事前準備をしましょう
古くから日本に存在する鬼は単なる怪物の一つではありません。
人が作り出した、怨霊、伝説上の神、妖怪、宗教上の存在など様々な形で想像されてきました。
その定義は登場する場面によって異なります。
《鬼》はカミやシコなどとも読まれ、カミ=神 と解釈されます。
昔の人はあらゆるものに神や精霊が宿ると考えており八百万の神々と言いました。
中国では妖怪のことを鬼というそうです。
山や土地を守る神々を指し示すことがあります。
さらに、鬼の色には意味があると言われてきました。
日本では赤鬼や青鬼がイメージされることが多いです。
ですが、鬼の色には意味があり、大きく分けて、赤・青・黄(白)・緑・黒の5種類が存在します。
これは、5つの煩悩のことを、五蓋といい。
その五蓋を鬼の色に当てはめているため。つまり、鬼の色それぞれには意味があるんです。
赤鬼:赤色の鬼が表す煩悩は「貪欲」。すなわち人間の欲望を表しています。
赤鬼が一番有名なのは、この欲望があらゆる邪気の象徴であるためです。
青鬼:青色の鬼が表す煩悩は「瞋恚」。瞋恚とは怒りや恨み、憎しみといった人間の憎悪の感情の事を指します。
黄(白)鬼:黄(白)色の鬼が表す煩悩は「掉挙・悪作」。浮ついた心や甘え、執着など、自身の心の弱さを映し出しています。黄色の鬼は白色とも言われており、同じ意味を表しています。
緑鬼:緑色の鬼が表す煩悩は「惛沈・睡眠」。やるべきことをやらない、ダラダラと眠ってばかりいる、という怠けた心からくる不健康や不摂生を意味します。
黒鬼:黒色の鬼が表す煩悩は「疑惑」。自分や他人を疑う心や、愚痴などを指します。自身の中にある不平不満の心、卑しい気持ちを映し出していると言えます。
白鬼乙女さんは、人の心の弱さを司る鬼の象徴であり。
また仏教で夜叉は、鬼の神様のことを表すそうです。
人を食らう性格も併せ持つ鬼神である反面、人間に恩恵をもたらす存在と考えられてきた。
白夜叉姫の由来を調べるために多くの文献を読んだ私は、少しだけ体が身震いしているのを感じました。
「つまり、白夜叉姫様は、人の心の弱さを映し出すような鏡で、鬼でありながら、神に名を連ね、時に人を喰らい、人に恩恵をもたらすのですね」
私には心当たりがたくさんあります。
ミズモチさんと敵が少ないダンジョンであるという心の弱さ。
そして社畜として虐げられてきた日常。
そんな際に出会った白夜叉姫ダンジョンによって、受けた仕打ちと恩恵。
もしも、私がゴブリンを倒せていなかったら、私はご近所ダンジョンさんに食べられていたのかもしれません。
ですが、それが食べられないで、与えられた試練を乗り越えたことでドロップ品という恩恵を受けられたのですね。
「ご近所ダンジョンさんの由来を知ったことで、あのダンジョンが私をここまで育ててくれたと改めて思えます。どれくらいの期間がかかるのかわかりませんが、必ず突破してあなたとの約束を果たしたいと思います」
冒険者ギルドにある資料室をユイさんにお願いして使わせてもらいました。
「それにしても今までは知らなかったとはいえ、鬼の神様だったんですね。白鬼乙女さん。それはSランク認定されてもおかしくありませんよ」
ご近所ダンジョンの由来と、どのようなダンジョンなのか改めて調べてみましたが、調べたが故に怖くなってしまいました。
「ふぅ、それでも覚悟を決めましたからね。ミズモチさん。お待たせしました。そろそろ行きましょうか?」
「ヒデヴュ〜!」
本日は冒険者ギルドにもう一つの目的があってきました。
私はユイさんとカリンさんに声をかけて、いつもの応接間にやってきました。
「カリンさん。本日はお世話になります」
「うん。任せて。その前に我王髑髏のオークション費用が戻ってきているから、精算からしようか。ユイ、お願い」
「はい!」
我王髑髏の兜(最高級品)
我王髑髏の具足左右(最高級品)
我王髑髏の魔石
「オークションに出したのはこちらでお間違いありませんか?」
「はい。問題ありません。それでは入金します」
我王髑髏の兜(最高級品) 1 5億8500万
我王髑髏の具足左右(最高級品) 1セット 10億
我王髑髏の魔石 1億
「合計16億8,500万になります」
「はっ?」
桁がおかしくなってしまったのでしょうか?
推定金額の五倍ほどの金額がついています。
「冒険者たちの中でも今まで発見された防具では最高級品で、本当は0が一個足らないのではないかと話題に上がったほどだそうです。ですが、規定の金額がなく。今回はこの金額で落ち着きました。もしかしたら、転売をされる際はもっと高く売れていくことになるかもしれません」
「えっ?」
「それほどの需要があるアイテムでした。また、鎧もあって鎧武者セットだった場合は、100億を超えていたそうです」
私は頭がおかしくなったのでしょうか? もう、白鬼乙女さんがどれだけの恩恵を私にくれたのかわからないほどになってきました。
「それと、阿部さんの依頼通り、最高級品の装備を集めといたよ。あとは好みやと思うから、阿部さんが装備したいやつを選んで」
そう言ってパンフレットを渡してくれました。
ご近所ダンジョンさんにいく前に装備を一新します。




