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『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


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18/80

第18話 切り札

【保有DP:125】


【ダンジョンランク:D】


【配下モンスター】


・スイ(ヒューマノイドスライム)×1


・ゴブリン×1


・シャドウバット×1


 魔術師を失った討伐隊は三人になった。

 普通なら撤退を考える状況だ。

 だが女剣士は違った。

 彼女は立ち止まり、ここまでの戦闘を整理している。


 神官が死んだ場所。

 魔術師が消えた場所。

 シャドウバットが姿を見せた位置。

 罠の配置。

 通路の構造。

 その全てを繋ぎ合わせるように視線を動かしていた。


 嫌な予感がした。


 こういう相手は厄介だ。

 感情ではなく情報で動く。

 そして厄介な予感は当たるものらしい。


「盾役」


「はい」


「前を見なくていい」


 女剣士が言った。


「壁を見ろ」


 盾役が驚いた顔をする。


「壁ですか?」


「敵は壁と天井を利用する」


「前は弓使いが見る」


 その瞬間、俺は理解した。


 まずい。


 こいつは戦場を理解し始めている。

 討伐隊は隊列を変更した。

 弓使いが前方警戒。

 盾役が左右警戒。

 女剣士が後方警戒。

 死角を潰している。


 今までのような奇襲は通らない。

 それでも今の俺にはこれしかない。

 俺はスイへ命令を送った。


 狙え。


 スイが壁へ溶け込む。

 静かに移動する。

 そして盾役の背後へ回ろうとした瞬間――


「そこだ!」


 矢が飛んだ。


 鋭い一撃。


 スイの肩を貫き紫色の液体が飛び散った。


「っ!」


 スイが後退する。

 初めてだった。

 人型になってから初めてまともに攻撃を受けた。


 討伐隊はすぐに動く。

 弓使いが追撃。

 盾役が前進。

 女剣士が包囲位置を作る。


 想像以上に連携が速い。


 スイは逃げる。


 だが今度は追われる側だった。

 俺はすぐにシャドウバットへ指示を出す。


 視界妨害。


 しかし。


「邪魔だ」


 女剣士の剣が閃く。

 黒い翼が宙を舞った。

 シャドウバットが床へ落ちる。


 致命傷ではない。


 だが戦闘不能だ。


 監視役を失った。


 状況が一気に悪化する。


 さらに盾役がゴブリンを発見した。


「いたぞ!」


 一撃。


 本当に一撃だった。

 ゴブリンは盾に叩き潰される。


【配下喪失】


 頭の中へ表示が流れる。


 まずい...


 討伐隊は止まらない。

 まっすぐ奥へ進み始める。

 コアを目指して。

 最短距離で。

 俺は舌打ちしたくなった。


 今までの冒険者なら...


 恐怖した。

 混乱した。


 だがこいつらは違う。

 目的を見失わない。

 だから強い。


 数分後。


 討伐隊は第二階層の奥へ到達する。

 そして。


「見つけた」


 女剣士が呟いた。

 視線の先。

 そこには俺のコアがあった。

 距離は二十メートルほど。


 近い。


 近すぎる。


 ここまで接近されたのは初めてだった。

 スイが立ち塞がる。

 だが傷を負っている。

 盾役も健在。

 弓使いも生きている。


 勝率は高くない。


 このまま戦えば負ける。


 その事実を俺は冷静に認識した。


 だから選ぶ。

 温存なんて考えている場合じゃない。


【眷属召喚】


 新しい画面が開く。


【10DP召喚】

・一般眷属


【50DP召喚】

・上級眷属確立上昇


【100DP召喚】

・レア以上出現率上昇


 100DP召喚は運要素がある。

 だから今まで使わなかった。


 必要な戦力を確実に得るなら通常召喚の方が優秀だからだ。


 だが今は違う。

 欲しいのは逆転の一手。

 この状況をひっくり返す切り札だった。


【100DP召喚】


【DP-100】


【保有DP:25】


 巨大な魔法陣が展開される。

 第二階層全体を覆うほどの光。

 討伐隊も足を止めた。


「何だ……?」


 弓使いが息を呑む。

 女剣士も表情を変える。

 そして魔法陣の中央から、一つの影がゆっくりと姿を現した。


【レア個体確定】


【上位眷属を抽選中】


【――――】


 表示が乱れる。

 今まで見たことがない反応だった。

 嫌な予感と期待が同時に膨らむ。

 やがて光が弾けた。

 現れた存在を見た瞬間。


 討伐隊も。


 スイも。


 そして俺自身も言葉を失った。

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