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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界
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16話 みんなでお引越し.2



 唐突だが階級制度の話をしよう。

 階級制度とは、縦階層のピラミッド型で出来ており、上は王から下は平民と下に行けば行く程身分が低く、自由も無くなってくる。平民の下、浮浪者や孤児達は最早人とすら認識されず、生きる事だけが彼等の自由と言っても過言では無いだろう。


 話を変えよう。

 今回俺が女王ルシィから拝命した相談役とは何なのか、と言うことについては呼んで字の如く相談役で間違いは無いけども、ルシィが男爵相当と言ってきたので、相談役だよねと聴いたが笑うだけで応えてくれない。


 では男爵とは。

 コレについては先程述べたピラミッド型の階級制度の中で照らし合わせれば上から五番目、下の中、貴族として最底辺と言える。


 村長が拝命した騎士爵位は貴族としては下の下であるが、一般人の最上位であり、男爵と騎士爵を比較してみたら国からの年俸は出ないが、そのかわり貴族としての義務も少なく、騎士爵と言うネームバリューを利用できる羨ましい立ち位置の騎士爵に比べ、男爵は、上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と先に触れた通り上から五番目と貴族の中では最底辺となり、村や街を治め税を徴収したり、面倒ごとが起きると対処しなければならないと言う下っ端の下っ端で貴族の中のその他大勢である事から、地球で経験したブラック企業よりも地獄になる事が予見出来てしまい、だからこそ俺はこう叫ぶんだ。


「働きたくなぁあああああああああああい!!」


 街中に俺の叫びが響き渡った。


            ※


 と叫んではみたものの、どうしたものかと考えて、村長がなんちゃって騎士になった次の日の朝に、ケモ耳っ子達をラクレル村へ運ぶ為の馬車を買いに向かってますよ…働きたく無い。


「流君、いい加減諦めたまえ! 相談役は、貴族では無く貴族相当と言う話だったであろう!」


 そんな事言って働かせるんだろ? 

 俺は騙されませんよ。

 ケモ耳っ子達と楽しく暮らすだけだからな。

 

「とりあえずは移動用の馬車だな。村長、マッスルホース選び頼むぜ。親戚だろ?」


 ミルンが俺の肩の上でテンション低いなぁ。


「たべれないおにく…」


 ミルンや、移動に必要な足だからそういう眼で村長の親戚を見てはいけませんよ。


「私の親戚にマッスルホースはいない!」


 本気にするなよ筋肉村長…もう村長じゃないのか? 騎士様…違うな…筋肉…違う。

 やっぱり村長だな!


「旦那様。あちらが馬車を取り扱っているお店にございます」


 ドゥシャさんは本当に何でも知ってるんだな。案内係有難うごぜぇます。


「ミルン御嬢様が行かれるのですから、ご案内は当然の義務で御座います」


 義務って保護者かよ。

 ミルンは俺の娘だからやらないぞ。

 話してたら着いたな。


「すみませーん。マッスルホース下さいな!」


 勢いよく店内へ突入! さあ! 店員はどいつだ! 馬車とマッスルホースを出せ!


「なぜ強盗みたいな眼をしている」


 村長が突っ込みを入れてきたが緩い! やっぱりキレのあるリティナがいないとなぁ。

 張り合いが無い。


「いらっしゃいませ。本日はどの様な御用向きでしょーか?」


 店員来たな、愛想悪い。

 笑顔も無いし男だし何より俺の服装見て金持って無いだろコイツ見たいな顔しやがった。


「おうまさんくださいな」


 ミルンが言ってくれたよ可愛いなぁ。

 おい、馬車を買いたいんだが十人程ゆったり座れて揺れの少ない馬車だ。


「はぁーあっちに御座いますよ?」


 何だ? 見て来いってか? 案内しろよ。

 ミルンが言ったんだよおいコラ店員。

 ドゥシャさん違う店無いの? こんな店で買う必要無いでしょ。ドゥシャさん?


「店長のバルノ様はいらっしゃいますか?」


 ドゥシャさん眼が笑ってないよ。

 店長と知り合いなのかな、おい! 店長だせ店長! お前じゃ話にならん。

 おっ、誰か走ってきたじゃんお前店長か?


「はぁ、はぁ、いらっしゃいませドゥシャ様。お出迎えが出来ず大変申し訳ございません」


 めっちゃ腰低!? 何この店員との落差。

 ミルンや、このおっさんにさっきの言葉、もう一度言ってやってくれ。


「おうまさんくださいな!」


 そうそうちゃんと言えて偉いぞー。

 おいおっさん。店員の教育ちゃんとしろよ、コイツ案内もしやがらないんだから。


「あの、ドゥシャ様。こちらの方々はどう言った方で…?」 


 恐る恐る聞くなよハッキリ聞けよ。


「こちらはヘラクレス様。騎士の称号を陛下より賜り、任務の為、馬車を御所望されております」


 それを聞いた店員の顔が青ざめて、店長の顔が引きつってるな、笑えるっ。


「こちらのお方が、陛下の相談役の流様。最後に、こちらに座すお方が私が仕えておりますミルン御嬢様に御座います」


 店長の口からひぇって聞こえたな。

 今の説明で何か分かったの? 何なの? 店員の首根っこ掴んで…外連れ出して…。


「貴様はクビだ! この馬鹿話ものが!」


 おおいっ急に解雇しちゃったよ大丈夫なのかアイツ…外で震えてるんだけど。


「申し訳ございません! 最近雇ったばかりで御座いまして、ミルン御嬢様に大変なご迷惑をお掛け致しました! 勿論! 馬車は直ぐ手配致しますので、何卒ご容赦をぉおおおおお!!」


 ミルンに謝るんかい!? ドゥシャさん何者なのさ。まあ、聞いても教えてくれないだろうけど。 


 ミルン、おっさんが御免なさいだって。

 どうする?


「お安くお願いします! あと、おとうさんにも謝って下さい!」


 あれ? ミルンさん素になってますよ。


「なにおとうさん?」


 俺の聞き間違いかな…甘えたミルンだ。

 俺がおとうさんと言われて店長がヤバいぐらい過呼吸起こしてるぞ、大丈夫か店長?


「だぃ、だぃ、ひぃ、大変申し訳ごじゃいませぇええええええええええええええコヒュッ」


 息が続かず倒れちゃったよ…もういいや勝手に馬車見るぞ。


「おいっ! 流君助けないのかね!?」


 村長、このおっさん介抱しておいてくれ。俺は馬車見とくから、ドゥシャさん、どの馬車が良いかな? できれば頑丈で、速く動いても揺れないやつが欲しいんだけど。


「それで御座いましたら、あちらの馬車が宜しいかと存じます」

 

「おっきい! リティナのとにてるの!」


「君達は全員魔王か!?」


 今のは良い突っ込みだ村長。

 そうだよ、全員魔王だよ。

 なんちゃって。



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