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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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18話 みんなでお引越し.2


 2/10 加筆修正致しました。



 ルシィから、相談役と言う、何とも不名誉な役職を与えられた、次の日。

 最悪の目覚めとは、この事だろう。

 ぐっすり寝たよ?

 なんだったら、日本に居た時より寝たよ?

 でもね、昨日の事が頭から離れなくて、寝て起きても、気持ちは曇空です。


「男爵位相当って……何よ」


 確か男爵は、貴族の最底辺だったよな。

 上から公爵、侯爵、伯爵、子爵と来た後に、男爵だった様な気がする。


「村長は、騎士なのにっ。どうせなら俺も、騎士の方が良かったなぁ……」


 だって騎士よ?

 男爵位相当と、騎士を比べて見て、どっちが格好良いかと言えば、勿論騎士だろう。

 魔法使えるから、魔法騎士、流っ!


「……厨二病乙っ」


 そんな事を言いつつも、部屋を見渡す。

 城内の、小綺麗な客室です。

 ルシィの部屋?

 そんなん、木屑だらけにしてたから、ブチ切れられて、追い出されたわ。

 

「ミルンが居ない……起きて遊んでるのか?」


 時計が無いから、ハッキリした時刻は分からないが、窓からの太陽を見る限りだと、日の出からそんなに、経ってない筈だ。


 コンコンッ────『流君、ヘラクレスである。入っても良いか』


 朝っぱらから村長って、体に毒だな。何も言わずに、二度寝でもするか。


『そんちょう、なにしてるの?』


『むっ? ミルン君は、もう起きていたのであるか。孤児院の子供達を運ぶのに、馬車が必要なのでな。その購入に、流君を連れて行かねば、予算が下りぬらしいのだ』


『おうまさん?』


『そうであるぞ。ミルン君。流君を、呼んで来てはくれまいか』


 扉の近くで話をしてるから、全部聞こえてますけども、村長狡くない?

 ミルンを利用して、俺を起こす気だ。


『おとうさんは、おねむなの』


『昨日の事を、まだ引き摺っておるのか』


『そうなの。ねごとでも、はたらきたくない、はたはきたくないって、うなされてたっ』


 ミルンさんや、言わないでくれぇ。

 本心なんだけど、純粋なミルンに言われると、恥ずかしくなって来ます。


『それは……いつもの流君では無いかね?』


『かんがえたら、そうなの。おこすのっ!』

 

 ミルンさんや、そこで納得しないでくれ。

 俺だってしっかりと、働いただろ?

 大聖堂消炭にしたじゃん。


 ガチャッ────「おとうさん、おきてる?」


 流さんは、寝ています。


「すんすんっ……おきてるにおいっ!」


「ミルンさんや、お顔の匂い嗅ぐの、止めて?」


「そんちょうよんでるっ。おそといくの!」


 ミルンがジッと、見詰めて来る。

 朝から元気な、犬耳娘は可愛いが、扉の向こうには、ゴリゴリ筋肉が居るんだろ。


「村長には、まだ寝てるって、伝えて欲しい」


「うそつきはっ、とうぞくのもとなのっ」


「泥棒じゃ無くて、盗賊なのか……」


 盗賊をするのに、役立つスキルは持っているが、本業にはしたく無いからな。

 仕方無いっ、起きて行こうか。


「よっと。ミルンさんや、ちょっとお耳を、ペタンっと、しておいてくれ」


「なんで?」


 ベッドから起き上がり、朝日が差し込んで来る、窓へと向かい、大きく深呼吸。

 目をクワっと開いて、心からの叫びを、この広い王都に向けて、言い放った。



「働きたくっ、無いんだあああああああああああああああ────っ!!」



 空を飛んでいた小鳥が、ボトっと落ち、何処かで何かが割れた音がしたが、気にすまい。


「……流君っ、朝から何を言っておるのだ!?」


「よっ、村長。おはようさん」


 声に釣られた村長が、入って来てしまったが、叫んだお陰かスッキリ爽快。




 そのスッキリは、直ぐに消えたけどね。

 そう簡単に、人の心はスッキリしない。


「……村長だけでも、買いに行けただろうに」


「仕方無かろう。何度も言ったが、相談役が同行しなければ、馬車が買えぬのだっ」


「あのルシィっ、面倒な事させやがって」

 

 只今王都を散歩中。

 だったら良いなと思いながら、馬車が買えると言うお店へ、向かってます。

 ケモ耳っ子達の為だから、行くしか無いのは分かるが、効率悪過ぎるだろっ。

 アレか? 強制労働させる気?


「道案内のドゥシャさんは、無言のまま歩いてるし……機嫌でも悪いのだろうか」


「おうまさーん、おうまさーん、まあだ?」


「まだ先だぞ。ミルンはそんなに、お馬さんが好きなのか? 村長の親戚なのに……」


「親戚に馬は居らぬっ」


「おうまさんは、おいしいのっ!」


 ん──っ、ミルンは何か、勘違いしてる?


「ミルンさんや。今買いに行ってるのは、移動用のお馬さんだから、食べれないぞ」


「たべれないのっ!?」


 肩の上のミルンが、ショックで震えた。

 やっぱり、食べる気満々だったのか。

 リティナのマッスルホースにも、涎垂らしてたから、まさかとは思ったけど……。


「たべれないなら、くるんじゃなかったっ」


「後悔は、しておくものだぞ」


「こうかいって、なあに?」


「えっと……昨日にもっと、お肉を食べておけばなぁとか思ったら、それが後悔だ」


「おふねでぷかぷかは?」


「それは……航海の事か?」


「おどりをみせるのは?」


「公開……ミルンさんや、ワザと言ってるな」


 やっぱりミルンは、小さい見た目に反して、言葉を多く知っている様だ。


「おしろであつまって、だんすするのは?」


「何だそれ……社"交界"っ!」


「まえのやくそくから、いまのやくそくに、かえるのは?」


「約束……契約の事っ!? 更改っ!」


 なぁ、ケモ耳母さん……ミルンこんなに小さいのに、英才教育でもしてたの。

 頭良過ぎて、不思議な遊びをしているよ。


「旦那様、到着致しました。こちらが、馬車を扱っております、"ラブホース"に御座います」


「御免ドゥシャさん、もう一回言って?」


「こちらが、馬車を取り扱っております、"ラブホース"に御座います」


 マッスルホースへの、愛を感じる名前だ。

 店名、それで良いのかな。

 馬車の店だから、それで良いのか。


「キワモノの店っぽいな」


「おにくをかうのっ!」


「ミルン。このお店でそれを言ったら、間違い無く、追い出されるだろうから、止めような」


「わかったの……なめるだけにするっ」


 そしてそのまま齧り付くと。

 そうなったら、本気で止めないと、丸ごとペロリと食べちゃうだろう。

 

「旦那様?」


「あっああ、入るよ。ミルン、準備は良いか」


「じゅんびよしっ!」


「何をしておるのだ……」


 そりゃあ、ミルンへの教育だ。

 お店に入る時には、必ずやらないと、失礼になったら困るからな。


 扉を開けて、先ずは一声これ大事。


「馬車とマッスルホースをっ、出せぇっ!!」


「たべられないおにくをっ、だすのっ!!」


「店員は何処だぁっ! 早く来ないとっ、天使のミルンが噛み付くぞっ!」


 はい、強盗風入店方法です。


「二人共止めたまえっ、なぜ強盗なのだっ!?」


「斬新な入店かと存じます」


「ドゥシャ殿は冷静であるなっ!?」


 ミルンと相談した訳でも無いのに、阿吽の呼吸で、見事に合わせた。


「流石ミルン、俺の娘なだけはあるな」


「むふふっ、ほめられたの」


「この二人はっ、馬鹿なのであるか!?」


 失礼な筋肉だな。

 ミルンは、才能豊かなケモ耳娘だぞ?

 絶対に、馬鹿じゃ無い。


「チッ、煩いなぁ。何かーっ、御用っすかぁ」


 店員来たな。

 物凄くっ、態度が悪い店員だけど。

 しかも一瞬、俺の服装を見て、『金持ってないだろコイツ』みたいな顔を、しやがった。


「おうまさんくださいなっ」


「あんっ? 犬人の子供?」


「えっと、済まない。馬車を買いに来たんだけど、十人程ゆったり乗れて、揺れの少ない馬車ってあるかな?」


「はぁ? あっちに有りますよ?」


 親指向けて、あっちに行けと。

 怠そうに耳の穴を掃除してるし、コレが店員ってのは、酷過ぎ無いか?


「おうまさんくださいなっ」


「だからあっちだっての。煩い犬人だなぁ」


 肩の上のミルンが、プルプルしている。

 噛み付くのか?

 噛み付くのなら、俺は止めないぞ。


「店長のバルノ様は、どちらに居られますか?」


「店長? さぁーっ、知らないっすねぇ?」


 ミルンに続いて、ドゥシャさんの目が……店員さんの命は、残り僅かかな。


「むぅっ、おうまさんをっ! くださいなっ!」


「ちょっ、静かにしろってーのっ」


 肩の上のミルンと、店員の睨み合い。

 店員が目を逸らした瞬間に、ミルンの脚を押さえている手を、離します。

 そう思っていたら、奥から誰かが来た。

 二人目の店員だろうか。


「おいおい、さっきから何を騒いで……っ、これはこれはっ、ドゥシャ様では御座いませぬか」


「うぇっ、店長の知り合いっ!?」


「バルノ様、ご無沙汰しております」


「お久しゅう御座います。御連絡を頂ければ、こちらから参りましたものを」

 

 どうやらこの爺さんが、店長の様だ。

 しかも、物凄く低姿勢。

 そこの店員との落差、あり過ぎでしょ。


「なぁミルン。あの爺さんに、さっきの言葉を、もう一度言ってみてくれ」


「おじいさんっ! おうまさんくださいなっ!」


「そうそう。ちゃんと言えて偉いっ」


 さてさて、爺さんの反応はどうだ?


「おやおや、可愛らしいお嬢ちゃ……その瞳の色、顔立ちっ……ドゥシャ様、本日はどの様な御用件で?」 


 爺さんの反応が、予想外なんだけど。

 ミルンの顔を見た瞬間、背筋をピンッと伸ばして、顔付きが変わった。


「先ずは、ご紹介致しましょう。こちらは、ヘラクレス様。騎士の位を陛下より賜り、任務の為、馬車を御所望されております」


 チラッと店員の方を見てみると、何やら冷汗を流しており、状況を理解した様だ。


「こちらのお方が、陛下の相談役の、流様」


 俺の紹介は、それだけなの?

 店長さんも、何それって顔してるぞ?


「最後に。こちらに座すお方が、今の私の主である、ミルン御嬢様に御座います」


「ドゥシャ様の主っ、矢張り……」


 店長の口から、矢張りって何?

 どうやらこの店長、ドゥシャさんの事を色々と、知ってそうだな。

 普通のメイドに、"様"付けはしないだろ。


「先程から、そこの者が、我が主たるミルン御嬢様に対して、不遜な態度で接して来るのですが、バルノ様……」


「ダブっ! 貴様っ、何をしおったっ!?」


「えっ、あっ、あのっ、えっ?」


 失礼な店員さんや。さっきまでの態度は、一体何処に行ったんだい。


「おうまさん、あっちっていったの!」


 肩の上に、視線が集まる。

 ミルンの可愛い親指が、ピコって出てて、向こうに行けと言っている。


 それを見た店長は、店員の首根っこを掴み、そのままズルズルと、外に出て行った。


『貴様はクビだっ! この愚か者がっ! 命が有るだけっ、有難いと思えっ!』


 外からの声だけは聞こえるけど、即解雇とか、異世界は厳しいねぇ。

 労基なんて、ある訳無いもんな。

 

「おとうさん。くびってなあに?」


「クビってのはな、お仕事を辞めされられて、無職になるって事だぞ」


「おとうさんと、いっしょっ」


 今は違うからな。

 今の俺は、相談役って言う仕事があるから、無職じゃ無くなってるんだ。

 

「店長戻って来たな……」


「御見苦しいモノをお見せして、申し訳御座いません。ミルン御嬢様御要望の馬車を、今一度っ、お聞きしても、宜しいでしょうか」


「旦那様。御要望を、お伝え下さいませ」


「はいよ……どうした店長?」


 相談役って紹介された時は、何だそれって顔してたのに、今は何故か、震えている。


「どっ、ドゥシャ様のっ、旦那様で?」


「なんか、そう呼ばれているな」


「主様にっ、旦那様っ、先程の不敬っ! 平に御容赦下さいませえええ──っ!!」


 急に床に全力土下座は、一種の暴力だぞ。

 しかも、額を床にゴリゴリと擦り付け、泣きそうな顔で、懇願して来ます。


「おとうさん。おじいどうしたの?」


「俺にも良く、分からんの」


「ふぇ……おと、お父様? おと────」


 あっ、コレ駄目なヤツだ。

 時空の彼方へ、意識を飛ばしやがった。


「ドゥシャさん、どうしようか……」


「では、僭越ながら、私目が御案内致します」


「うん……最初から、そうしてくれ」


 んで、そこの村長。

 空気のフリしても、無駄だっての。


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