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『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


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17/80

第17話 狩る者と狩られる者

【保有DP:65】


【ダンジョンランク:D】


【配下モンスター】


・スイ(ヒューマノイドスライム)×1


・ゴブリン×1


・シャドウバット×1


 神官を失った討伐隊は、その場で隊形を組み直していた。

 先頭に盾役。

 中央に魔術師と弓使い。

 最後尾に女剣士。

 互いの距離は近く、死角も極力潰している。

 新人冒険者なら恐慌状態になっていただろう。


 だが彼らは違った。


 損害を受けても冷静に立て直している。

 だからこそ厄介だ。


「報告通りじゃないな」


 盾役が低く呟く。


「少なくとも通常のダンジョンではありません」


 魔術師が周囲を警戒しながら答えた。


「神官を一瞬で引きずり込んだ魔物も異常です」


「魔物だけじゃない」


 女剣士が言う。

 全員の視線が集まる。


「何かが指揮している」


 その言葉に空気が変わった。

 俺は少しだけ感心する。

 ここまでで気付くか。

 優秀だな。


「ダンジョンマスターか?」


 盾役が聞く。


「おそらく」


 女剣士は断言しなかったが表情は確信に近い。


「魔物が強いんじゃない」


「戦い方が人間に近すぎる」


 正解だった。

 先に殺したい。


 俺はシャドウバットを飛ばす。

 小さな黒い影が天井付近を移動する。

 弓使いが即座に反応した。


「上!」


 矢が放たれる。


 シャドウバットは回避。


 だがそれで十分だった。

 全員の視線が上を向く。

 その一瞬。


 スイが動いた。


 壁から伸びた腕が盾役の足首へ絡み付く。


「っ!?」


 盾役が引き倒される。

 しかし討伐隊は早かった。


「魔術師!」


 女剣士が叫ぶ。

 火球が飛ぶ。

 スイは即座に腕を切り離して後退した。

 直撃こそ避けたが、完全な奇襲失敗だったのに俺は少し驚く。


 今までなら一人死んでいた。


 連携が良い。


 想像以上に良い。


「壁だ!」


 女剣士が叫ぶ。


「壁も天井も全部敵だと思え!」


 討伐隊は移動を始める。

 しかも速度が速い。

 留まらない。

 警戒しながらも進む。


 なるほど。


 受け身にならないか。

 正しい判断だ。

 その時、シャドウバットが新たな情報を伝えてきた。


 魔術師が少しだけ足を引きずっている。


 どうやら森を移動した際の怪我が残っているらしい。


 小さい。


 本当に小さい隙だ。


 討伐隊が狭い通路へ入る。

 前衛と後衛が縦に並ぶ。


 その瞬間。


 俺はゴブリンへ命令を出した。


 飛び出せ。


 ゴブリンが横穴から飛び出す。


「敵!」


 盾役が反応し剣が振り下ろされる。


 ゴブリンは一撃で吹き飛んだ。


 最初から捨て駒だ。

 重要なのはその後。


 全員の意識がゴブリンへ向いた。


 一秒にも満たない時間。


 だが十分だった。


 スイが魔術師の背後から現れる。

 細い腕が首へ絡み付く。


「なっ――」


 魔術師が声を上げる。

 そのまま壁の中へ引きずり込まれた。


 悲鳴。


 絶叫。


 そして沈黙。


 全てが終わるまで五秒も掛からなかった。

 討伐隊は追わない。

 追えない。

 追えば隊列が崩れる。

 それを理解しているからだ。

 だが理解していても、仲間が消える光景は精神を削る。


【侵入者を撃破】


【DP+60】


【保有DP:125】


 残り三人。


 女剣士。


 盾役。


 弓使い。


 そして気付く。


「狙われているのは後衛だ」


 女剣士が静かに言う。


「役割を理解して殺している」


 誰も反論しない。


「間違いない」


 女剣士は剣を握り直した。


「ダンジョンマスターがいる」


 その声には恐怖よりも警戒が混じっていた。

 ついに敵はこちらをただの魔物ではなく、一人の知性体として認識した。なら次からはもっと厄介になる。


 だが構わない。


 こちらも新しい戦力を手に入れる準備ができている。


 俺は125DPを確認しながら、新たに解放された眷属召喚へ意識を向けた。

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