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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンの居る世界

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1話 やらかし男の後始末.2


 2026/03/09 加筆修正致しました。



 ドゥシャさんから、貴重な世界樹の雫を、譲って欲しいとのご提案。

 売る宛でもあるのかね。


「世界樹の雫は、聖女リティナ様でも治せない病でも、治せるとされております。ですので、予備は有っても困りません」


 成程ね、ルシィに売る訳か。


「お譲り頂けるのでしたら、復興資金の立て替えの他に、金貨五百枚を、お支払い致します」


「ぼびゃぶ……」


「左様に御座います。如何で御座いましょう」


 金貨二百五十万枚が、五百枚。

 欲を掻くのは駄目だと分かりつつも、この差額は、流石にどうかと思うのよ。


「因みに旦那様。我が国での、窃盗に関する刑罰は、鉱山労働五年と、定められております」


「っ……」


「どちらになさいますか?」


 譲って下さいから、強請りに変化しました。

 恐らく、あの煮豚の財産を確認した際に、何か違和感を見つけたのだろう。

 ドゥシャさんの目が……本気だ。


「ぐっ、ばばっだ。ぶぶっ……」


「賢明な判断かと存じます。それでは、効果を確認する為に、旦那様に一滴、飲んで頂きましょう」


「ぼえっ?」


「院長様が鑑定したとは言え、念の為、効果を確かめておきませんと。売った先で問題が起きては、困りますので」


 被験者にされんの? この顔面が治るんだったら、良いんだけどさ。


「おとうさん、なおる?」


「雫が本物に御座いましたら、間違い無く治ります。院長様、雫をこちらに」


「どうぞ。一滴でも飲めば、完治するでしょう」


 ドゥシャさんと、院長影さんがそう言うなら、飲んでも問題無いのだろう。

 ミルンも心配そうに見てるし、ここは素直に、頂くとしますかね。


「ぼばぶば」


「では、舌を出して下さいませ」


「びば? びびべぼ……んべ」


 舌を出して準備良しっ、いつでも来いっ!


「失礼致します」


 小瓶の蓋が外され、舌の上にゆっくりと落とされた、世界樹の雫。その効果は如何にいいいいいいいいいっ!?



「ほああああああああああああ────っ」



 全身から光を放ち、あまりの心地良さに、大きく両手を広げ、空を見上げた。


「おとうさんが……まぶしいっ」


「世界樹の雫を飲むと、光るのですね。次陛下にお会いしましたら、試してみましょう」


「流さん……気味が悪いですね」


「院長殿、同意するのである」


 外野が何か言ってるが、そんな事も気になら無いくらい、心穏やかリフレッシュ。

 ゆっくりと、光が収まって行く。

 心なしか、お肌艶々、シワも薄れて、五歳ぐらい若返った。そんな気分なんです。


「あーあーっ。げふんっ! おっ、顔の腫れが治って、普通に喋れんじゃん。見た感じどうかな? 若返った?」


「旦那様ですね」


「流君だな」


「流さんですね」


「おとうさんです」


 そんな素で答えんでも良いやん。


「どこも変わって無い? 腫れが引いただけ?」


 皆一様に、コクリと頷く。

 そんな、タイミング合わせんでも良いやん。


「普通に喋れるだけでも、有難いけどさ……全部飲んだら、何か変わるかな?」


「それで御座いましたら、契約不履行となり、窃盗罪を適応致しますが?」


「言ってみただけだってのっ。普通に脅してくんの、止めて下さいねっ」


 ドゥシャさんに譲ったんだから、返してなんて言わないっての。

 

「そんじゃ、リスタ、アジュ。俺の不手際ですまんけど、王都に戻って、アレやコレやの手続きを、頼んでも良いか?」


「分かりました」


「良いぜ。マッスルホース貸してくれんなら、王都なんて直ぐだからな」


「頼んだ。商業ギルドがゴネる様なら、城に行って、ルシィに言えば、何とかなるだろ」


「ははっ、大丈夫ですよ。冒険者ギルドから、商業ギルドへ、通達して貰うので」


 へぇー、横の繋がりが、あるんだな。


「ドゥシャさん。支払い宜しくね?」


「お任せ下さいませ。彼等には、相場の五割り増しで、お支払い致します」


「五割り増しか、美味い仕事だな。おらっ! さっさと行くぞリスタっ!」


「はいはい。それでは、子供達の事を、宜しくお願い致します」


 リスタとアジュは、馬車からマッスルホースを外して、そのまま飛び乗り、颯爽と駆けて行ったんだけど、格好良すぎだろ。


「流さん。そろそろ、子供達を馬車から降ろして、休ませましょう。ずっと馬車の中で、相当疲れて居る様子ですので」


「そうだな……魔物も居ないし、大丈夫か」

 

「私とドゥシャは、屋敷の掃除と、出来うる限りの改修を致します」


「それなら、俺とミルンは、念の為ここいらをぐるっと回るわ。安全確認は必要だろ」


「お願い致します。ヘラクレス様とレネアは、子供達が遠くへ行かない様、相手をしてあげて下さい」


「了解したのである」


「分かりました」


 影さんが指示出しすんのって、随分と様になってるな。それに、ドゥシャさんを呼び捨てにしてるし、どんな関係なんだろ。


「なぁドゥシャさん。院長影さんとは、古い付き合いなのか? 仲良さそうだけど」


「院長は、私の前任者に御座います」


「前任者? 院長影さん……メイドしてたの? 確かに、メイド服着たら、クールビューティーエルフメイド爆誕なんだけど……」


「流さん。寿命を縮めますよ?」


「あっ、はいっ、黙ります」


 院長影さん、視線で人を殺せそうだよね。


「くーるびゅーてぃーめいどっ、ミルンなの!」


「そうだね。ミルンがメイド服着たら、間違い無く、犬耳メイドミルン爆誕だよね」


「くーるじゃない?」


「ミルンは、可愛い系だぞ」


 今度メイド服を着せてみよう。可愛い過ぎて、天に召されるかもだけど。


「そんじゃ、影さん、ドゥシャさん、屋敷の事は任せた。村長とレネアも、ケモ耳っ子達の面倒を、宜しく頼むわ」


「んしょっ、んしょっ、じゅんびよしっ!」


「ミルン合体完了っ! 流号発進しますっ!」


 ミルンを肩車して、ゆっくり荒地を散策だ。


「やっぱミルンが肩に居ると、落ち着くなぁ。ある意味で、洗脳されてんのかね」


「せんのうしてないよ?」


「分かってるって」


           

 

 ラクレル村跡地を、ぐーるぐると。やっぱり目に入るのは、あの穴だわな。


「でっけえ穴だ……隕石の落下地点か」


「おみずでてる。おさかないる?」


「湧き水っぽいから、お魚は居ないだろ」


 直径は正直言って分からん。見た感じだと、百メートルは超えてるだろうな。深さは十メートル程で、ミルンの言う通り、綺麗な水が湧き出でいる。


「このままだと、湖になるんじゃね?」


「およげるのっ」


「それ良いな。泳げて尚且つ、貯水湖にもなるなんて、一石二鳥じゃん」


 生きて行く為には、水は欠かせないし、村を一から作るなら、色々と活用出来そうだ。

 そうして、穴の外側に沿って歩き、ラクレル村の現状を、しっかりと確認する。


「屋敷に近い芋畑以外は、全滅と」


「じめんから、けむりでてる。なんで?」


「地面に熱が、残ってるからな。あのボロ屋敷が無事だっただけでも、奇跡だわ」


 異世界だから、何かの不思議アイテムで、護られたとかだろうか。

 そんな事を考えながら、ミルンと歩いていると、パシャアッと、穴の方から、何かが噴き出した様な、音が聞こえた。


「何だ?」


 穴の方を覗いて見たが、何も無い。


「ほぁ──っ、すごいのっ」

 

「どうしたミルン? 何か見たのか?」


 肩の上のミルンに、聞いたその時、今度はドポンッと、水に沈む音が聞こえた。


「またか……何も居ないよな?」


 穴を覗いても、ポコポコと小さな泡が、出ているだけで、何も違和感が無い。


「もしかしてあの穴、川と繋がってんのか? 魚でも飛び跳ねた音とか……」


「すごいとんでたのっ。そのままおちていったのっ。あれはなあに?」


「飛んで落ちた? 何を見たんだ?」


「わかんない」


 実際に見たミルンが、分からなければ、俺に分かる訳が無いだろう。


「今の所は、何も無しっと。屋敷に帰るか」


「にんむかんりょう?」


「一応な」


 そうして、ボロ屋敷へと帰って来たんだけど、これは一体、どう言う事だろうか。


「これ、ボロ屋敷だよな?」


 俺とミルンが、村を周っていた時間は、精々二、三時間っていうところだ。


「ぴかぴかしてるっ」


 俺とミルンは目を擦り、三度見までしたが、ボロ屋敷から、ボロが抜けてんの。

 小綺麗な屋敷に、なってんの。

 何コレ?


「ミルン……俺は幻でも、見てるのだろうか……」


「げんじつにもどるっ」


 ゴスッと一発、ミルンの可愛いパンチを、脳天に受けたが、痛いという事は、夢じゃ無い。

 うん、本気で痛い。

 

「あっ、かげなのっ!」


 ミルンが指差す方へと目を向けたら、一瞬だけど、影さんが着ていた黒外套が見え、屋敷の裏へと消えて行った。


「痛っ……今のは、院長影さんか? 何であんな、姿を隠す様に行ったんだ」


「あれはかげなのっ」


「院長影さんだろ? 影さん二号なら、王都に居るだろうしな」


「おとうさんはときどき、はなしがつうじないっ。においがちがうのにっ」


 何のこっちゃ?

 そんな事をしていたら、正面の扉が開き、ドゥシャさんと院長影さんが出て来た。


「お帰りなさいませ、ミルン御嬢様、旦那様」


「流さん、お帰りなさい。ミルンさんも、村を見て来てくれて、有難う御座います」


「あれぇ……院長影さんさ。さっき屋敷の裏手に、走って行って無かったか?」


「私はずっと、屋敷の中に居ましたよ。見間違いでは、無いでしょうか」


「見間違いなのか……」


 この二人、屋敷を掃除してたにしては、汗一つ掻いてないし、意味が分からん。

 

「流さん。屋敷の中で、村の状況説明を。ミルンさんはゆっくりと、休んで下さい」


「ああ……はぐらかそうとして無い?」


「さっきのは、かげっ」


「旦那様。時間が惜しいので、状況説明をお願い致します。時間が惜しいので」


「ドゥシャさんまで……睨まないで?」


 美人二人に睨まれると、新しい世界に目覚めて、萌えあがっちゃうぞ。


「はなしをきくのっ!」


 ミルンの可愛いパンチが、俺の脳天にゴスッと、振り下ろされた。

 うんうん、糞痛いぞ、ミルンさんや。



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