ご近所ダンジョンさん 14
巨大な阿修羅は動きません。
まるで何かを待っているように私を見つめています。
六つの腕にはそれぞれ違う武器を持っており、明らかに今まで出会ってきたどんな魔物よりも強いと判断できます。
危機察知さんの反応は虹。
虹>金>黒>赤>オレンジ>黄>緑
という強さの順位だと考えられるので、完全に最強の存在です。
待ってくれるなら私がすることは一つですね。
レベル 30(SP300)
SPをタッチすると項目が現われました。
・魔物の攻撃強化+29
・魔物の防御強化+29
・魔物の魔法強化+29
・魔物の魔法防御強化+29
・魔物の異常耐性強化+29
・魔物の回復力強化+29
・魔物の異常耐性回復+29
・進化の選択
・剣術上級
・人外への道 最終章
レベルが二つ上がっていますので、スキル恩恵により統合して表示しております。
new進化の選択
【進化の条件を満たした魔物がいます。進化させますか?】
・魔物の進化基準に達しました。進化をしますか?《YES/NO》
YESが選ばれますと、今の種族から変化して使えなくなる能力があるかもしれません。NOを選べば現状のままレベルが上がります。
「ミズモチさん進化しますか?」
「ヴュい!」
「そうですか、わかりました。私も覚悟を決めようと思います」
普通の状態で、あの化け物には勝てません。
「進化します」
ステータス画面からミズモチさんの進化を選択します。
紫色の体は次第に黒く染まって行きます。
二本のツノが生えてきて、強そうな姿へと変わってませんね。
相変わらず可愛いミズモチさんです。
個体名 ミズモチさん
種 族 デスホーンスライム
魔 法 水属性 氷属性 毒属性
特 殊 鬼化
どうやらこれまで鬼をたくさん倒したことで、鬼化という状態変化ができるようになったのです。
真っ黒な体がプルプルと震え、二本のツノが生えた鬼のようなスライムさんです。
ですがプルプルとしている姿は、いつものミズモチさんで、可愛さは変わりませんね。
new剣術上級
・東郷流活人剣免許皆伝となりました。全ての東郷流剣術が使えるようになりました。
スキルによって使えるようになるのは申し訳ありませんが今の私には心強い武器が増えてくれたことは羨ましいです。
new人外への道 最終章
・人をやめる決意が迫られています。
力を欲しますか? 力を授ける代わりに、あなたは人外認定を受けます。
人ではなくなるため、人の社会で生きていけなくなる恐れがあります。
それでもあなたは人外を受け入れますか?
【人外の条件を満たした人がいます。人外に進化させますか?】
ミズモチさんの進化項目と同じ表示が現れました。
私はステータス画面から人外へ進化を選択します。
「ご主人」
「ふふ、やっとミズモチさんの濁らない声を聞けましたね。少し高くて可愛らしい声なので大好きです」
「仲間」
「はい。今日から私も人外になります。少しだけ体が変化しますので、どうか嫌いにならないでくださいね」
「大好き♪」
ミズモチさんが大好きだと私に抱きついてくれます。
ブラックミズモチさんはとても可愛いですね。
私もすぐに変化を終えますから。
選択した瞬間から体の中で何かが蠢く感覚を覚えます。
全身に血流が駆け巡り、心臓の部分から自分の存在が入れ替わっていくのです。
「うがああああ!!!!!!!」
私の叫びに対して、阿修羅像は腕を組んで見下ろしています。
どうやら全てが終わるまで待っていてくれるようですね。
なら、遠慮なく私は痛みに身を委ねます。
「ミズモチさん。すみませんが少しだけお願いしますね」
「はい!」
ふふ、明確に言葉を発することができても、まだまだ言葉の勉強は必要ですね。
まだまだミズモチさん教えてあげたいことがあります。
ですから、必ず生きて帰って、たくさん楽しことをしましょう。
「うがああああ!!!」
全身を駆け巡るの波が何度も私を襲って、体の節々が砕けて、また繋がるような不思議な痛みが走り続けています。
成長痛と、自分の中で言葉が浮かびましたが、そんな優しい痛みではないですね。
それでも痛みに終わりがやってきて、全身から痛みが引いて行きます。
一体、どれだけの時間苦しんでいたのかわかりません。
ですが、ミズモチさんが倒れている私の口に水を流し込んでくれています。
「ありがとうございます。ミズモチさん」
「ご主人」
ミズモチさんが優しく私の口に食事を運んでくれます。
そうですね。ここまで戦い続けてお腹が空きました。
全てをなんとか咀嚼すると、ミズモチさんがもう一度水を飲ませてくれて、息を吐きます。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
体を起こすと、阿修羅が私を見て構えを取りました。
もう待ってはくれないのですね。
ですが、不思議です。
先ほどは怖くて、勝てないと慌てていた心が静かに戦えると思えています。
「やりましょうか」
「はい!」
ミズモチさんを撫でてあげて乗せてもらう。




