2話 この子誰の子元気な子.1
2026/03/16 加筆修正致しました。
皆んなで頑張って、巨大な穴の周りに、ケモ耳っ子達が落ちない様、柵の取り付けを完了。これで、安全にケモ耳っ子達が、遊べるぜ。
「濃い一日だったわぁ……疲れた……」
そうして、重たい体を動かして、屋敷へと帰って来てみたら、何故か女性陣達が、扉の前で仁王立ちをしており、通せんぼすんのよ。
「ただいま……えっと、退いてくれないと、俺が入れないんだけど?」
「旦那様。大変申し訳御座いませんが、移住者達の家が完成する迄、この屋敷は、男性の立ち入りを、禁止とさせて頂きます」
「いやいやドゥシャさん、急に何言ってんの?」
「流さん。貴方が獣族に対して、優しいのは分かっています。ですので尚更、今この屋敷に入れる訳には、まいりません」
「院長影さんや、どう言う事っ!?」
「悪いがアンタは、外で寝泊まりを頼む。この屋敷は、女限定だな」
「レネアまで……」
こちとら汗だくで作業して、仕事終わりのお風呂と、ミルンの尻尾をモフるのを、楽しみにしてたのに、コレは余りにも、酷過ぎるだろ。
「っ……説明を求める」
「このドゥシャめが、説明させて頂きます」
「ああ、頼むわ」
説明に納得がいかなかったら、そのまま屋敷へと、入っちゃうからね。
「現在この屋敷には、百名もの獣族の女性と、三十名もの獣族の子供が居ります」
「うんうん……うん? 男は?」
「そして旦那様は、獣族に対して、異様なまでの愛着を持っております」
「愛着と言うか、尻尾とか羽根とか、触り心地良いからな。ついつい手が伸びちゃうのよ」
「以上の観点から、旦那様の出入りを、禁止させて頂きます。不公平にならぬ様、獣族の男性の出入りも、禁止とさせて頂きます」
俺……危険人物扱いされてね?
モフるのはミルンの尻尾だけだし、他のケモ耳っ子達を、触ろうだなんて、思ってないぞ。
「何処で寝ろと……」
「男共は、向こうでテントでも張って、仲良く寝てくれよ。子供達の面倒は、私達が見るんだし、それくらい我慢出来るだろ?」
レネアが睨んで来やがる。こいつ目付き悪いから、地味に怖いんだよ。
「俺の帰りを、ミルンは待ってるんだけど……」
「このドゥシャめが、ミルン御嬢様に付いておりますので、御安心下さいませ」
「顔がニヤついてるよね?」
「気の所為に御座います」
ドゥシャさんめっ、この気に乗じて、ミルンを一人占めするつもりかっ!?
「この屋敷っ、俺の家だよねっ!?」
「流君。その屋敷は、君の所有物では無いぞ」
「んっ? 村長……」
後ろから村長が、ゆっくりと歩いて来る。
暗がりの中だと、筋肉村長が魔物に見えてしまうのは、何なんだろうな。
「俺の所有物じゃ無いって、どう言う事だ? この屋敷、俺にくれたんじゃ無いのかよ」
「そんな訳無かろうが。この屋敷は元々、村の財産である。一時的に貸していたに過ぎぬぞ」
「村長あの時っ、好きに使ってくれても、構わんって、言ってたじゃんっ!」
「流君にあげた訳では無いっ。が、この処置は一時的なモノであるし、獣族達の家が出来たら、また住んでも構わぬ。今は我慢せよっ」
じゃあ何か? 頑張り流さんのご褒美の、ミルン像を眺めてのリフレッシュが、家の完成まで許されないと?
「ならばっ、ミルーンっ! 一緒にお外のテントでーっ! 楽しくキャンプしよーぜーっ!」
ミルンを呼んで、仲間に引き込むまでだっ!
「……返答が……無い?」
「旦那様。この屋敷を修繕した際に、ミルン御嬢様のお部屋を、"防音"としております。呼んでも無意味と、御認識下さいませ」
「ぼっ、防音っ!?」
異世界にも、その技術あるのかよ……。
「流君っ! 行くのであるっ!」
「ちょっ、服掴むなってっ、ミルーンっ!」
「諦めが悪い男であるな」
村長に首根っこを掴まれ、ずりずりと引き摺られ、屋敷が遠くなって行く。
「シクシク……ミルンと遊びたいよぅ……」
「子供か御主はっ!?」
「村長は知らんのか……大人だってな、泣く時は泣くんだよおっ!!」
屋敷の前のドゥシャさんが、何やら楽しそうに、手を振っている姿が見えた。
「くそうっ……」
暗がりの中、パチッパチッと、良い音を奏でる、焚き火を眺めなら、ジューシーオークの串焼きを作っている。
この匂いで、ミルン来ないかなぁ。
「と言うか、何で俺が、村長と同じテントで寝ないと駄目なんだっ。熱苦しいわっ」
今頃ミルンは、俺が帰って来ないから、淋しさで枕を、濡らしてはいないだろうか。
「……ケモ耳っ子達居るから、それは無いか」
移住者組のケモ耳っ子達からしたら、ミルンはボス的な感じらしいし、仲良くしてるだろ。
「護衛は、ドゥシャさん、院長影さんに、レネアも居るし……超安全じゃん」
逆にこの場所の方が、危険だわ。
壁はまだまだ完成しないから、夜空に紛れて魔物が来たら、逃げるしか無いじゃん。
「まぁ最悪、村長に戦わせるか。さてさて、そろそろ焼けたかなぁ。良い感じじゃんっ……?」
なーんか、視線を感じる。ミルンか? 違うな。ミルンなら隠れずに、お肉に突撃かまして来るから、ミルンでは無い。
「むぐむぐ、んぐっ……誰も居ないよな?」
周囲の闇に目を凝らすが、誰も居ない。
気の所為なのかねぇ?
「どれもう一本。むぐむぐ、美味っ。外で食べるお肉って、何でこう美味いんだろ」
秘伝の甘辛タレも、良い塩梅だわ。
「止められない止まらないってな。最後の一本をと……あれっ? 肉が無い?」
俺ちゃんと、三本焼いてたよな? 串は二本だけだし、二本しか焼いて無かったか?
「んんっ? 俺の勘違い?」
そう疑問に思い、頭を掻いていたら、闇の奥から"パキッ"と、何か音が聞こえて来た。
「っ、誰だっ!!」
今一瞬、何かが走って行ったような……足音もしなしい、気の所為か?
「魔物でも来てたら、洒落にならんぞ……」
ジッと闇に目を凝らすが、誰も居ない。それに、いつの間にか、変な視線も感じないし、一体何だったのか。
「……寝るか」
気を張り詰め過ぎて、多少音に敏感に、なっているだけだろ。寝て起きたら、スッキリ爽快間違い無しだ。




