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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンの居る世界

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2話 この子誰の子元気な子.4


 2026/08/03 加筆修正


 恐かったのぢゃぁっ、恐かったのぢゃぁっ。何なのかやあの魔王はっ! 我の知っとるどの魔王共よりもっ、恐い魔王なのぢゃっ!


「ぽぽぽぢゃぷっ!」


 あと少しで、新鮮な柔らかいお肉が、食べれたモノを……っ、ぢゃましおってっ! 力が戻ったらっ、仕返ししてやるのぢゃっ!


「がぽがぽぽ、ももぢゃっ!!」


 うむぅ……水の中ぢゃと、喋りづらいのぅ。

 それにしても、前に食べた肉は中々に美味だったのぢゃ。誰か居ったが、こっそり獲物を奪ってやったのぢゃっ! ふはははっ!


「ぷぱぱぱっ!」


 ゴキュルルルッと、お腹の音が煩いのぢゃ。

 腹が減ったのぅ……流石にここまで待てば、あの魔王も消えとるかや?


「ぷぷぷ……」


 何を怖気付いておるっ! 我は恐れられる存在なのぢゃからしてっ、あんな魔王を怖がる理由などないのぢゃっ! でも見つかると危ないから、こっそり行ってみるのぢゃ。


「ぽぱっ!」


 次は怒られないように、確認してから食べるのぢゃ。これなら魔王も手を出さまいて。名案なのぢゃっ! 我賢い!


「のぢゃぁ……居ないかやぁ……」


 そぉっと湖から顔を出し、周囲を確認。


「良し良し、居ないのぢゃ」


 這いずりながら陸へと上がり、そのまま辺りを散策して、肉を見付け次第喰らい付く。


「焼いた肉の方が、美味しいのぢゃがのぅ……贅沢は言ってられぬのぢゃ」

 

「ほう。この娘が、流君が言っておった者であるか。鬼人……いや、角の形が違うのであるな」


「のぢゃっ!? 誰かや御主っ!?」


 しくじったっ! 此奴らしゃがんで、こちらから見えない様に、隠れておったかやっ!?


「ふんぬっ!」


 その男の筋肉が盛りっと膨らみ、白い歯を見せて、笑顔で走り迫って来る。


「ムキムキなのぢゃっ!? 恐ろしい化物なのぢゃあああああああああっ!?」


「ふはははっ! ちょっと待ちたまえっ!!」


「喰われるのぢゃああああああっ!?」


 全力で水に飛び込み、何とかあの、筋肉の大きい手から、逃れる事が出来た。

 後少しで、角を掴まれるところぢゃったわ。

 あの筋肉っ、ムキムキ向かって来て、魔王より恐ろしいのぢゃぁ、気持ち悪いのぢゃぁ。


「ぽぷぅ……」

 

 もう少し潜ったまま、様子を伺うのぢゃっ。


◇ ◇ ◇


「逃したか……ふむぅ」


「惜しかったな村長。あの角付き幼女が、ケモ耳っ子達を襲ってたんだ」


「私を見て、逃げて行ったのだが?」


 そりゃあ逃げるだろ。やたらと白い歯をチラつかせる、筋肉の塊が迫って来たら、俺だって全力で逃げるもん。


「村長の事を、新種の化物とでも勘違いしたんだろ? んで、村長的にあの角付き幼女は、魔物に見えるか?」


「最上位個体ではないな。彼奴らならば、私から逃げる事などあるまい。しかし……獣族かと問われれば、正直言って分からぬ」


「分からない?」


「うむ。見た事のない形状の、角であったからな。鬼人のソレではないし、判断が付かぬ」


 角の形状ねぇ。確かに、ドリルの様な螺旋状の形をしていたな。アレに刺されたら、痛いじゃ済まなさそうだわ。


「にしても、あの角付き幼女が、同じ所から出て来るのなんて、良く分かったな」


「獣族の習性である。彼奴らは一度狩場を定めたら、獲物を仕留めるまで、その場所から動かぬのであるぞ」


「へぇーって事は、あの角付き幼女も、ケモ耳達と同じかも知れない訳か」


「……どうであろうな」


 少なくとも、俺の威圧や村長の筋肉から、逃げる程度の存在。それなら無理に捕獲せんでも、話し合えばなんとかなるか。


「ケモ耳っ子達を、襲ったって事は……空腹?」


「で、あろうな。あの者の腹の音が、少しばかり聞こえたのである」


「ふぅん。それなら、肉で釣るか?」


 秘伝のタレを染み込ませた肉の塊を使って、角付き幼女の一本釣りとか、少し面白そうなんだけど、針はどうするか。


「その必要はあるまい。丁度商人から、大量の肉を買い付けたのである」


「ほぅ……何すんの?」


「ちょっとした、前祝いであるな。職人達も呼んで、皆で肉を食べるのであるっ!」


 皆んなでワイワイ、バーベキューパーティーをすると? それで角付き幼女を、誘き寄せる算段か。なんだか天の岩戸みたいだな。


「良いなそれ。ケモ耳達の励みにもなるし、職人達のヤル気にも繋がるか……」


「そうであるな。肉の代金は全て、ドゥシャ殿が支払っておる故、皆の懐も痛まぬ」


「そこは俺に、感謝して欲しいぞっ」


 金貨二百五十万枚もする世界樹の雫を、復興資金に充てたんだから。


「村を消し飛ばされた時は、どうなる事かと思ったが。正に翼竜の鱗落としであるな」


「んっ? 何それ?」


「知らぬのであるか? 小さな村が翼竜に襲われ、壊滅したが、剥がれ落ちていた鱗で村が復興を遂げ、繁栄したと言う諺である」


(ことわざ)のスケールがデカいんだよ」


 怪我の功名みたいなモノか? 翼竜って、ワイバーンとかだろうか。見てみたいんだけど。


「っと、こんな事してる場合じゃないか。そんじゃ村長、宴の準備でもしようぜ」


「うむっ。久々に呑むのであるぞっ!」


「本音はそれかよ……」


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