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『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


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第14話 特別な一匹

【保有DP:100】


【ダンジョンランク:D】


【配下モンスター】


・スイ(ヴェノムスライム)×1


・ゴブリン×1


 討伐隊の情報を記憶から読み取ったあと、俺はすぐに新しく解放された画面へ意識を向けた。


 ユニーク進化ルート。


 それはスイ専用とも言える特殊な機能だった。


 最初は少し疑問だった。


 スイは確かに強い。


 だが、戦歴だけを見れば伝説的な魔物というほどではない。倒した冒険者の数も多くはなく、配下としての活動期間も短い。


 それなのに、なぜ特別扱いされるのか。


 表示された詳細を読み進めて、俺は納得する。


【ユニーク進化条件達成】


【初期種族召喚個体】


【名称付与済み】


【ダンジョンマスターとの高位精神接続】


【知識共有による個体変異】


【人類魔力の大量吸収を確認】


【特殊個体認定】


 どうやら理由は一つではないらしい。


 最初に召喚された配下だったこと。


 名前を与えられたこと。


 そして俺との繋がり。


 戦闘のたびに得た記憶や知識を共有してきた結果、普通のスライムではあり得ないほど精神構造が発達していたらしい。


 さらにミリアや冒険者たちの魔力を吸収し続けたことで、完全に別種へ変質し始めていたようだ。


 つまり偶然ではない。


 スイは最初から少しずつ変わり続けていて、その積み重ねが、今になって形になっただけだった。


【名称個体:スイ】


【ユニーク進化ルート】


【進化先候補】


【ヴェノムジェル】


【シャドウスライム】


【ブラッドスライム】


【クイーンスライム】


【ヒューマノイドスライム】


 俺は順番に確認していく。


 どれも強力だ。


 毒を極める進化。


 隠密に特化した進化。


 吸収能力を伸ばす進化。


 軍団運用向けの進化。


 どれを選んでも戦力は大きく向上するだろう。


 だが最後だけは違った。


【ヒューマノイドスライム】


【以降の進化可能性が変化】


【ユニーク系統】


 未来が変わる。


 そう書かれているように見えた。


 今だけを見るなら他の選択肢の方が強いかもしれない。


 だが俺が欲しいのは数日後の強さではない。


 もっと先だ。


 この世界で最強のダンジョンを作るための力だ。


 なら選ぶべき答えは決まっていた。


【進化先選択】


【ヒューマノイドスライム】


【必要DP:100】


【進化を開始します】


【YES】


 眩い光が広がる。


 スイの身体が崩れ、溶け、再構築されていく。


 毒々しい紫色だった身体は徐々に輪郭を持ち始め、人に近い形へ変わっていく。


 その変化は数分続いた。


 やがて光が消える。


 そこに立っていたのは、一人の美少女だった。


 長い紫髪。


 透き通るような肌。


 どこか幻想的な雰囲気を持ちながらも、その瞳には以前のスイと同じ色が宿っている。


 完全な人間ではない。


 髪の先や指先は時折液体のように揺らぎ、身体の一部にはスライム特有の透明感が残っている。


 それでも間違いなく人型だった。


 少女は自分の手を見つめ、不思議そうに首を傾げる。


「……あるじ?」


 声だった。


 今まで感情は伝わっていた。


 意思も理解できた。


 だが言葉は初めてだ。


 俺が驚いていると、スイは安心したように微笑んだ。


「よかった……ちゃんと、いる」


 どうやら精神接続そのものは残っているらしい。


 むしろ以前より強くなっている気さえする。


 その時、新たな表示が現れた。


【ユニーク個体誕生】


【名称個体『スイ』が特殊個体へ進化しました】


【ダンジョンボーナスを獲得】


【新機能解放】


・眷属召喚


 見慣れない機能だった。


 説明を開く。


【DPを消費しランダムな眷属を召喚】


【低確率でレア個体が出現】


【特殊個体との相性により確率変動】


 俺は少し考える。


 今までの召喚は決まった魔物を選んでいた。


 スライム。


 ゴブリン。


 必要な戦力を購入する感覚だ。


 だがこれは違う。


 何が出るか分からない。


 運次第。


 未知の戦力を得る機能だった。


 討伐隊が迫っている今、本来なら不確定要素は避けるべきだろう。


 だが未知の魔物を獲得できるなら話は別だ。特に今のダンジョンには選択肢が少なすぎる。スイ一人に依存しすぎている。


 新しい戦力は欲しい。


 かなり欲しい。


 問題は――。


【保有DP:0】


 進化に全て使ったことだった。


 画面を見たまま、俺はしばらく沈黙する。


 スイも画面を覗き込みながら首を傾げていた。


「あるじ……おかね、ない?」


 その言葉に思わず笑いそうになる。


 最強候補の特殊個体が誕生した。


 新機能も解放された。


 だが財布は空っぽ。


 現実は相変わらず厳しい。


 そして討伐隊は確実に近付いている。


 次に来る敵は今までとは違う。


 その前にDPを稼がなければならない。


 どうやら休んでいる暇はなさそうだった。

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