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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界

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1話 やらかし男の後始末.4


 2026/03/10 加筆修正致しました。



 今日の夕飯は、山盛りロールキャベツ。

 ミルンが巻き巻き機になったお陰で、百個のロールキャベツが、出来上がりました。


「どっこいせっ。ミルンは、寝ている皆んなを起こして、食堂まで連れて来てくれ」


「わかりましたっ」


 えっちらおっちら、鍋運び。皿を準備して、皆んなが来たら、配るとしますか。

 ボーッと待ってたら、足音がドドドドと迫って来て、腹ペコケモ耳っ子の到来だ。


「ごはーんっ!」


「こらラカスっ! 落ち着きなさいっ!」


「ラカスはおちつきがないっ」


「腹減ったぁ」


「おなか……へったぁ」


「なんのおにくですかぁ」


「むうううううっ、はらぺこでーすっ!」


 猫人のラカス、狐人のノーイン、人間のノリスに、鬼人のモスク、種族不明のラナス、羽人のコルル、モンゴリ君だな。


「ほら、そんちょ。はやくっ」


「ごはんっ、ごはんっ」


「分かっておる。そう急かすでない」


「おとうさん。つれてきたの」


 村長にくっ付いて、メオとミウも来たか。

 

「連れて来てくれて、ありがとさん」


「ミルンはここにすわる」


「はいよ。そこはミルンの席だな」


 ドゥシャさんと、院長影さんが来ないな。今の内に、配膳を済ませるか。

 ケモ耳っ子達の前の皿に、ロールキャベツを盛り付けて、後は二人を待つだけ。

 皆んなの目が、怖いわぁ。

 特に、犬人のミルンとミウよ。

 二人共……口から涎が滝ですか?


「大変お待たせ致しました」


「旦那様。私めは、ミルン御嬢様のお世話を致しますので、どうぞお先に、お召し上がり下さいませ」


 来て早々、何を言ってんのこの人は。


「ドゥシャさん。ご飯は皆んなで食べるからこそ、美味しいんだ。座りなさい」


「っ……畏まりました。ミルン御嬢様、お隣に失礼致します」


「どうぞどうぞ、じゅるっ」


 うしっ、これで全員揃ったな。


「それじゃあ皆んな。手を合わせて、頂きます」


「「「いただきますっ!!」」」


 はいっ、ロールキャベツ全滅しました。

 百個なんて、食べ切れないだろうと思っていたのに、見事に無くなったわ。

 

「……ミルンのお腹が、スイカだなぁ」


「うっうごけないっ、たすけておとうさんっ」


「食べ過ぎだっての」


「だっこっ……おへやにつれてってっ」


「また抱っこか……」


 腕をぐるぐる、腰を回してストレッチ。

 ギックリ腰が、怖いからね。


「行くぞっ! どっせいっ! おもっ……くないよっ! こんなの軽い軽いっ!!」


「……しつれいっ!」


「鼻に手を近付けないでっ!?」


 一歩一歩ゆっくり歩き、階段を上がり、二階奥の部屋。俺とミルンの部屋に入り、置いてあるベッドへ、全力の放り投げ。


「どりゃああああああっ!」


「わぷっ!?」


「っ、はぁっ、はぁっ、腕死ぬかと思ったわぁ」


「ふがふがっ……すぅ、すぅ……」


「えっ、もう寝たのっ!?」

 

 顔面からお布団にダイブして、僅かな時間で夢の中って、疲れてたのか。


「そりゃ疲れるか。隕石落下から、ずっと動いてたもんな。俺も少しだけ、寝るとするか」


 少し寝たら、ドゥシャさんと院長影さんに、村の状況を説明しないとだ。そう思い、ミルンに毛布を掛けて、その隣で横になり、そっと目を閉じ────凄い夢を見た気がする。ミルンが急に、妹キャラになる夢だ。

 何だろう……義妹じゃ無くて、娘だよね?

 夢だから、俺の願望なのかなぁ。


「おとうさんっ! もうあさだよっ!」


 目を覚ましたら、朝でした。ドゥシャさんに軽く、怒られましたとも。

 そうして、隕石なんてあったっけ? と思う程、のんびりとした日が続き、その四日目。ようやく、リスタとアジュが帰って来た。

 大量の移住希望者を、引き連れてな。

 



 それは、朝の運動がてら、のんびりと散歩をしている時に訪れた。

 マッスルホースの馬車が、三十台以上の列を成し、ガタガタと音を鳴らしながら、ゆっくりと近付いて来る。


「えぇ……何あれ?」


 直ぐに屋敷へと帰って、村長を呼んだ。


「なあ村長。あれ、何か分かるか?」


「先頭を走っているのは、あの二人であるな」


「リスタとアジュか……手を振ってるぞ」


 集団の先頭を走る、リスタとアジュが、結構な速さで近付いて来た。

 あいつら、マッスルホースの扱い上手いな。


「流さん、ヘラクレス様。遅くなりました」


「よぉっ! 仕事済ませて来たぜっ!」


「二人共お疲れさん……と言いたいけどさ。あの集団何? 商人や職人だけじゃ無いのか?」


「それですが、陛下より、ヘラクレス様宛に、手紙を預かっております」


「私であるか?」


 村長は手紙を受取り、封を切って目を通すと、頭を抱えて、その場に蹲る。


「どうした村長?」


「流君……っ、彼らは、移住希望者である」


「移住希望者?」


「うむっ。王都で不当に扱われていた者達が、陛下の一声で解放され……ラクレル村の新たな村民として、寄越されたのだっ」


「あぁ──成程? リスタ、説明よろ」


「僕ですか?」


 リスタとアジュは、王都へ到着して直ぐ、冒険者ギルドへ向かい、商業ギルドへ働きかけて貰って、人員を手配した。

 それをルシィが嗅ぎ付けて、ついでとばかりに移住希望者を募り、手紙と一緒に、ああして寄越した訳だ。

 村が消えたと知ったルシィは、『それならば、丁度良いでは無いか。住み易い村を、新たに作るが良い』と……そう言う事だ。


「ルシィの奴、押し付けやがったな」


「うむ……費用は陛下持ちだが、あの人数を受け入れよとは……家も無いと言うのに」


「そう言ってる間に、皆んな集まって来てるぞ」


「ぬぐぅっ……致し方あるまい」


 目の前には、犬耳猫耳不思議耳を生やした、若いめの獣族達が、不安そうな目で、俺達を見つめてくる。


「何人居るんだ?」


「それも手紙に書いておる。男性三十名、女性百名、子供は五十名であるな」


「女性と子供が多いな……成程ねぇ」

 

 王都で"不当"に扱われていたと、手紙に書いてあるのなら、恐らくは元奴隷。

 男性は肉体労働、女性は美人揃いで、何をされて来たのか、あまり考えたくは無い。子供に至っては……目が死んでんのよ。


「おとうさん、なにしてるの?」


「おはようミルン。丁度良いな、あの子達と少し、遊んでいてくれないか?」


「うーん……がうっ!!」


「えっ、何で威嚇?」


 ミルンが威嚇すると、小さなケモ耳っ子達がビクッと反応して、種族を問わず、腹を見せたり、頭を下げたりと、服従のポーズをとった。


「これでいいの。んしょっ、んしょっ」


「肩車は良いんだけど、どう言う事?」


「あのこたちのボスが、ミルンになったの。これでちゃんと、くらしていけるっ」


 あの一瞬で、ケモ耳っ子達のボスになった? 犬人の習性だろうか。


「お初お目にかかります、ヘラクレス様。私、商業ギルドから参りました、ネガリと申します。御要望の品を、お持ちしたしたので、どうぞご確認下さい」


「うっ、うむっ。確認させて頂こう」


「おう騎士様っ! 儂が建築を担当する、バリアスじゃっ! 宜しくのっ!」


「宜しく頼むのであるっ」


 あっちの二人、俺には挨拶無しか……まあ良いんだけど。一人こっちに来るし。


「何であんたが来てんの? ネリアニスさん。冒険者ギルドの、副ギルドマスターだろ?」


「お久しぶりです、流さん、ミルンさん。新たな村に、ギルドを新設する為、こうして来させて頂きました」


「そう言えば、ラクレル村には、ギルド無かったな。拠点拡大には丁度良いと……」


「仰る通りです。新設される冒険者ギルドの、ギルドマスターとして、活動させて頂きます」


 そう言いながらも、ネリアニスさんの視線が、ミルンの尻尾を追いかけてるの。

 ブレないなぁ、この人。


「失礼しますね」


「なあに、ねりあにす?」


 俺の肩から、ミルンを取り上げて、抱っこしたまま尻尾をモフってるよ。


「はぁぁぁ、癒されますね」


「なでなで、きもちいいっ」


 ミルンが嫌がら無いなら、問題無いか。


「あのぉ……」


 ミルンを眺めていたら、移住希望者の中から一人、羽人族特有の、白い翼を生やした女性が、ゆっくりと近付いて来る。


「んっ、どうした?」


「えっと……貴方様は……魔王様ですか?」


「はぁ……急に何言ってんの?」

 

 俺が魔王なんて、そんな訳無いだろ。


「どこからどう見ても、人間だろ? 何でそんな、変な事を聞くんだ?」


 この乳デカ姉ちゃん……ジッと俺を見て来るんだけど、何してんの?


「でもぉ……貴方様の称号が……そのぉ、魔王と」


「称号……っ!?」

 

 この姉ちゃんっ、鑑定スキル持ちっ!?


「魔王様?」


「魔王って聞こえたぞ」


「まさかっ……魔王様なのか?」


 それが聴こえていたのだろう。

 移住希望者のケモ耳達が、ザワザワと騒ぎ初め、乳デカ姉ちゃんが、俺に向かって跪くと、皆一斉に跪き、頭を下げて来た。


「ちょっ、何やってんのっ!?」


「魔王様っ! どうか我等に……っ、この地に住まう許可をっ、頂きたく存じます」


「えぇ……俺にそれ聞く?」


 村長、親方、商人は、一体何が起きたのかと、疑問に首を傾げている。

 ネリアニスさんは、ミルンの尻尾に夢中過ぎて、この状況に、気付いていない様だ。

 俺は一度、空を見上げて、息を吐く。


「ふぅ……意味が分からん」


 何事かと、屋敷からドゥシャさんが出て来たが、この状況を見ても、素の表情でした。



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