦笑する。


「期待し過ぎない方が良いですよ」


「そんなにか?」


「シャドウバットはレア個体です」


 つまり、かなり運が良かったらしい。

 だが今はレアを求めているわけではない。

 数だ。

 とにかく数が欲しい。


 とはいえ、DPを吐き出して何も残らなければ笑えない。軍勢作りは賭けでもある。


「10DP召喚を回す」


 リリスが頷く。


「軍勢作りですね」


「ああ」


 俺は召喚を開始した。


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:134】


・劣化魔石


「石だな」


「石ですね」


「こんなのもあるのか……」


 いきなりハズレだった。

 夢も希望もない。

 減ったDPだけが妙に重く感じる。

 だが生成との差を考えれば納得できる。

 続ける。


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:124】


・洞窟ネズミ


 小さなネズミが現れた。

 戦力としては微妙だが、索敵には使えそうだ。

 悪くない。

 期待した軍勢には程遠いが、ゼロよりはずっといい。


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:114】


・劣化魔石


「またか」


「よくあります」


 リリスは平然としていた。

 俺は少しだけ焦る。気付けば三十DP消えているのに、増えた戦力はネズミ一匹だ。

 そして四回目。


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:104】


・ゴブリン


 緑色の小鬼が現れる。

 その姿を見て、思わず笑みが浮かんだ。


「当たりだ!」


 ゴブリンは弱い。

 新人冒険者でも倒せる。

 だが今の俺には十分だった。

 生成なら50DP。

 それが10DPで手に入ったのだ。

 胸の奥で張り詰めていたものが少し緩む。

 軍勢を作るなら、こういう結果こそ欲しい。

 その後も召喚を続ける。


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:94】


・ポイズンスライム


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:84】


・劣化魔石


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:74】


・ゴブリン


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:64】


・洞窟ネズミ


【10DP召喚】

【DP-10】

【保有DP:54】


・ゴブリン


 召喚を終えた頃には周囲が随分賑やかになっていた。

【配下モンスター】

・スイ×1

・リリス×1

・シャドウバット×1

・ゴブリン×3

・ポイズンスライム×1

・洞窟ネズミ×2

 そして劣化魔石が3個。


 レアは出なかった。

 だが不満はない。

 欲しかったのは軍勢の種だ。


 もっと強力な戦力を夢見なかったわけではないが、今はこの小さな増加を積み重ねるしかない。


 スイはポイズンスライムを見つけると嬉しそうに近寄った。


「なかま!」


『ぷるる』


 見た目はほとんど変わらない。

 進化前の自分を見ているような気分なのかもしれない。

 だが俺は新たな問題に気付く。

 増えたのはいい。

 しかしこいつらは弱い。

 弱いだけならまだいい。

 戦い方を知らない。


 ゴブリンたちは棍棒を振り回して遊び始めているし、洞窟ネズミは勝手に走り回っている。


 このまま冒険者へぶつけても死ぬだけだ。

 数が増えた安心感より、簡単に失われる光景の方が先に浮かんだ。


「訓練が必要か」


 そこで俺は一つの施設へ意識を向けた。


【訓練施設】

【元女剣士】


 討伐隊を率いていた女剣士。

 強敵だった。

 だからこそ施設化された。

 今まであまり活用していなかったが、使わない手はない。


「訓練を開始しろ」


 命令と同時に施設が反応する。

 淡い光が広がった。

 ゴブリンたちの動きが止まる。

 次の瞬間。

 まるで見えない教師がいるかのように、整列を始めた。


「ほう」


 面白い。

 棍棒を構える。

 振る。

 下がる。

 また構える。

 単純な動きだ。


 だが先ほどまでの遊びとは違う。

 明らかに戦うための動きだった。

 洞窟ネズミも指示に従うように走り回り始める。

 索敵訓練だろう。


 ポイズンスライムも通路脇へ潜む練習を始めていた。


 俺は満足する。

 強者だけではダンジョンにならない。

 雑魚も育てる。

 罠も使う。

 そうして侵入者を少しずつ削り取る。

 それこそがダンジョンだ。


 使えるものは何でも使う。

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