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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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マンティスダンジョン 終

 東郷師匠の一撃は、本来であれば刀と一緒に私の体を真っ二つに切り裂く威力を持っていた技だと思います。


 ですが、東郷師匠のお体が本調子ではなかったこと。

 そして、私が咄嗟に円の中に柳流杖術《夢幻》を発動したことで、互いの動きは同じ朧げなものとなり、衝突を避けられました。


「お見事!」


 膝を折った東郷師匠からお褒めの声が上がる。


「師匠」


 私は剣術以外の技法を使いました。


「ああ、大丈夫だ。しかし、今の動きは全く見抜けなかった。君が使った《流水》に近い動きであったな」


 東郷師匠は楽しそうに笑っておられた。


「杖術の奥義の一つなのです。私は攻撃的な動きはあまり得意ではないのですが、東郷師匠が見せてくれた《円》や《流水》は私にとって馴染み深かい技でした。何より性格に合っているのだと思います」


 攻撃的な技よりも、防御や返し技が私には合っています。


「そうか、うむ。剣術はそれぞれに型があり、流派が存在する。だが、基本的には八つの切り方の応用であるとも言える。君は独自の戦い方を確立している。それは下手に剣にこだわった戦いをしない方が良いかもしれない」


 これまでの杖が剣と合わさった気がします。


「極めるとは人それぞれだ。阿部君には阿部君の方法がある。もしも、剣に迷うのであれば、いつでも聞きにきなさい。私が君の師匠であることは変わらないが、今日をもって指導は完了としておこう」

「よろしいのですか?」


 私の問いかけに東郷師匠は剣を鞘に収める。


「師が弟子に負けた。それは弟子が師を超えたことを意味する。君が身体強化や魔法など、他の要因で私を倒したのであれば、認められなかったかもしれない。だが、剣術での立ち合いにおいて私と相打った。それで十分君の剣は完成されていると言える」


 東郷師匠のお墨付きをいただくことができました。


「それにのう、基本ができて仕舞えば、あとは自分次第なんじゃよ。剣の道は一日にして為らず、永遠に続くモノなのじゃ。基本ができていも自分の剣を思考し続けなければならぬ」

「はい! ありがとうございました」

「うむ!」


 私は床に正座をして、東郷師匠にお礼を伝えました。


 今後もご指導いただくとは思いますが、それでも剣術の基礎を終えることができてよかったです。


 私は東郷剣術道場を後にして、マンティスダンジョンに向かいました。


 確かに金銭を稼ぎ、剣術を学ぶ上ではマンティスダンジョンは良い経験になりました。

 ですが、東郷師匠がおっしゃるように、どこかで自分の心に慢心があったかもしれません。


「命の危機は感じていませんでしたね」


 安心安全で、不安がない戦い。


 ですが、それは戦いという場所ではそぐわない感情なのかもしれません。

 やはり危機感を持って、常に自分を戒め律する必要があるのです。


「ミズモチさん。本日でマンティスダンジョンを攻略します。そして、もう一度感覚を研ぎ澄ませる高ランクダンジョンへ向かったのち。私はご近所ダンジョンに挑戦しようと思います」

「ヒデヴュ〜!」


 ミズモチさんに心配されます。


「正直怖いです。ガシャドクロさんとの戦いも怖かったです。最初の頃から、ずっとご近所ダンジョンさんで出会う魔物との遭遇は命のやり取りばかりでした。それでも私が今まで生きて来れたのも、こうしてAランクになれたのも、全ては白鬼乙女さんのおかげだと思うのです。ですから、彼女を解放したい」


《いいよ〜! やろう〜!》


「ありがとうございます!!!」


 ミズモチさんの許可をもらって、私は目標を定めました。


「さて、その前にマンティスダンジョンを攻略していきましょうか?」

「ヒデヴュ〜!」


 私は鬼切丸さんを携えて、マンティスさんたちを切り裂いていきます。


 どんどん奥へと進んでいくと、五メートルぐらいはありそうな巨大なマンティスが現れました。


「あれがボスでしょうか?」

「ヒデヴュ〜」


 危機察知さんの警戒は赤に近いオレンジです。

 やっぱりボスでも赤色にならないので、カンガルーさんに比べれば危機感を感じません。


 六本の鎌を構える茶色いマンティス。


「ギシャーーーーー!!!!」


 威嚇するボスマンティスの奇声に私は静かに鬼切丸さんを構えます。

 恐怖耐性や精神耐性など、多くの気持ちを落ち着ける耐性のおかげで気持ちが落ち着いて、恐怖心を感じないからこそ、危機感も持たずに戦いに赴いていました。


「いつの間にかスキルに頼って精神耐性が成長していたんでしょうね。あなたを見ても怖いと思いません。他のダンジョンに向かえていたのも精神耐性なのかもしれませんね」


 私は鬼切丸さんを下段に構えて、ボスマンティスを相打ちました。

 六本に増えた鎌をゆっくりと受け流して、すり抜けるようにボスマンティスの横を通り抜けました。


「ふぅ、流石に東郷師匠のようにはできませんが、柳流杖術《夢幻》のスキルを応用することで上手くいきましたね」


 たったの一合。


 ボスマンティスを倒すことができました。


 東郷師匠に比べれば、大した相手ではありません。


「ドロップも、レベルアップもなしですね。ふぅ、こういうところも出ることが当たり前だと思っているような気がします。ダメですね。東郷師匠にご指摘いただいたことで、自分が如何にダンジョンに対して偏った思いを持っていたのか思い知らされます」


 東郷師匠に指摘を受けた通り、極限の状態でしか力を発揮できないのか? 自分の気持ちを整理しないといけないです。


 白鬼乙女さんに挑戦する前に、己を知らなければいけません。

今年も一年ありがとうございました!


来年もどうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
今年ラスト更新お疲れ様です。 また一つ壁を越えましたね阿部さん。守るべき家族も得た訳ですし、まだまだ強くなって欲しいですね! それでは今日はこの辺りで失礼致します。 今年一年お疲れ様でした、来年も…
楽しく読ませて戴いております。 来年も宜しくお願いします。
良いお年を!
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