オーダーメイド装備
土蜘蛛ダンジョンは、消滅させることになったそうです。
強い魔物が大量に発生する危険性の方があると判断されたようですね。
私たちは2日ほど休暇を取ることにして、体を休めました。
そうやって過ごしている間に二週間という期間はあっという間に過ぎていきます。
「指名依頼の達成と、こちらが報酬になります」
色々な手続きがありましたが、全てカオリさんが行ってくれていました。
今は確認のためにスマホの画面を見せてくれています。
指名依頼の達成による報酬が3億円。
さらに土蜘蛛ボスの魔石とドロップが発見されたそうです。
魔石は依頼達成と同じ3億でしたが、オークションに出されるそうなので、どれくらいの値段がつくのかわかりません。
ドロップ品は上質な糸だったそうです。
すでに土蜘蛛の巣でドロップした糸で装備を作ってもらっているので、鑑定していただくと土蜘蛛ボスのドロップ糸は、10億の価値があると鑑定してもらえました。
そちらもオークションに出すので、これからどれくらいの金額で取引されるのかわからないと言われていました。
途方もない金額なので、私では到底管理ができません。
カオリさんがいてくれて心から感謝です。
今後、同じ質の糸が今後はいつ取れるのかわからないので、半分は残しました。
もう半分をユイさんに送って、オークションに出してもらいます。
それでも五億分の価値がある糸なので、どうなるか……。
糸の輸送は、冒険者ギルドが依頼を出して引き受けてくれました。
もう半分は、ミズモチさんに預けます。
「ブル〜」
いつ使うのかわかりませんが、どこかに預けるよりもミズモチさんに持っていてもらうほうが安全ですからね。
それにご近所ダンジョンさんや上位ダンジョンに入った際に、ミズモチさんの魔力が枯渇するようなことがあれば、魔力を吸収する代償として一番良い品物に思えました。
「指名依頼の達成で3億。それ以外はオークションですか?」
「はい。ユイさんが管理してくれるので安心できると思います」
「そうですね。今までも全てユイさんに任せてきましたから」
他のギルドからオークションに出してもらうこともありましたが、結果は全て専属のユイさんの元へ報告がされます。
私と冒険者ギルドとの間を取り持ってくれているのが、ユイさんなので、色々と全てを任せることにしました。
カオリさんが教えてくれたのですが、私の専属になることで利益の数パーセントがユイさんの出来高として入っているそうです。
生涯年収は稼げてしまったとユイさんから報告を受けたそうです。
ユイさんにも手伝ってもらっているので、お礼ができたことは喜ばしいですね。
それに最近はタツヒコたちホーンブレイクが全員B級に昇格したという報告も受けました。喜ばしいことが続くのは嬉しいことです。
「それと西折さんから、オーダーメイド防具が完成したと連絡がありました」
「いよいよですね」
「はい!」
二日の休みを満喫した我々は、新たな防具を手に入れるため西折さんを尋ねました。
「いらっしゃいませ。阿部さん。土蜘蛛ダンジョンの解放ありがとうございました。京都に住む者のと一人としお礼申し上げます」
「いえ、自分にできることをしただけです。今後は糸が取りにくくなるかもしれませんが」
「そんなことは気にしないでください! 人々の安全の方が大切です!
西折さんは優しくて立派な人ですね。
「それでは早速ではありますが、お二人の装備ができたので確認をお願いします」
「はい!」
そこには特殊なハンガーにかけられた着物が男女で用意されていました。
男性用には真っ白な羽織にミズモチさんを思わせる水玉模様が飾られております。
グレーの袴に帯、羽織紐に足袋に草履、着物の下に着る楔帷子。
和風着物装備一式です。
女性用には、クリーム色の着物に紫の花柄が飾られております。
薄い茶色の袴に帯、足袋に草履。
女性の袴姿の着物一式です。
「余った糸を使って、ミズモチさんには鉢がねを作ってみました」
西折さんが、ミズモチさんに巻き付けるように装備してくれました。
ミズモチさんが何かを装備するのは初めてです。
「ありがとうございます」
「よければ装備に着替えて写真を撮りませんか?」
西折さんの申し出に従って、私たちは着物へと着替えます。
普段は着ない装備なので、カオリさんは西折さんの奥様に、私は西折さんに着物の着方を教えていただき装備を整えました。
見えてはいませんでしたが、着物用の下着やその間に着る服などもあって、大変な着替えでしたがミズモチさんとお揃いの鉢がねを巻くと身が引き締まる思いがしました。
「凛々しいですよ」
私が振り返ると、可憐な女性が立っておられました。
和風な装いに合わせた髪留めもとても素敵です。
「カオリさんもいつもと違う雰囲気で、素敵です!」
「ふふ、ありがとうございます」
「それではお二人が立って、椅子にミズモチさんを座らせてあげてください」
私たちはミズモチさんを挟むように三人で新装備の写真を撮っていただきました。
大正ロマンの世界に入り込んだような不思議な感覚がします。
出来上がった写真は一生大切にしたいですね。
着物の料金は一式のセットで一つ五億。
二人分のセットで十億円の装備になりました。
これで装備も整いました。
私たちは京都を後にして、東京に帰ります。




