土蜘蛛ダンジョン 2
日付が変わって本日は東門から侵入しようと思っております。
一つは桜門が警戒されているのではないかということもありますが、桜門のリポップがどれぐらいなされているのかも確認したいので、他の門から入って変化を見ようということになったからです。
「きょっ、今日もたくさん糸を取りましょうね」
「カオリさん。落ち着いてください。瞳がエンマークになっていますよ」
昨日の活躍はカオリさんの独壇場でした。
ですから、昨日の稼ぎは全てカオリさんのお小遣いにしていただいたのですが、カオリさんでも興奮することがあるんですね。
「あっ、すみません。こんなにも大きなお金を自分の力で稼げるようになるなんて思いもしなかったんです」
「人はお金で狂うと言いますが、これまで冷静にお金の処理をしてくれていたので、意外でした」
「私もです。自分のものだと思うと、どうしても舞い上がってしまって恥ずかしいです」
「恥ずかしがることはありませんが、ダンジョンに行くので慎重に行きましょう」
「はい」
しゅんと肩を落とすカオリさんを見ていると言いすぎてしまったかもしれませんね。ですが、私としては危ないダンジョンに行く以上は楽観的な考えは持てないのです。
「気を引き締めていきます!」
「はい。作戦は昨日と同じで、変わった魔物がいた場合は警戒を強めましょう」
「よろしくお願いします」
「ブル〜!」
カオリさんの気持ちを入れ替えてくれたことで、私たちは東門を開きました。
東門は、木々が鬱蒼としていて蜘蛛の巣が多い。
「ダークバリア!」
《闇》の結界に名前を付けたのですね。
カオリさんが早速魔法を発動した瞬間に土蜘蛛たちが押し寄せてきました。
昨日の襲撃を警戒していたようです。
一気に押し寄せる数が昨日の比ではありません。
「ぐっ!」
カオリさんはレベル的には、低ランクのD級クラスです。
いくら断捨離スキルで魔力が尽きないと言っても、一気に対処できるほど経験値が足りていません。
「ミズモチさん。ダイヤモンドダスト」
ミズモチさんが冷たい息を吐くと、細かな氷の礫が散布して近づくいて来る土蜘蛛たちの動きを鈍らせる。
「アベ〜フラッシュ!」
私は頭を中心に360度全方位へ光を放ってカオリさんが吸収しやすいように撃ち落とします。
「ふぅ〜、どうやら落ち着いたようですね」
土蜘蛛軍団による襲撃は第一陣を防ぎ切って無事に済んだようです。
「ありがとうございました」
「どうされました?」
いきなりカオリさんにお礼を言われて、私もミズモチさんも驚きます。
「事前にヒデオさんに注意されていなければ、浮かれたまま侵入して二人に迷惑をかけていたと思います。注意をしてくれたおかげで、警戒してすぐに動くことができました」
カオリさんなりにも覚悟を決めて挑むことができてよかったです。
それにこれだけ大量の魔物に襲われれば慌てるのが当たり前なのに、しっかりと対処したカオリさんは十分に素晴らしい働きをしたと思います。
「それはよかったです。カオリさんの判断が早く一番に動いてくれたので、私とミズモチさんも余裕を持って動くことができました。こちらこそありがとうございます」
「ブル〜」
ミズモチさんもプルプルしながら、カオリさんに頭を下げるような仕草をします。
ふふ、ミズモチさんはいつでも紳士ですね。
「それでは周辺の調査に向かいましょうか?」
「はい! その前に蜘蛛の巣を取っておきますね」
「よろしくお願いします」
土蜘蛛の糸が高額で取引できることは昨日でわかりました。
私やカオリさんの装備を土蜘蛛の糸で作りたいと思っております。
楔帷子代わりに着ている全身白タイツは前回の鬼退治の際に脇腹あたりが切られてしまって、穴が空いてしまいました。
ですから新調して、カオリさんの防御力も一緒にあげたいと考えています。
土蜘蛛の糸は軽くて丈夫なので、今回は販売するのではなく私たちの装備のために必要になるので、どの程度必要になるのかわかりません。
「この辺りは全て取りました」
「ありがとうございます!」
カオリさんが吸収して、ミズモチさんに預けることでミズモチさんがモテるだけ土蜘蛛の糸を集めることができてしまいます。
「東門近辺は、それほど広くないようですね」
元々駐車場などがある場所なので、これ以上は土蜘蛛を集めるだけのようです。
確認のために桜門を見にいきましたが、昨日よりも蜘蛛の巣は数を減らしています。どうやら1日では全ての蜘蛛の巣は戻らないようですね。
どれくらいで完全に戻るかわかりませんが、本殿を残した北門に回ることも考えましたが、本日はカオリさんの疲労もあったので私たちは確認をしたところで、今回の調査を終えました。
装備を作ってくださる人を冒険者ギルドに紹介してもらおうと思いますが、オーダーメイドで装備を作ってくれる人にお会いしたことがないので、どんな方がおられるのでしょうね。
「調べたところ、京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内に職人さんがおられるようです」
カオリさんは相変わらず有能ですね。
すぐに調べてくれて、私たちは職人さんに会いに行くことにしました。




