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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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89/551

side1 ミルン.1


 2026/02/19 加筆修正致しました。



 私はミルン、お父さんの娘。

 私はミルン、パパとママの子供。

 今でも鮮明に、覚えている。

 忘れる事の出来無い、あの時の記憶。

 夢にまで見る、あの時の記憶。


 優しいパパに抱っこされて、ちくちくするお髭で、じょりじょりされた記憶。

 優しいママに抱っこされて、一緒にお勉強したり、遊んだりした記憶。


 そして────パパとママの、最後の記憶。

 

 震えが止まらない。

 自然と目から、涙が溢れて来る。


 そんな時は、お父さんに甘えるに限る。

 そっとくっ付いて、横になると、お父さんは寝ている筈なのに、抱き締めてくれて、優しく頭を、撫でてくれるのだ。

 たったそれだけで、スッと、さっきまでの震えが収まり、気持ちが楽になる。


 お父さんが、大好きだ。

 甘えたくて、声色を変える程に。

 

 それでもやっぱり、忘れられない。

 怖い、辛い記憶だけど、だからこそ、お父さんに出逢う事が、出来たから。

 怖くて悲しいけども、優しい記憶。

 忘れたら駄目な、私の記憶。




 私は物心付く前から、ユカリママの目を盗んでは、家の中を徘徊する、良く言えば元気、悪く言えば、お転婆な娘だった。

 

「こらミルンーっ、勝手に入っちゃ駄目でしょ」


 ぼんやりとだけど、ユカリママに抱っこされて、美味しそうなお肉から、引き離された記憶が残っているの。


「だぅぁうーっ」

 

「まったく。剥製に涎って、可愛い娘だわぁ。すぅぅぅ、はぁぁぁ……良い匂い」


「むぅぅぅ、やぅぁう」


 そう言えば、匂いも嗅がれていたっけ。

 温かいお湯で、毎日パパに洗って貰っていたのに、そんなに匂ったのかな?



「ただいまーっ! ユカリっ! ミルンっ! パパが帰って来たよーうっ!!」 



 パパの事は、はっきり覚えている。

 キリッとしてたら格好良いのに、いつもニヤけているから、正直気持ち悪かった。


「ユカリーっ、お帰りの尻尾をふがっ!?」


「全く……ミルンより子供じゃない」


「はぁーっ、癒されるうぅぅぅ」


 こんなパパなのだ。

 忘れる事なんて、出来無いでしょ。

 ママの尻尾に顔を埋めて、ニヤけ顔が、更に気持ち悪くなるパパだもん。


「ほらミルン。パパが帰って来たよーっ」


「ゼスったら。ミユンはまだ、喋れ無いでしょ」


「まぁまっ」


「「喋ったっ!?」」


 私は物覚えが、良かったのだ。


「ミルン、パパは? ほらっ、パーパ」


「ふっ、残念ね、ゼス。ミルンはママの事が、大好きだもんねー?」


「まぁま、ぱぁぱ?」


「何でパパだけ疑問なのっ!?」


 パパが床に崩れてしまった。

 

「すかさずキスだ──んぐっ!?」


 ママ必殺の、アイアンクロー。

 ママは良く、硬い果物を手搾りしていたから、本気でパパの顔を握っていたら……。


「こらパパっ! ミルンにキスをするなら、先ずは手洗いうがい、歯を磨いて、お風呂に入ってからって、約束したでしょ!」


 パパはバイ菌?と言う、悪いモノが沢山付いているから、そこまでしないと、私に触れる事すら、許されなかった。

 バイ菌って、何だろう?


「痛いよユカリ……直ぐに全部、終わらせて来るからさ……離して?」


「はいはい。それじゃあ、お願いね」


「ふぅ。待っててねミル──ンっ!!」

 

 直ぐ洗って来るからと、走って行くパパ。

 家の中では、ママが最強っ。

 

「じゃあミルンは、パパが帰って来るまで、お勉強しましょうねーっ」


 ママの尻尾が、ユッサユッサ揺れている。

 やっぱり、綺麗な尻尾だと思う。

 そんな綺麗な尻尾の、ユカリママは、私に毎日、お勉強と言う遊びを、教えてくれた。


「ミルン、これなーんだ?」


「まぅぅぅ、おーうっ」


「正解っ。それじゃあ、これなーんだ?」


 ママが絵を描いて、私がそれを答える。

 楽しいお勉強だった。

 沢山の言葉を、ママから教わった。


「むぅ、おういんっ」


「正解っ。ミルンは賢いねぇ」


 そう言ってママは、笑顔で私の頭を、優しく撫でてくれた。

 楽しい楽しいお勉強。


 ダダダダダダッ────「お待たせミルンっ! さあっ、お帰りのチュゥゥゥっ!」


 それを邪魔するのは、いつもパパだった。

 水浸しのパパ。

 床もお水で濡れている。

 そして、ママ必殺のアイアンクロー。

 

「毎回パパは、困った子だよねぇ?」


「ああっ!? 割れるっ! 割れるっ! 助けてミル──ンっ! ミルン?」

 

「ぱぁぱ?」


「また疑問っ!?」


 そんな日が、ゆっくりと過ぎていった。




「なあユカリ? 前も思っていたんだが、何で蝋燭を立てるんだ?」


「んっ? そんなの私も、知ら無いわよ。私的には、元気に育ってくれて、有り難うって言う、愛の蝋燭かしらね」


「へぇーっ、愛の蝋燭か。それなら僕は、ずっと心に、それが灯っている訳だね」


「……臭いセリフよそれ?」


 この頃になると、パパとママの言っている事が、ハッキリと、理解出来る様になっていた。

 蝋燭が二本だから、二歳の誕生日だ。


「パパとママは、あつあつなの」


「「っ!?」」


 そんな事を言ったら、物凄く驚かれた。

 驚くよりも、目の前にあるモノを、早く食べたくて、涎が止まら無いの。

 特別な日にしか、食べられ無いモノ。

 私の大好物の、おっきなお肉っ。


「ミルンの涎が凄いな……可愛いっ」


「ほんと、冒険者さんに、感謝しないと」


「そこは、パパに感謝だろ?」


「はいはい。ミルンの為に、魔物討伐に参加した、強い強いゼスに、感謝するわ」


 もうお肉を食べても、良いのかな?


「ほらゼス、ミルンが待ってるじゃない」


「おっと、そうだね。それじゃあ言うぞっ!」


「「お誕生日っ、おめでとうっ!!」」


 お肉へ齧り付く、合図だと判断した。

 直ぐに『ふっ』と一息で、蝋燭の火を消して、おっきなお肉に齧り付く。


「むきゅむきゅむきゅ……パパとママの分っ」


 手でお肉を毟って、ママには多めに、パパには少なめに、分配した記憶がある。


「ミルンは良い子ねぇ。ゼスっ、そんな暗い顔しないの。分けてあげるからね」


「ははっ。それなら僕からは、コレを進呈しようかな。冒険者から貰った、良いお酒だ」


「お酒っ!? 流石ゼスっ、愛してるぅっ」


 お肉をむきゅむきゅと、頬張りながら、この先の展開を、良く考えていた。

 酔ったママに、パパのお肉が奪われる。


「むきゅむきゅ……やっぱり、ママはつよいの」

 

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