18話 みんなでお引越し.6
2/12 加筆修正致しました。
王都中を爆走し、正門から飛び出した馬車は、現在徐行運転中。
手綱を握っているのは、勿論俺だ。
「死ぬかと思ったわ……」
荷台のケモ耳っ子が、飛んだり跳ねたり吐き出したりと、ヤバい状況だったからな。
マッスルホース的にも、ミルンはアウト。
荷台の小窓を開けて、ミルンがジッと、こっちを見て来るけど、御者は絶対にさせない。
「ミルン、諦めなさい」
「ふうけいをっ、みてるだけ」
「その目線の先には、マッスルホースのお尻しか無いぞ? あれは風景じゃない」
「ミルンてきには、ふうけいなのっ」
御者をされるよりかは、幾分かマシだけど、それでもマッスルホースは、怯えてるからな。
「このまま、むらまでいく?」
「んーっ、皆んなグロッキーだし、野営地で一泊してから、村に行こうか」
「おはかに、おまいりできるの」
「お墓? 誰の墓だ?」
「ほぞんしょくっ」
ミルンさん、保存食のお墓、作ってたんだ。
コカトリスの保存食……何だか随分と、前の事の様に感じるのは、何故だろう。
「王都での出来事が、濃過ぎだったからか」
「そーすのおはなし?」
「濃いお味だったのは、間違い無い。中の村長や影さんは、大丈夫なのか?」
「そんちょうは、ミウやメオといっしょに、あわふいてねてるの」
それは、少しだけ、羨ましい。
犬耳のミウと、ハム耳のメオ。
そんな二人と一緒に寝るだなんて、耳や尻尾を、モフりたい放題じゃないか。
「影さんは、何してるんだ?」
「みんなをかいほうしてるっ。どぅしゃのしんぱいは、しないの?」
「……ドゥシャさんなら、大丈夫だろ?」
「うん。いまも、ミルンしっぽ、さわってる」
ミルンの尻尾の、お手入れですか?
小窓からは見えないけど、ミルンの機嫌は良さそうだから、気持ち良いのだろう。
『旦那様、御者に集中なさって下さいませ。脇見をしていては、危のう御座います』
「……ドゥシャさんのスキルの中に、透視とか有ったりするの? 中からコッチは、見えて無いよね?」
『見えなくとも、気配で分かりますので』
「気配って……忍者かよ」
ここは、魔法が存在する異世界だし、忍術を使う人が居ても、おかしくは無いか。
『旦那様。護衛の馬車が見えましたので、普通に走らせても、問題無いかと存じます』
「報告有り難さん。ようやくリスタ達が、追い付いて来たのか。ミルン、スピード出すから、気を付けろよ」
「だいじょうぶっ」
ミルンの暴走の所為で、護衛の馬車を置き去りにして、御免ねリスタ。
さてさて、徐行運転解除してっと。
「ささっと行って、少し休むか」
のんびりとし過ぎた所為か、早朝に王都を出たのに、陽が沈む時間に、野営地御到着。
「お降りの際は、傘などの忘れ物の無い様、ご注意下さい。ドアが開きまーす」
「おとうさんが、またおかしくなったっ!?」
「旦那様。傘とは、何で御座いましょう?」
いつもならミルンが、『かさってなあに?』って聞いて来るのになぁ。
まさかの、ドゥシャさんからでした。
馬車から、ケモ耳っ子達を降ろして、時間も時間だし、晩御飯の準備です。
「院長影さんは、子供達を見ていてくれ。村長は水汲み、ドゥシャさんは、場所の確保をして、火を着けてくれ」
「うむっ、行って来るのである」
「畏まりました。広い場所を、確保致します」
「皆さん、決して一人行動を、しないように」
「「「はーいっ!」」」
俺は何をするのかって?
飯炊担当流さんですから、料理を考えます。
皆んな腹ペコで、目が怖いからな。
「纏めて作れるモノが良いか……」
「んしょっ、んしょっ、ていいちっ」
ミルン合体のついでに、聞いてみるか。
「なあミルン。今日の晩御飯、何にしようか?」
「むぅぅぅ、おにくっ!」
安定の、肉好きミルンですね。
「それなら、チャーシューでも作ってみるか」
「ちゃーしゅう?」
「一人じゃアレだから、ミルンも手伝ってくれ」
「おてつだいしますっ!」
小々波流、特製チャーシューの作り方。
大き目の鍋に、折ったコカトリスの骨を、大量に投入し、じっくり出汁を取りましょう。
「あくをとりとり、あくをとりとり」
「そうそう。色が汚い塊を、お玉で掬って、綺麗な色になるまで、頑張るんだ」
「あくはすくって、ポイっ」
そうして、灰汁を取った鍋に、玉ねぎっぽい野菜等をぶち込み、更に煮込みます。
「ぐつぐつだあめっ、よわびでじっくりっ」
「そこに、この縛ったお肉の塊を、入れるんだ」
「おにくっ! なんでしばる?」
「煮崩れ防止だな」
追加で、肉のタレを入れて、後はじっくりコトコトと、煮込むだけ。
「ぐつぐつだあめっ、たべていい?」
「涎凄っ、まだ駄目だぞ」
「あじみっ! あじみをようきゅうしますっ!」
「お肉を入れたばかりだろ。だーめっ」
後は、サラダを添えないとな。
空間収納、マジ便利。
ドゥシャさんや村長、院長影さんの荷物は、馬車の上に置かれているが、それ以外の物は全て、空間収納内に入れてます。
「中身増えたなぁ……」
====================
(一覧)
ミルンの尻尾の毛玉
ミルンの耳毛
ミルンの髪の毛
肉屋の在庫▼
花屋の在庫▼
農作物▼
資材▼
汚れた村人A装備セット
門兵Dの不倫相手の家の鍵
門兵Fの不倫相手の家の鍵
門兵Hの不倫相手の家の鍵
隊長室の扉の鍵
門兵詰所の鍵
門兵女性用詰所の鍵
流れのお金▼
ミルンのお金▼
ルシィのお金▼
ミルンのお洋服一式▼
ミルンの私物一式▼
ミルンの牛っぽい肉(500キロ)▼
ミルンの豚っぽい肉(300キロ)▼
ミルンのコカトリスの肉(198キロ)▼
肉のタレ▼
ケモ耳っ子達の私物一式▼
オークの骨▼
コカトリスの骨▼
ミノタウロスの骨▼
オーク肉(700キロ)▼
コカトリスの肉(500キロ)▼
ミノタウロスの肉(500キロ)▼
米っぽい作物▼
米っぽい作物の稲▼
王都の香辛料▼
王都の作物の種▼
王都の野菜▼
王都の果物▼
王都のキノコ▼
王都の調理器具セット▼
王都の食器セット▼
王都の建築資材▼
王都の家具▼
金の器
金の皿
金の精霊像
金の裸婦像
金の塊(二キロ)
金のブレスレット
金の鎧
金の盾
金の剣
金の指輪(十個)
世界樹の雫
世界樹の枝
回復薬(二十個)
解毒剤(十個)
万能薬(十個)
====================
門兵達の家の鍵は、爆走する馬車から、なんとか王都正門付近に、投げ捨て成功。
それ以外の鍵は、タイミングが合わなかったから、仕方無く持っています。
「不倫相手の鍵……どう処分しようか」
「ふりんって、なあに?」
「ミルンさんや、今の言葉は、忘れなさいっ」
煮豚の砦で、色々とゲットしたし、金に困ったら、売って生活費に出来るよな。
「あとは、コレか……世界樹の"枝"」
世界樹って、異世界ファンタジーあるあるの、あの世界樹の事だよな。
枝って植えたら、木になるのか?
なってくれたら、高級素材うっはうはで、遊んで暮らせて、超ラッキーなんだけど。
「ラクレル村で、植えてみるか」
「おとうさん、おにくまあだ?」
「おっと、どれどれ……もう少しだな」
サラダの準備をしなくては。
「旦那様。何かお手伝いを、致しましょうか」
「ドゥシャさん、丁度良いところに。この葉野菜を洗って、適当な大きさに、切ってくれ」
「畏まりました。一口大に、カット致します」
その間に、皿を準備してっと。
「旦那様、こちらで宜しいでしょうか」
「早っ!? あっ、ああ、有り難う……」
一秒? 二秒? どうやったの?
「そっ、それじゃぁドゥシャさん。ミルン煮込みのお肉を、この更に、盛り付けてくれ」
「畏まりました。ミルン御嬢様、お隣にて、お手伝い致します」
「もりつけ?」
「左様に御座います。このドゥシャの真似をして、盛り付けて下さいませ」
しれっとミルンを教育してるっ!?
ミルンも楽しそうだから、俺からは何も言わないけど、恐ろしい人だな。
はいっ、チャーシュー盛り完成っ!
「ケモ耳っ子達……匂いで集まるとか……」
呼ぼうとしたら、既に集合済みでした。
皆んなの可愛いお目々が、血走ってます。
「護衛組の面々が、最前列かよ。小さい子から配るから、お前ら最後だぞ?」
「ははっ、分かっていますよ」
「チビ共が、突撃しない様に、見張ってるんだ」
「最後っ……私は護衛なのに、最後なのか?」
リスタとアジュは、大人だな。
そしてレネアは、中身が子供っ!!
ケモ耳っ子達と同じく、辛抱堪らんと言う顔をしてるが、諦めて下さい。
「良い匂いであるな。ほぅ、煮込みであるか」
「おなかちゅいたっ!」
「すんすんっ、おにくのにおい!」
ミウとメオをくっ付けた村長も、ゆっくりと歩いて来るけど、何してんの?
物凄く羨ましい光景だぞ。
そうして、順番にチャーシュー盛りを配り終え、皆んな食べずに我慢中。
院長影さんの、教育だそうだ。
「では皆さん。作って頂いた、流さん、ミルンさんに、感謝を込めて……頂きます」
「「「いただきますっ!」」」
何だろう、恐怖映像かなぁ。
ご飯に対する熱量が、半端ないの。
「ムゴムゴっ! おかわりっ!」
「ミルン。飲み込まずに、ちゃんと噛んで食べなさい。あと、お野菜残したら、毎日お野菜祭りにするかな」
「ムゴっ!? モシャ……たべてるのっ!」
野営地に居る、周りの冒険者達を全く気にせず、まるで、祭りの様な、賑やかな光景だ。
「なあミルン、美味しいか?」
「ぜつみょうな、あじつけなの。おいしいっ!」
「そりゃ良かった。俺も食べるか……?」
流石、ケモ耳っ子達だ。
俺の分の肉なんて、残る訳が無い。
「旦那様。こちらを、お召し上がり下さいませ」
「うん……野菜スープも、悪く無いな」




