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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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ご近所ダンジョンさん 19

 心臓を貫かれた私は不意に意識を手放して、次に目を覚ました時。


 家に帰っていました。


「えっ?」

「ヒデオさんおかえりなさい」

「カオリさん?」

「はい。カオリです。どうかしましたか?」

「あっ、いえ、私は白鬼乙女さんに心臓を貫かれて……」


 胸を触ってどこにも傷がありません。


「ふふ、何を言っているんですか? 白鬼ちゃんなら、ほら」


 カオリさんに言われて視線を向ければ、サンタ帽子に可愛いサンタ服をきた白鬼乙女さんが、白い袋をぶら下げて、サンタコスプレをしておられます。


「なんじゃ目を覚ましたのか? 今日はクリスマスじゃぞ!」

「えっ? クリスマス?」

「そうじゃ、カオリと妾でお主にプレゼントじゃ」

「プレゼントいただけるのですか?」


 振り返ると、セクシーなトナカイコスプレをしたカオリさんが大人の色気を全開にしてポーズをとっておられます。

 最近は、見ることが少なくなったギャルメイクならぬ、美しい派手目なメイクをされています。


「ヒデオさん。愛しています」

「妾も愛しておるぞ」


 可愛い白鬼乙女さんと、美しいカオリさんから両方の頬へキスをいただきました。


 なんでしょうね。これは死ぬ前の走馬灯なのでしょうか? それにしては幸せすぎませんか?


「ご主人」

「ミズモチさん! ふふ、今日も私のサンタさんになってくれるのですか?」


 ミズモチさんがサンタ帽をかぶって、お膝の上に乗ってくれました。


 あ〜四人で過ごす時間は凄く幸せです。


 白鬼乙女さんによって心臓を貫かれた私は死を感じました。


 もしも目覚められないなら、こんな夢の中でいられたらいいのに……。


「そろそろ起きたらどうだ?」

「えっ?」


 不意に場面が変わって、巫女服をきた白鬼乙女さんが腕を組んで仁王立ちしておられます。


「なんじゃもう終わりかえ? それでは妾を娶ることはできぬぞ」

「めっ、娶るって私は妻もミズモチさんもおりますよ」

「何を言うておる。すでに妾は貴様にテイムされておるではないか、娶っておいて返却とは言わせぬぞ」


 白鬼乙女さんに負けて叱られてしまいました。


 ですが、私はすでに心臓を貫かれて、あとは眠りにつくだけです。

 カオリさんとの約束も、白鬼乙女さんとも守ることももうできないのですね。


「それにのう、お主はすでに人外であろう?」

「えっ?」

「人外ということは人ではない。魔物に近い存在ということじゃ」

「それはそうですが、いくら人外でも心臓を貫かれたら死ぬでしょう?」

「そもそも人外は心臓など必要とせん。何せ魔力こそが血液であり、魔石こそが心臓の代わりじゃ。お主の魔石はほれ」


 そう言われて、私は心臓を見ましたが、確かに貫かれて心停止しているのに拳を握れば力が出ます。


「ほれ、見てみろ。お主の魔石は傷一つついておらぬ。それにのう。いつまで人間でいるつもりだ? 人間として戦えば、妾には勝てぬぞ」

「人間として?」

「そうじゃ。なんのためにお主を鬼人化させたのかわからぬ。お主はすでに人を超えた存在。そして、魔物に近しい存在じゃ。しかもダンジョンを持たなくても外に出れる貴重な存在でもある。だから今一度考えよ。これまでお主が戦ってきたものたちのことを」


 これまで戦ってきた魔物たち……。


 私は多くの魔物と戦ってきました。

 ゴブリンやオーク、オーガやブル、ミノタウロスやドラゴン、鬼たちとはどれだけ戦ったのかわかりません。


「ふふ、それだけ多くの魔物と戦ってきたのならわかるであろう? お主の傷は致命傷ではない」


 そうやって言われれば、皆さん魔石を破壊するか、魔石の魔力を全て消費させなければ、倒すことができませんでした。


「お主の魔力は衰えておらぬ。そろそろ妾が話しかけてやれる時間はもう終わりじゃ。だから、最後に言っておくぞ。これが最後じゃ。もう人であることをお前もやめよ。そうでなければ妾の領域に辿り着くことはできない」

「わかりました。私は心のどこかで、夢で見た光景に辿り着きたいと思っていのかもしれません」


 昨年のクリスマスは静香さんにプレゼント頂き、ミズモチさんがサンタさんになってくれて、幸せなクリスマスでした。


 ですが、本日の私は死ぬ一歩手前で、幸せなクリスマスを夢を見ることしかできません。


「白鬼乙女さん。ありがとうございます。私は最後の一線を超えます」

「うむ。存分にやり合おうぞ。そうでなければ妾たちは互いに理解することはできないのじゃ」

「よろしくお願いします。


 私は人外として、人の心を捨てる覚悟を持つことしました。


 そうすると全身に力が漲り始めて、立ち上がることができる。


「ご主人」

「ミズモチさん。すいません。心配をおかけしました」

「大丈夫?」

「はい。ここからは私も枷を外します。もう、私が私として戻ってくることはできないかもしれません。その時はミズモチさんが私を殺していただけますか?」

「……その時は一緒だよ」


 私が死ぬ時はミズモチさんも一緒にですか? それは死ぬわけにはいきませんね。


 カオリさん、白鬼乙女さん、ミズモチさんとも約束をしてしまいました。


「では、いきます。ここからは人を完全に捨てます」


 私は心にかかっていた枷を外しました。

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― 新着の感想 ―
最終決戦か
更新お疲れ様です。 このままでは死んでしまうから仕方ないとはいえ、いよいよ最後のラインを越えてしまうんですね阿部さん…。例え勝てたとしてもカオリさんの事を忘れてしまう(人を止めた事で認識出来なくなる…
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