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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンの居る世界

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2話 この子誰の子元気な子.3


 2026/03/17 加筆修正致しました。



 そんなこんなで三日が経過。

 流石にね、テント暮らしが辛くなって来たと言うか、ミルンと過ごしたい。


「だからこそっ! きょーうもきょうとてっ、杭打ちだっ! やらにゃ終わらぬこの地獄」


 ゴスっと打つと、腰に来る衝撃だわぁ。

 早朝からずっと、杭打ち杭打ち打ち打ち杭打ちって、終わる気配がしない。


「ミルンとっ、早くっ、遊びたいんだあっ!」


 マジでね、杭打ちミスると親方から、『何やっとんじゃ情けねぇっ! もっと腰入れて打ちゃあ良いんじゃっ!』って、怒られんのよ。


「運動不足の現代人にはっ、キツいってのっ!」


 杭打ちの最中にも、空間収納を使って溝を掘ったり、石材や木材を運んだりと、色々便利に使われています。


「にしても職人達、家建てるの早いわ」


 見た目はただの小屋。しかしその内装は、都会っ子の俺でも住める、満足仕様。

 水洗トイレに、浴槽も完備とか、王都の人間が見たら、羨ましがる小屋なんです。


「死ぬ程こき使われたけどな……良いんだけど」


 空間収納で穴を掘りまくって、その穴が崩れない様、親方衆が石を組み、あっと言う間に上下水道の完成。

 水はどうするのかって? そんなん、魔龍の川から、引き込みましたわ。

 親方衆に言われるがまま、あーだこーだと作業したから、仕組みなんて良く分からん。


「俺、重機扱いされてね?」


 移住者達は、建てられた小屋へと、順次入居予定。そう、まだ予定段階。

 順番で揉めてるっぽいのよ。

 ドゥシャさんが補助に付いてるから、問題無いだろうとは、思うけどね。


「日本だと、年単位かかる工程を、人員と物量とスキルを使って、一日二日で形にするとか。異世界凄えわぁ……」


 移住者達の家を建てても、大半が空き地になるだろうし、色々と考えないとな。


「んで、問題はアレか……」


 ここからでも見える、立派な壁。


「七メートル程の高さって言ったのに、どう見ても、二十メートルはあるよなぁ」


 それが横に続いて……三日で何百メートル作ってんだよ、あの職人達。やっぱ化物じゃん。


「しかも、暗所作業をかまして、二十四時間交代制でやるとか……」


 この世界が、一日二十四時間かどうかは、時計無いから分からんけど、あの職人達が異常って言うのは、間違い無いだろう。


「面倒臭いけど、行って確認するか」


 のんびり歩いて、現場へ到着。したのは良いんだけど、職人達の護衛に付けたリスタが、案山子の様に固まっている。

 

「……リスタ、大丈夫か?」


「どうも、流さん。いやぁ、彼等凄いですね。ゴブリンやオークが来ても、石材で潰して……僕の出番が無いんですよ」


「目が死んでんじゃん。まさかリスタ、寝ずの番でもしてんの?」


「僕の仕事は、彼等の護衛ですから」


 それだと、三日間寝てないって事になる。

 交代制の職人達と違って、リスタは一人しか居ないんだから、寝て貰わないとだ。


「糞真面目過ぎるわっ!? テントに行ってアジュと交代っ! ちゃんと寝れっ!」


「はははっ、有難う御座います」


 そのままふらふらと、テントに向かって行ったけど、冒険者って皆んな、あんな感じなの?


「三日寝ずの番だから、七十二時間勤務……俺の社畜時代でも、一日四時間は寝れたぞ」


「おおっ! どうしたアンタっ! あんっ? あの小僧はどこ行きやがったんだ?」


「よっ親方。リスタなら休ませたぞ。代わりにアジュを来させるから、護衛は安心してくれ」


「それなんだがよ……」

 

 親方の顔が、渋い顔になってるぞ? いや、元から渋い顔だけど、更に渋くなった。


「何かあったのか?」


「護衛なんだが、儂らには不要じゃぞ。ここいらには、ゴブリンやオークしか来ぬ様じゃし、儂らでどうとでもなるわい」


「そう言えばさっき、リスタが言ってたな。石材で潰してたって……分かった。それじゃあここには、護衛は要らないんだな?」


「要らんっ。寧ろ作業の邪魔じゃっ」


 作業の邪魔とは、流石、化物職人。


「それは了解した。んで、ついでだから聞きたいんだけど。この壁、俺が伝えた高さの、二倍以上あるんだけど?」

 

「何じゃ? 文句でもあるのか?」


「文句じゃ無いけど、理由を説明しろっての。お前ら、村長にも言って無いだろ」


「ふんっ……石材が潤沢に使えるからの。儂らからの、ちょっとしたサービスじゃよ」


「本音は?」


「……低い壁より、高い壁の方がっ、格好良いじゃろっ! 儂らは職人っ! やるからには妥協をせずっ、最高の物を作るのじゃっ!!」


 つまりはこの親方。七メートルの壁を、ショボく感じて、どうせならもっと、高くしてやろう。石材は山の様に有るのだから。と、変な勢いそのままに、やってしまった訳だ。


「次相談も無しに、勝手な事したら、マジで怒るからな……頼むから相談してくれ」


「ふんっ、分かったわい。かの魔王に、睨まれたくは無いからのうっ」


「魔王じゃ無いっての。んで、この壁って、何処から上がれば良いんだ?」


「向こうに階段を作っておる。儂は作業に戻るからの、落ちるで無いぞっ」


「へいへい、作業宜しくーっ」


 内側に階段とか、完璧に城壁だろ。王城の壁と違って、内部に部屋は無さそうだけど、やり過ぎ感が半端無い。


「どっこいしょっと。ふぅ……絶景だわぁ」


 壁の上から見渡す風景は、中々に綺麗だ。

 自然豊かと言うか、あの糞デカい大穴にも、良い感じで水が溜まって、湖になってます。


「この規模だと、村じゃ無くて、町になりそうだわ。完成には程遠いけど、楽しみだなぁ」


 要は、仕事が終わらないって事。


「逃げてぇぇぇっ。けど、この国の事すら、あんまり知らんのにっ、逃げれる訳無いかぁ」

 

 どうにかして、ミルンや他のケモ耳っ子達と、働かずに暮らせないだろうか……。


「働きたくねぇ……おっ、ここからでも、ケモ耳っ子達の遊んでる姿が、良く見えるわ」


 移住してきた、ケモ耳っ子達だろう。

 仲良く追いかけっこしてるし……んんっ? あんな幼女、見た事無いな。

 ここから見る限りだと、二本の角を生やした幼女が、他のケモ耳っ子を追いかけながら、その口を開けて、食べようとしている風に見えるんだけど……っ!?



「ケモ耳っ子達っ、襲われてるじゃんっ!?」


 

 人型の魔物っ!?

 直ぐに階段を駆け下り、そのままの勢いで、真っ直ぐ全力短距離走。


「おおおっ! 前より少し速くなってないかああああああああああっ!」

 

 この速さなら、地球で言うと、チーターさんにだって、勝つ自信があるね。

 ステータス様々だ。

 

「うっしゃ見付けたっ! そこの幼女何してんだああああああっ? ととっ、止まれないんだけどおおおおおおおおお──っ!?」


 格言だ。流は急に、止まれない。


「どおりゃああああああっ!!」


 勢いを殺す為、ケモ耳っ子達を襲っている、角付き幼女の角を掴み取り、素早く腰と膝を曲げての────ジャンピング跳び膝蹴りっ!

 

「のぶちゅっ!?」


 角付き幼女の顔面に、俺の膝が見事に突き刺さり、数メートル後方の、湖となった穴へと、ボチャンと突っ込んで行った。

 

「ふぅ──っ、何今の感触……膝が痛てぇ」


 例えると、車のタイヤに、膝蹴りをかました様な、人肌と違う硬さだった。

 マジで人型の魔物か?


「まおーさまっ」


「おっと、優先すべきはケモ耳っ子だ。大丈夫だったか? 怪我とかして無い?」


「むぅっ、なんであの子蹴ったのっ!」


 あれぇ……何か俺、睨まれてる? 襲われてるのを、助けたんだけどぉ。


「んっと、猫耳さんや。あの角付き幼女に、襲われてた訳じゃ、無いのか?」


「まものごっこしてたのっ!」


「魔物ごっこっ!? それじゃぁ、そこの虎耳さんや。あの角付き幼女は、知り合いか?」


「違うよ? ここで遊んでたら、いつの間にか混ざっていたの」


 ほうほう。知らない子だけど、魔物ごっこをして、仲良く遊んで居たと。


「うん……じゃあさっきの角付き幼女っ、助けないと不味いじゃんっ!?」


 そう思い、急いで湖の中へ飛び込もうとしたら、さっきの角付き幼女が、鼻を押さえながら、ザプンっと、湖から姿を現した。


「ぬぐぅぅぅっ、痛いのぢゃっ。なぜ我にっ、この様な仕打ちをするかや」


「マジか……おいっ、大丈夫か?」


「御主誰ぞっ?」


「すまん。俺の勘違いで、膝蹴りかましちゃったんだ。怪我とかはして無いか?」


「我を蹴ったのは御主かやっ! あと少しでっ、美味い肉が喰えたものをっ!」


「んっ?」


 今この角付き幼女、何て言った? 美味しい肉が喰えた? どこに肉あんの?


「えっと、肉なんて無いぞ……」


「何を言うておるっ! そこにあるでは無いかやっ! 若くて新鮮な肉なのぢゃっ!」


「んっ? んーんっ? うん」


 角付き幼女の指差す先には、可愛い猫耳幼女と、可愛い虎耳少女の、二人しか居ない。こいつやっぱり、人型の魔物じゃね?


「ふぅ……"威圧"さんカモーンヌっ!」


「コレはっ、おっ、御主は魔王なのかやっ!?」


「魔王だったら、何だっての?」


 この角付き幼女、魔王って言ったな……この世界って、ガチで魔王が存在するの?


「まっ、今はどうでも良いか。んで、お前は誰で、何処から来たんだ? なんであの子達を、食べようとした……お前魔物か?」


「しっ、失礼なのぢゃっ! 魔物と一緒にするなぞっ、今の魔王は阿呆なのぢゃっ!」


「脚震えてるぞーっ。もう一度聞く……お前は誰で、何処から来た? 次は無い」


「ひぃっ!? 何と目付きの悪い魔王かやっ! 今は力が出ぬっ、逃げるのぢゃっ!」


「なっ!? 待てそっちは────」


 急に角付き幼女が走り出し、そのまま湖に突撃。ザブンっと、沈んで行ってしまった。


「人じゃ無いのは、確実だけど……水陸両用角付き幼女って、属性過多だろっ」


 あの角付き幼女が魔物なら、このまま湖に魔法を撃って、蒸発させてしまおうか。

 

「……また隕石降ったら、ヤバいもんなぁ。今回は、止めておくとしますかね」

 

「まおーさま、さっきの子は?」


「どこいったの?」


「さあ? 疲れてお家に、帰ったのかもな。それよりも、知らない人が居たら、遊ばず誰かに報告しなさい。分かったか?」


「はーい」


「次からはそうしまーす」


「そうしてくれ……村長に報告しておくか」


 また来そうな予感がするし、人喰いの魔物だったら、対処せにゃならんぞ。



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