2話 この子誰の子元気な子.2
2026/08/03 加筆修正
何処からか『コケェコッコオオオオオオッ』と、コカトリスの叫び声が聞こえて来るから、もう朝だろうか。それにしても、熱い。
「むうううんっ、はっ!!」
寝る時は、心地良い気温だったのに、今は何と言うのか、蒸風呂に浸かってる気分だ。
「ぬうううんっ、むんっ!!」
じめっとして寝苦しい。しかもさっきから、村長の声がして、煩いんだ。そして熱い。
「こおおおっ、ふんっ!」
「おいコラ村長……お前何してっ……」
ゆっくりと目を開け、俺は見てしまった。
「ぬっ? おはよう流君っ。ぬうんっ!!」
半裸の村長が、この狭いテント内で、身体を汗で滑らせながら湯気を発している姿を、直視してしまったんだ。
「ふぅ……嫌あああああああああっ!? 変態よおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
どうりで、蒸風呂状態な訳だわ。朝から嫌なモノ見せられて、今にも吐きそうです。
「誰が変態かねっ!?」
「おーまーえだよっ! 村長っ! 何で狭っ苦しいテントの中で、マッスルしてんだっ! 外出てやれよっ!」
「外でやっておったら、ドゥシャ殿に怒られたのだっ! 仕方なかろうっ!」
「それでテント内って、気持ち悪いわっ!?」
ただせさえ、昨日風呂に入ってないのに、こんなんされたら余計に臭くなるだろ。
「チッ、やるならせめて、一人の時にしろよ。じゃないとあだ名を、変態騎士ヘラクレスにして、ケモ耳っ子達に普及すんぞっ」
「なっ、それは止めたまえっ!」
「なら頼むからっ、筋トレするタイミングを考えてくれっ! この朝の目覚めは嫌だっ!」
「ぬぐっ……分かったのであるっ。流君が居ない時にでも、体を動かすとしようっ」
この脳筋、本当に理解したのだろうか。
体を冷ます為に、ゆっくりとテントから出ると、中と外の温度差の所為で一気に体が冷え、風邪を引きそうです。
「寒っ……今日も一日、働くとしますかねぇ」
本音を言えって? 二度寝希望ですが。でもね、二度寝したくてもあの蒸風呂テントだから、暑苦しくて寝れないのよ。
「……体がべとべとするわぁ」
シャツをパタパタと、少しでも乾かす努力をしていると、「おとうさーんっ! おはよーうっ!」と、天使が走ってくる姿が見えた。
「うんうん、朝からケモ耳天使ご降臨とか、さっきの筋肉を見た後だと、癒されるなぁ」
もうその姿だけで、御飯何杯でもイケます。白米食いてぇぇぇ。城に日本酒はあったんだし、今度少し分けて貰おうか。
「でも、僅かしか栽培してないっぽいし、毎日食べれる量が欲しい……腹減ったぁ」
「お父さん?」
「隙ありっ────」
近付いて来たミルンを、自然な動きで持ち上げ肩に乗せ、ミルン肩車フォーム完了っ!
「ハッ!? いつの間にっ!」
「ミルン、おはようさん。今日も絶好調だな」
「うん……お父さんは、ベタベタしてる?」
「昨日お風呂に、入ってないからね」
「すんすんっ……臭いのっ」
おうっふ……おはようと言い合って、ものの数秒で、俺の心が砕けそうです。
「今日は、風呂入るか。臭いは嫌だ」
「今日は何するの?」
「昨日の続きだな。杭打ち進めてから、壁の出来具合いを確認して、また杭打ちだ。ミルンも一緒にやるか?」
「丁重に、お断りします。皆と遊んでるの!」
そう言ってミルンは肩から飛び降り、逃げる様に屋敷の方へと走って行った。
「そりゃあお仕事よりも、皆んなと遊んだ方が楽しいよね。お父さんは淋しいぜ……」
「どうした流君? そんな所で固まって」
「ちょっとな。モチベーションが、下がりまくってんの。俺も……遊びたいなぁ」
「もち? 何だねそれは……まあ良い。早く朝食を済ませて、作業に向かいたまえ」
「分かってるよっ」
早く杭打ち終わらせて、楽しく遊べる時間を作ろう。じゃないと、ミルンが構ってくれなくなってしまう。
「……やるかっ!」
「急に元気になりおったな」
「悪かないだろっ。先ずは、朝御飯だな」
と言っても、昨日と何ら変わらず、串焼きに野菜っぽい物を追加しただけの朝食です。ミルンに作る訳じゃないから、凝る必要もないし、簡単お手軽男飯だ。
「うしっ、腹も膨れたし、行って来るわ」
「うむ、頼んだのである」
「見送りなら村長よりも、やっぱりミルンが良いな。その筋肉がキモいわ」
「ふんっ! 早く行きたまえっ!」
「ムキってすんなってのっ!?」




