28話 皆で出発ラクレル村へ.2
2026/06/28 改稿
王都の中をぶらぶらと、服、食器、魔石付きコンロ等々、ケモ耳っ子達の生活に必要な物を、買い漁っております。
「すんすんっ……このお肉は駄目っ。臭いが変だし、中身が腐ってるの。そっちのお肉なら、脂身が多くて旨しっ」
「流石に御座います、ミルン御嬢様。店主……そちらのコカトリスのモモ肉を全てと、オークの足骨を五本、下さいませ」
「へっ、へいっ! 只今ご用意しやすっ!」
背後から追って来たミルンと、それに並走して来た、ドゥシャさんと一緒にね。そしてこの購入代金は、全て女王に請求されます。
「なあドゥシャさん。遊んでいたケモ耳っ子達は、どうしたんだ? 特にあのラカス」
「ニアノール様にお預け致しました。それに、ヘラクレスを扉から引っこ抜く遊びを、始めてしまわれましたので、こうしてミルン御嬢様に、付いて来た次第に御座います」
「ラカスは無視かよ……」
「お父さん。ラカスはちゃんと、お仕置きをされてたよ。ニアノールが踏ん付けてたの」
猫耳ニアノールさんの、本気の仕置きか。ラカスも猫耳だし、踏ん付けて上下関係を分からせるとか、猫人らしいやり方だわ。
「それでね、踏ん付けられてるラカスを見て、モンゴリが羨ましそうに、『ぼくもふんでええええええっ』て、懇願してたの」
「モンゴリ君……将来が心配だなぁ」
孤児院が焼かれた時、ザルブの剣を受けたにも関わらず、無傷で腹パンしたって話を聞いたけど、本当に種族が分からない。ケモ耳ケモ尻尾は生えておらず、パッと見ただの……村長を小さくしたかのような子供。
「大きくなったら、村長のような筋肉になるのかなぁ。それだけは勘弁して欲しい」
「モンゴリはね、初めて会った時より、筋肉が付いてるの。盛りってなってた」
「……村長の筋肉運動の所為か」
不安な気持ちになるものの、適度な運動は健康に良いし、止める権利を俺は持たない。筋肉達磨にならない事を、願うばかりだ。
「旦那様、大変お待たせ致しました」
「はいよ。それじゃあその肉は、こっちで預かっておくぞ。"空間収納"」
「本当に便利な、スキルに御座いますね」
「俺もそう思うんだけど……結局入れた物って、どこに保管されてるのかねぇ」
もう空間収納のスキルは、隠さずに使うと決めた。人を穴に落としたり、物を盗んだりといった裏技までは伝えていないが、荷物入れとしてだけでも、普通に使いたいからな。
「結構物が増えたなぁ」
====================
(一覧)
ミルンの尻尾の毛玉
ミルンの耳毛
ミルンの髪の毛
ミルンの抜け毛
ラクレル村の肉屋の在庫▼
ラクレル村の花屋の在庫▼
ラクレル村の農作物▼
ラクレル村の資材▼
門兵Eの貞操帯の鍵
流のお金▼
ミルンのお金▼
ルシィのお金▼
ミルンのお洋服一式▼
ミルンの私物一式▼
ミルンのミノタウロス肉(500キロ)▼
ミルンのオーク肉(300キロ)▼
ミルンのコカトリスの肉(198キロ)▼
王都肉のタレ▼
孤児院の子供達の私物一式▼
オークの骨▼
コカトリスの骨▼
ミノタウロスの骨▼
オーク肉(700キロ)▼
コカトリスの肉(500キロ)▼
ミノタウロスの肉(500キロ)▼
米っぽい作物▼
王都の香辛料▼
王都の作物の種▼
王都の野菜▼
王都の果物▼
王都のキノコ▼
王都の調理器具セット▼
王都の食器セット▼
王都の建築資材▼
王都の家具▼
金の器
金の皿
金の精霊像
金の裸婦像
金の塊(二キロ)
金のブレスレット
金の鎧
金の盾
金の剣
金の指輪(十個)
世界樹の雫
世界樹の枝
回復薬(二十個)
解毒剤(十個)
万能薬(十個)
====================
「……この鍵だけ、捨てるに捨てれない」
「旦那様、どうかなさいましたでしょうか?」
個人のステータスは、他人には見られないらしく、勿論この、空間収納一覧も見えない訳だけど、側から見たら何もない空間を、手でさわさわしているからか、不審者に見られます。
「お父さん、ステータス見てる?」
「そうなんだけどね……」
レベルやら能力値は、なるべくスルーしながら見てますよっと。称号欄の半魔王とか、視界にも入れたくもないんです。
「えっと、ドゥシャさん。この鍵の持ち主って、知ってたりするかな?」
ポトっと手の平に鍵を出し、見せてみる。
「その鍵は──旦那様は、変態に御座いますか」
「待て待てっ……誤解しないでくれ。これは偶然偶々、空間収納に入ってしまった物でっ、事情を聞いてくれれば、納得するからっ!」
「すんすん……女の人の匂いがするっ! お父さんどこで遊んだのっ! ちゃんと吐くのっ!」
「ミルンさんや。殆ど一瞬に居たのに、お父さんに遊べる時間があったとでも?」
国の首都だけあって、そういった店もあるにはあるが、常にミルンがくっ付いているので、行きたくても行けないんです。
「ミルンが寝てる時に、行ったんでしょ……」
「行こうとしたら、ミルンは起きるじゃん」
「ぬぅぅぅ、怪しい」
そりゃあ夜に宿を抜け出して、行こうとしたさ。でもね、宿が狭過ぎて……何度もミルンに気付かれて、阻止されたんだぞっ。
「この鍵は、北門の一件の時に、偶然空間収納に入ったんだよ。女兵士さんのだけど……返そうにもアレだし」
「北門に御座いますか。あぁ、一人だけ居りましたね。その者で御座いましたら、陛下に確保され、城の文官となっております」
「……文官? 兵士がなんで文官?」
あの女兵士、生脚美脚体力系の筈だけど、何がどうなって、ルシィの文官なんかに……俺の所為で、人生狂っちゃった?
「陛下曰く、『文官を中から監視するのに、丁度良いのう』との事で、旦那様が北門を去って直ぐに、文官となった方に御座います」
内部監査的なモノだろうか。そう考えたら、荒事になった時の為に、肉体系の人を潜り込ませた方が──何か違う気がする。
「これ、返しといて貰えるかな」
「お預かり致します。そこの者、これをラナに届けなさい。宜しいですね」
「承りました」
今一瞬、意味の分からない事が起きた。俺がドゥシャさんに鍵を渡して、ドゥシャさんはその鍵を"通行人"に渡し、その通行人はそれを受け取って直ぐ、俺の横を通り過ぎて行った。
「今の誰っ!?」
「ふんっ、ふんっ、気が付かなかったのっ!」
「お気になさいませぬよう」
そんなの……気にするなって、無理があるだろ。本当に、さっきの人は誰なんだ。




