エピローグ
2026/06/28 改稿
神域と地上の狭間にある、特別な空間。そこには何も無く、ただ灰色の空が広がるだけの、常人であれば、気が狂うであろう場所。
「いやぁ、びっくりしましたねぇ。まさかあの時の中でぇ、殴りかかって来るなんてぇ」
ふわふわと漂いながら、思考を巡らす。
小々波・流という、私の玩具。
とある目的の為に転生神の目を盗み、あの世界へと放り込んだが、今のところ、"彼"からの接触はないし、反応も感じられない。
「それでもぉ、いつまでも傍観してたらぁ、大変な事になっちゃいますよぉ。ぷぷぷっ」
私は全てを知る、全能神ではない。だからこそ、予想外の連続であったけども、幸いにして最悪の事態だけは、避ける事に成功した。それでも、別の問題が起きてしまったが、最悪でないだけマシというものだ。
「あれしかぁ、手がなかったとは言え、"半魔王"になるだなんてぇ……ふとした拍子に孵化しちゃったらぁ、不味いですよねぇ」
あのまま流が変質して、それこそ私の意図せぬ者──※※※にでもなっていたら、神が直に干渉して来て、厄介な事になっていた。
彼には、流にはまだ早い。
そこに至るには、順序が大事なのだ。
「※※※は神様の影響下ですしぃ、彼を釣る餌にしてもぉ、邪魔になっちゃいますからねぇ」
良い素材があれば、色々と試して、存在を根刮ぎ作り変え、※※※を作れるかどうかを、実験出来るのに、そう上手くいかない。
神様の影響下にない勇者を作り、そこから更に改良を施して、※※※を作り出す。勿論、神様の目を盗んで。
「それでもぉ、"彼"が出て来るかは、五分五分なんですけどねぇ。上手くいかないものですけどぉ、気長に頑張りましょーう」
ついつい口角が上がってしまう。目的の為とはいえ、流に姿まで晒して、いつもの私であればそんな事、しなかったであろう。
「"哲也"ぁ、何処に居るんですかぁ。早く姿を現さないとぉ、息子さんが危ないですよぉ、ぷぷぷっ」
数多くの異世界人を、あの世界に送った中で、唯一私の干渉を防ぎ脱した、"ジアストールの魔王"。もっと以前の名で言うのなら、最古の魔王。
「次は、どうしましょうかねぇ」
くるくるくるくると、浮いたまま前転をしながらも、どの様に流に干渉すべきか、どうすれば扱い易い存在になるのかを、延々と考える。そうしていたら突如、ピシィッ──と目の前の空間に亀裂が走った。
「あらぁ、これは……っ」
この灰色の空間は、自身の制御空間であり、同格の存在だと干渉すら出来ない。それが可能な存在は、私より上位の存在。
『見付けたわよおおおおおおっ、りしゅええええええええええええりるっ!』
「不味い不味いっ、空間を広げないとぉっ」
逃げようとしたが、遅かった。亀裂から伸びてきた手が、私の頭をミヂィッと掴み取り、そのまま締め付けてくる。
『貴女っ、やってくれたわねぇ……』
「痛いですぅ、アルテラさまぁ」
亀裂が拡大して、ゆっくりと、時間をかける様に、この空間へと入って来る存在──女神アルテラが、姿を現した。
「目が痛いですよぉ」
「聞こえてるのよっ! 目を開けなさいっ!」
「見たら目が桃色になりますぅ」
「なってたまるかあっ!?」
長い桃色の髪に、桃色の瞳。桃色の唇からは、桃の香りがする。桃色のドレスには、金色に輝く神具を付け、そこに嵌め込まれている宝石も、全てが桃色。勿論ヒールも桃色。桃色による、桃色の為の桃色。
「なんでぇ、普通のピンクにぃ、しないんですかぁ? 痛い姿ですよぉ?」
「黙らっしゃいっ!」
「申し訳御座いませぇーん」
「全然申し訳なく思ってないでしょ!」
私は軽口を叩いている様に見えるが、内心では、口から下呂を吐き、アルテラにぶちまけたい気分である。
片や、信仰神の一柱。片や、神様の奴隷。どう足掻いても、勝てる訳がない。正に、ドラゴンに睨まれた可愛い兎ちゃん。だからこそ、脱兎の如く逃げ出したい。
「えっとぉ、どの様な御用件でしょうかぁ。転生神様ならぁ、別の空間ですよぉ?」
ミシミシと、頭蓋が嫌な音を立てる。
「分からないのかしらぁ、リシュエエエエエエエエエルちゃああああああんっ?」
「皆目ぅ、見当もぉ、つきませんねぇ」
ミシミシと、頭蓋が嫌な音を立てる。
「貴女のミスの所為でぇ、送られて来た馬鹿がぁ、私の美貌を讃える為に作らせたぁ、私の為の像を……っ、壊したんでしょうがっ!!」
「えぇぇぇ、それぇ、私の所為ですかぁ?」
「当たり前でしょうっ!?」
アルテラ様の信徒が、アルテラ様と同じく頭が愉快な方達ばかりで、流の怒りを買って、自爆しただけなのにぃ。そんなの自業自得では、ないのでしょうかぁ。なーんて、そんな事を口にすればぁ、頭蓋が割られるのでぇ、思うだけにしますぅ。
「何よその目は。存在ごと……潰すわよ」
「止めてくださぁい。申しわけぇ御座いませんでしたぁ。この通り反省しておりますぅ」
顔を掴まれているので、浮いた状態のまま、足だけ正座の姿勢をとり、外面だけでもしっかりと謝意を表す。
「謝る時はっ! ちゃんと頭を下げなさいよ!」
「理不尽なぁ、要求ですねぇ」
ミシミシと顔面を掴まれたままで、どの様にして、頭を下げろと言うのだろう。流石は女神アルテラ様。あの愉快でお馬鹿な信徒達が崇める、神の一柱。
「頭を下げないのら、割るわよ……」
メキィッと、頭蓋が嫌な音を立てる。
「そんなに怒らないで下さぁい。やらかした彼もぉ、今は大人しいですからぁ、もう迷惑はかけない────ふぇっ?」
彼の現状を見てもらう為、指を鳴らして、地上の映像を、アルテラに見せた。今頃彼は、獣族達を引き連れて、村での暮らしを始めようとしている頃だろう。そう思って、アルテラに見せたのだ。
「ねぇ……リシュエル?」
「えぇっとぉ、これはぁ……」
私にもぉ、これは予想出来ませんよぉ。
映し出された映像には、流が発動したのであろう、神級魔法・メテオライトフォールが、丁度ラクレル村に直撃した瞬間が映っていた。
「ねぇ……リシュエル?」
「ほらぁっ、アルテラさまぁ。これっ、ここを見て下さぁい。まだ無事な家もぉ、一軒ありますよぉ?」
「本当ねぇ、凄いわぁ……」
ミチィッと、頭蓋が嫌な音を立てる。
「村滅ぼしてんじゃ無いのよおおお──っ!? このっ、お馬鹿あああああああああああああああああああああ────っ!!」
女神アルテラの叫びが、地上に降り注ぐ。、
転生神に続いて、二度目となる神の波動は、地上に一体、どの様な異変をもたらす事になるのだろうか。
「ああああああっ、タイミング悪いですよぉ」
このままでは頭蓋が割られてぇ、再生に時を要してしまいますぅ。なんとかこの場からぁ、ササっと逃げないとぉ。
「少しは反省なさいっ!」
足をばたつかせて逃げようとしたら、パキュ──と頭蓋が割れた音が聞こえ、「あああっ!」と声を出すしか、私には出来なかった。だからそこ、流を煽って憂さ晴らしをしましょう。
「村を消し飛ばすなんてぇっ、"破壊者"と言ってもぉ、過言じゃあないですよねぇ」
「しぶといわね貴女……っ、はあっ!!」
「────あっ」
頭がクシャッと、潰されてしまった。
改稿完了致しました。
はいはいどうもー、かみのみさきです。
いやぁ……流石に9話から一気に改稿したので、気力がゴリゴリ削られましたが、以前のモノよりかは格段に読み易くなっている筈っ!!
えっ、隕石オチは変えないのかって?
変える訳がないじゃないですかあっ!
一週間をかけて、悶々と書いていたので、少しでも楽しんで頂けたならば、幸いで御座います。
評価ブクマ感想諸々、お待ちしておりますので、気が向いたら是非とも、お願い致します。
気が向かなくとも、待っておりますともおっ!!
二章からもちょくちょく改稿していきますが、先ずは六章間話から、七章を進めますのでご容赦をっ!
ではでは、またの後書きでぇ。




