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異世界とは愛すべき者達の居る世界〜中年男、異世界でやらかしまくる〜  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンの居る世界

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2話 この子誰の子元気な子.1


 2026/08/03 加筆修正



 皆んなで頑張って、巨大な穴の周りに柵の取り付けを完了。これで安全に、可愛いケモ耳っ子達が遊べるぜ。


「濃い一日だったわぁ……疲れた」


 えっちらおっちら重たい体を動かして、屋敷へと帰って来てみたら、女性陣達が扉の前で仁王立ちをしており、通せんぼすんのよ。


「ただいま……えっと、退いてくれないと、俺が入れないんだけど?」


「旦那様。大変申し訳御座いませんが、移住者達の家が完成する迄、この屋敷は男性の立ち入りを、禁止とさせて頂きます」


「いやいやドゥシャさん、急に何言ってんの?」


「流さん。貴方が獣族に対して、優しいのは分かっています。ですので尚更、今この屋敷に入れる訳にはまいりません」


「えっと、院長影さんや、どういう事?」


「悪いがアンタは、外で寝泊まりを頼む。この屋敷は女限定だな。諦めてくれ」


「レネアまで……」


 こちとら汗だくで作業して、仕事終わりのお風呂と、ミルンの尻尾をモフるのを楽しみにしてたのに、コレは余りにも、酷過ぎるだろ。


「っ……説明を求める」


「このドゥシャめが、説明させて頂きます」


「ああ、頼むわ」


 説明に納得がいかなかったら、そのまま屋敷へと入っちゃうからね。


「現在この屋敷には、百名もの獣族の女性と、三十名もの獣族の子供が居ります」


「うんうん……うん? 男は?」


「そして旦那様は、獣族に対して、異様なまでの愛着を持っております」


「愛着と言うか、尻尾とか羽根とか触り心地が良いからな。ついつい手が伸びちゃうのよ」


「以上の観点から、旦那様の出入りを禁止させて頂きます。不公平にならぬ様、獣族の男性の出入りも、禁止とさせて頂きます」


 俺……危険人物扱いされてね? モフるのはミルンの尻尾だけだし、他のケモ耳っ子達を触ろうだなんて、思ってないぞ。

 

「どこで寝ろと……」


「男共は、向こうでテントでも張って、仲良く寝てくれよ。子供達の面倒は、私達が見るんだし、それくらい我慢出来るだろ?」


 レネアが睨んできやがる。こいつ目付き悪いから、地味に怖いんだよなぁ。


「俺の帰りを、ミルンは待ってるんだけど……」


「このドゥシャめが、ミルン御嬢様に付いておりますので、御安心下さいませ」


「顔がニヤついてるよね?」


「気の所為に御座います」


 ドゥシャさんめっ……この気に乗じて、ミルンを一人占めするつもりか。


「この屋敷は、俺の家だよね?」


「流君。その屋敷は、君の所有物ではないぞ」


「んっ? 村長……」


 後ろから村長が、ゆっくりと歩いて来た。暗がりの中だと、筋肉村長が魔物に見えてしまうのは、なんなのだろうな。


「俺の所有物じゃないって、どういう事だ? この屋敷って、俺にくれたんじゃないのか」


「そんな訳なかろうが。この屋敷は元々、村の財産である。一時的に貸していたに過ぎぬぞ」


「村長あの時っ、好きに使ってくれても構わんって、言ってたじゃんっ!」


「流君にあげた訳ではないっ。が、この処置は一時的なモノであるし、獣族達の家が出来たら、また住んでも構わぬ。今は我慢せよ」


 じゃあ何か? 頑張り流さんのご褒美の、ミルン像を眺めてのリフレッシュが、家の完成まで許されないと。


「ならばっ、ミルーンっ! 一緒にお外のテントでーっ! 楽しくキャンプしよーぜーっ!」


 ミルンを呼んで、仲間に引き込むまでだっ!


「……返答が……ない?」


「旦那様。この屋敷を修繕した際に、ミルン御嬢様のお部屋を"防音"としております。呼んでも無意味と、御認識下さいませ」


「ぼっ、防音っ!?」


 異世界にも……その技術あるのかよ。


「流君っ! 行くのであるっ!」


「ちょっ、服掴むなってっ、ミルーンっ!」


「諦めが悪い男であるな」


 村長に首根っこを掴まれ、ずりずりと引き摺られ、屋敷が遠くなっていく。

 

「シクシク……ミルンと遊びたいよぅ……」


「子供か御主はっ!?」

 

「村長は知らんのか? 大人だってな、泣く時は泣くんだよおおおおおおおっ!!」


 屋敷の前のドゥシャさんが、何やら楽しそうに、手を振っている姿が見えた。

 

「くそうっ……」


 そうして暗がりの中、パチッパチッと良い音を奏でる焚き火を眺めなら、ジューシーオークの串焼きを作っています。この匂いに釣られて、ミルン来ないかなぁ。


「て言うか何で俺が、村長と同じテントで寝ないと駄目なんだ。熱苦しいだろうに……」


 今頃ミルンは、俺が帰って来ないから、淋しさで枕を濡らしてはいないだろうか。


「……ケモ耳っ子達が居るから、それはないな」


 移住者組のケモ耳っ子達からしたら、ミルンはボス的な感じらしいし、仲良くしてるだろ。


「護衛はドゥシャさん、院長影さんに、レネアも居るし……超安全じゃん」


 逆にこの場所の方が、危険だわ。壁はまだまだ完成しないから、夜空に紛れて魔物が来たら、逃げるしかないよね。


「まぁ最悪、村長に戦わせるか。さてさて、そろそろ焼けたかなぁ。良い感じじゃんっ……?」


 なーんか視線を感じる。ミルンか? 違うな。ミルンなら隠れずに、お肉に突撃かまして来るだろうから、ミルンではない。


「むぐむぐ、んぐっ……誰も居ないよな?」


 周囲の闇に目を凝らすが、誰も居ない。俺の気の所為だろうか。暗がりに潜む、魔物とかじゃあないよな。

 

「どれもう一本。むぐむぐ、美味っ。外で食べるお肉って、何でこう美味いんだろ」


 秘伝の甘辛タレも、良い塩梅だわ。

 

「止められない止まらないってな。最後の一本をと……あれっ? 肉が無い?」


 俺ちゃんと、三本焼いてたよな? 串は二本だけだし、二本しか焼いてなかったか?


「んんっ? 俺の勘違い?」

 

 そう疑問に思い頭を掻いていたら、闇の奥から"パキッ"と何か音が聞こえてきた。


「っ、誰だっ!!」


 今一瞬、何かが走って行ったような……足音もしないし、気の所為だろうか。


「魔物でも来てたら、洒落にならんぞ」


 ジッと闇に目を凝らすが、誰も居ない。それに、いつの間にか変な視線も感じないし、一体何だったのか。


「……寝るか」


 気を張り詰め過ぎて、多少音に敏感になっているだけだろ。寝て起きたら、スッキリ爽快間違いなしだ。

 

「筋肉と寝るのは、嫌だなぁ」



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