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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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酒呑童子ダンジョン 3

 茶色鬼さんである星熊童子さんは、二本の大きな斧に鎧兜を身につけて、熊童子さんや虎熊童子さんよりも武装まで完璧です。


「ガハハハ、異形の鬼よ。どうだ我を倒せるか?」

「やってやりましょう」


 私は鬼切丸さんと白金さんを両手に構えて、左右の斧に対抗します。


 互いに二つの武器を持って戦いのは初めてですが、柳流杖術が、東郷剣術が私の頭の中で対抗する手段を導き出してくれます。


 スキルを発動すると自然に、体が動いて鬼人化した体は、脳が再現したい行動をなめらかで自然に再現してくれるのです。


「行きます」

「来るがいい!!!」


 私はここにきて初めて攻撃に転じました。

 二本の斧に力強く攻められては守りきれないと判断したためです。


 ですが、それは功を奏したようです。

 相手は二本の斧を使って防御を固めますが、私が行う攻撃の方が早い。


「くっ! やりおるわ! 防御に徹していなければヤバなんだ」


 今までの私はカウンターを決めて相手の隙を窺うことが多かったです。

 そのため攻撃に転じた際に、相手の防御を破る術を身につけていません。


 ですが、今の鬼人化した私は体が勝手に動いてくれるのです。


「なっ!」


 屈んだ私は真下から白金さんを突き上げて、星熊童子さんの意表をつきます。

 斧で防御した星熊童子さんを突き上げていく。

 白金さんはどこまでも伸びて、手放した星熊童子さんが空中で身動きが取れないまま、落下してくるところへ私は白金さんのサイズを伸ばした状態で横薙ぎに星熊童子さんを吹き飛ばしました。


 技も何もありません。ただただ力だけで全てを圧倒して見せただけです。


「ぐっぐう」


 地面に倒れる星熊童子さんに近づいて、私は鬼切丸さんを突き立てました。

 先ほどは敬意だと思っていましたが、どうやら私は鬼人化することで容赦なく魔物を倒す覚悟ができてしまっているようです。


「ヒデオさん!」


 魔石に変わらない星熊童子さんに、さらに追い討ちをかけようとした私をカオリさんが呼びかけたことで私は正気に戻りました。

 私は倒れて、死ぬ寸前の相手に何をしようとしていたのでしょうか?


 トドメ以上の何か酷いことをしようとしたのではないですか……。


 私は武器を手放して、鬼人化を解除します。


 そういなければ、自分が自分でいられないような気がしたので。


「グギギギガ!」


 先ほどまで話せていた金童子さんの言葉がわかりません。

 ですが、次は自分だと言っているような気がして、長剣を抜かれた金童子さんが私の前で構えています。

 

 ですが、今の私は……。


「ブルブル」

「ええ。今は私たちが!」


 うずくまる。私の前にカオリさんとミズモチさんが立ち塞がってくれます。


 ですが、金童子さんの危機察知反応は黒に近いグレーです。


「カオリさん!」


 気づいた時には、私は鬼人化を行なってカオリさんを抱きしめていました。


 カオリさんがいた場所に金童子さんが剣を振り下ろしており、私が抱きしめなければ、カオリさんを失っていました。


 何をしているのでしょうね。私は、大切な人を守るために力を得たのに、大切な人を奪われるところでした。


「ありがとうございます。カオリさん。もう私は大丈夫です」

「……ヒデオさん」


 心配そうに私を見上げるカオリさんの瞳を見つめて私は笑いました。


「任せてください」

「はい!」


 カオリさんは私たちから距離をとって、見守ってくれています。


「ミズモチさん。金童子さんは今までの三人よりも強いです。力を貸してくれますか?」

「ブルブル」

「ありがとうございます!」


 長剣を鞘に収めた金童子さんの体は鍛え抜かれて、一本の剣を思わせるように研ぎ澄まされています。


「いざ」

「はい!」


 鬼人化したことで金童子さんの声が聞こえてきました。

 ミズモチさんに乗って私も鬼切丸さんを上段に構えます。


「この一撃に全てを」


 相手の居合いに対して、私が放つの《雷》です。


 東郷流の初歩技にして、奥義と言ってもいい技です。


「ハァああああアアアア!!!!!」

「うおーーーーー!!!」


 横薙ぎの居合いと、まっすぐ振り下ろされる雷が交差します。


「ヒデオさん!」


 互いに技を放って交差した体に一筋の剣傷が浮かび上がり、私の右の脇腹から出血を伴います。


 誰にも切られたことがない。

 白タイツが初めて、斬られて出血しました。


「大丈夫です」


 私が振り返ると、金童子さんの左肩から心臓までが斬られて、魔石へと変わっていくところでした。


「もしも、鬼たちが同時に襲撃してきていたなら、私たちは危なかったかもしれませんね」

「はい。私が人質に取られていたかも」

「一対一の戦いだったからこそ、ここまでくることができました。彼らには彼らの誇りがあったのかもしれません」

「そうですね」


 私は四人が正々堂々戦ってくれたことに感謝の意を込めて、両手を合わせて弔いをしました。


 私が酒呑童子を倒すことができなければ、彼らはリポップして復活できるかもしれませんが、彼らの魂を泣かせてあげれるためにも私は酒呑童子さんを倒します。


「行きましょう」

「はい!」

「ブルブル!」


 頂上へ向けて歩みを進めます。

 


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