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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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18話 みんなでお引越し.1


 2/10 加筆修正致しました。



 村長との模擬戦を終えて、ルシィの私室に、戻って来ました。

 模擬戦と言うか、一発で失神したけどな。

 まだ少し痛い……。


「それじゃっ、ぱぱっと作りますか!」


「おてつだいするっ」


 何を作るのかって?

 勿論っ、拘束荷車二号君です。


「旦那様。何かお手伝いできる事が、御座いましたら、何なりと、お申し付け下さいませ」


「……うん、まだ付いて来んの?」


「それが私目の、役目に御座いますので。そちらの部品は、釘で固定した方が、宜しいかと」


「あんがとさん……役目ねぇ」


 ここで、拘束荷車の構造を、説明しよう。

 パッと見は、ただの荷車だが、所々に凹みを入れて、荷車どうしで合体出来る。

 一号の後ろに、二号を差し込む形だな。

 金具で補強もしているし、拘束部には棘も付いているから、逃げれません。


「あっと言う間に、完成っと」


「これ、なににつかうの?」

 

「んっ? 煮豚さんを運ぶのに、使うんだぞ」


「にぶたっ」


 より正確には、一号に煮豚、二号に大臣で、その二つを合体させたら、完成だ。


「ドゥシャさん。拘束荷車が完成したって、ルシィに伝えて欲しい」


「……畏まりました」


「若干引いてね?」


「いえ、ドン引きに御座います。陛下にお伝えして参りますので、失礼致します」


 ドゥシャさんに、ドン引きされる様な事、してないよなって、行くの早い。


「どぅしゃのおかお、ひくひくしてた!」


「そんなに酷い物じゃ、無いのになぁ」


 こんなの、地球に数多有る、拷問道具と比べたら、単なるジョークグッツなのに。


「とげとげっ、いたそうっ」


「触っちゃ駄目だぞ。ちくちくしちゃうからな」


「にぶたのちぬきっ」


 流石、山で暮らしていただけはある。

 残念だけど、この荷車に乗るのは、食べられないに煮豚なんだ。


「あとは、夜を待つだけだな」


「あそぶっ」


「へいへい。ババ抜きでもするか」


「めっ! "へい"はいっかい!」

 

 そしてその夜、城の地下に案内されて、煮豚と大臣の、裁判が始まった。

 裁判と言う名の、処刑だけどね。

 裁判官は、女王のルシィ。

 傍聴席には、村長、リティナ、ニアノールさん、ミルン、ドゥシャさんの他に、数人の貴族達が居た。

 裁判は、恙無く進行。

 そしてとうとうっ、その時が来た。


「二人共、自らの罪を認めた事、儂がしかと聞きた。なれば、判決を言い渡す! 両名共に絞首刑に処す! 異論の有る者は前に出よ!!」


「その判決にっ、異議有りっ!!」


 異議を唱えたのは誰かって?

 勿論、俺です。

 るんるん気分で刑の内容を伝えて、大臣に顔を見せ、拘束荷車を合体っ!!

 ズボっと良い音を出しながら、豚野郎と大臣の処刑が、完了しました。



 これは、ほんの少し前の話だな。

 今は何をしてるのかって?

 ルシィの執務室で、仕事終わりの一服です。


 

「ミルンみれなかったのっ」


「流君に頼まれたのでな。すまぬのである」


「おとうさんっ!」


 ミルンのプチ怒、可愛いですよね。

 傍聴席にはミルンも居たけど、あんなモノを見せたく無くて、村長にお願いして、目隠しして貰いました。

 耳は、ドゥシャさんが、ガードしてたな。

 爺と煮豚の尻キッスからの、断末魔。

 ドゥシャさんがドン引きした理由、ようやく分かった気がするよ。


「むぅぅぅっ、はなしをきくのっ!」


「御免なミルン。あんな醜いモノを、ミルンに見せたく無かったんだ。明日のご飯を、肉三昧にするから、許して欲しいな」


「にくざんまいっ!?」


「そうだ。肉三昧だから、幾らでも、好きなだけ、お肉を焼くぞ?」


「じゅるっ……こんかいは、ゆるしますっ」


 ミルンの怒りは、お肉で鎮める。

 常識ですね。


「あないなもん見た後に、肉の話とか……ウチあれ見て、吐きそうやってんで」


「気持ち悪かったですぅ」


「ニアノールさんは兎も角、リティナは大丈夫だろ? 神経図太いし」


「喧嘩売っとるんか!? 流にーちゃん程っ、ウチの神経図太う無いわ!」


 俺の神経は、ごん太ですからね。

 毎日毎日仕事をクビになり、それでも村長宅で、優雅な朝御飯を食べてたからな。


「それで、いつ迄ここで、待てば良いの?」


「申し訳御座いません。もう間も無く、陛下がお越しになられますので」


「はいよ。紅茶が旨いから、良いけどさ」

 

 後処理でもしているのか、ルシィが来ないから、帰るに帰れないこの状況。


「くわぁぁぁっ、むにゅむにゅ」


「ミルンは寝とくか? 疲れただろ?」


「このままでっ、いいのぉ」


 もう良い子は寝るお時間です。

 ミルンは良い子だから、俺に肩車をされたままでも、頭を枕に寝てしまいそうだ。

 

「ベッドにお運び致しましょう」


「いんや、大丈夫。このミルンを、下手に動かそうとすると、俺の頭にしがみ付いて、首ごと持って行かれそうになるから」


「……面白そうに御座います」


「ドゥシャさんは、俺を殺す気かな?」


「冗談に御座います」

 

 冗談じゃ済まなくなるから、止めてね?

 首無し流さんには、なりたく無い。


「むにゃ、はなれないのぉっ」


 ほらねっ。ドゥシャさんが、余計な事を言っちゃったから、ミルンの万力パワーで、俺の頭がロックされました。

 

「頭がっ、割れたらっ、ドゥシャさんの所為だからねっ。ミルンっ! 力を緩めてくれっ!」


 頭蓋骨が、ミシミシ悲鳴を上げてます。

 普通に痛てぇっ!!


 ガチャッ────「まったく御主らは……儂の部屋で、何を騒いでおるのじゃ」


 今現在進行形で、頭がカチ割れそうになってるのだが、それよりも大事な事が出来た。


「ルシィ……部屋に入る時ぐらい、ノックしろよな。ミルンの教育に、悪いだろ」


「ここ、儂の部屋なのじゃが?」


「陛下。ミルン御嬢様の教育に、悪いかと存じます。再度、御入室下さいませ」


「ドゥシャまで、一体何を言うとるか!?」


「ルシィ」


「陛下」


 俺とドゥシャさんの、ガチ詰めです。

 例え女王と言えどもだ、姪っ子の教育に悪い事をしたら、改めて貰わんとな。


「おっ、御主らっ、ええぃっ! 分かったわ!」


 大股で部屋から出て行き、バンっと扉を閉める女王って、印象悪過ぎだろ。


 コンコンッ────『儂じゃ、入るぞ』


「儂って誰だよ。名前言わないと駄目だろ」


「陛下。ミルン御嬢様の、御手本となる様、お願い申し上げます」


 ゴンゴンッ────『ルルシアヌ・ジィル・ジアストールじゃっ。入るぞっ!』


「えっ、誰それ?」


「陛下のフルネームに御座います」


 そういや、ルシィルシィばっかり言ってたから、フルネーム忘れてたわ。

 貴族って、長い名前だよなぁ。


「むにゅ、うるさいのっ」


 ミルンのお目目が、パッチリしちゃった。


「だれかきたの?」


「誰も来てないぞ?」


 ドンドンッ────『そろそろ、怒るぞ』


「陛下、お入り下さいませ」


 今のルシィの声、本気だったな。

 怒ったら泣き出すの?

 それとも、やけに多い便所に籠って、大人の隠れんぼを実行するとか?


 ガチャッ────「儂、御主ら嫌いじゃ」


 あっ、ミルン起きてるのに、言っちゃった。


「きらいっていわれたの……」


「まっ、待つのじゃミルンやっ。別にミルンを嫌っとる訳じゃ無くてのっ、他の者に対して言ったのじゃっ」


「きらいっていわれたのっ」


「嫌っとらぬっ、嫌っとらぬぞっ」


 必死になって、ミルンに弁明するのは良いんだけど、あまり近付かれると、位置的に御山が揺れておりますよ、女王様。


「なぁニア。女王って、こんなんやったっけ?」


「どうでしたでしょうかぁ」


「朱に染まれば、赤くなるって奴やろか……」




 ルシィの弁明タイム、終了しました。

 ルシィに嫌いと言われたミルンは、心を癒す為に、結構な量のお肉を要求し、ルシィはそれを、快く了承した。


 椅子にダラっと座り、疲れてますアピールなんて、女王のする事じゃ無いよな。


「ふぅ……何やら疲れたのぅ。それでじゃ、魔王流。御主の案を、実行するに当たっての準備が、整うたわ」


「やっとかよ。結構時間かかったな」


「たわけっ。今回は、王命でなんとかしたが、普通であれば、一月以上はかかるのじゃぞ」


「そりゃあんがとさん。で、状況が整ったのは良いとして、勿論無料(タダ)って訳じゃ、無いんだろ」


 無料より怖いモノは無い。

 見返りの無い、善意なんてモノを信じる程、俺は若く無いからな。

 

「何か条件が有るなら、隠さず言ってくれ」

 

 こちとら日本で、社畜だった男だぞ。

 腹芸が苦手と言っても、年相応に対応は出来るから、無理難題はお断りしてやる。


「そうそう、条件であったな」


「やっぱりあんのかよ。アレだ、俺に出来そうな範囲で、且つ体力を使わず、且つのんびり出来そうな条件で、頼むっ」


「御主……相当駄目人間じゃのぅ。まぁ、条件と言うたが、簡単なモノじゃ。御主のやろうとしとる事を、"相談役"として、やり遂げよ。それが条件じゃな」


「……それだけ?」


「それだけじゃ」


 何それ、超楽出来るじゃん。

 初めてルシィが、格好良く見えるぞ。


「後から、アレしろコレしろは、無しだぞ?」

 

「疑り深い奴じゃの。御主のやろうとしとる事は、本来ならば、国が成さねばならぬ事。ならばこその、その条件なのじゃ」


「ルシィ……仕事しろよな」


「痛い言葉じゃ……流。ミルンを、儂の姪を救ってくれた事、感謝する。儂に出来る事が有れば、幾らでも言うが良い」


 そう言ってルシィは、頭を下げた。

 これを見たリティナが、『ぶほっ』と盛大に、茶を口から吹き出す程、有り得ない事だ。


「陛下……」


 ドゥシャさんも、流石に驚いたのか。


「御礼を述べるので御座いましたら、座ったままでは失礼に当たります。立って下さいませ」


 あっ、違ったわ。

 主人と言えども、容赦無く指導してるよ。

 怖いなぁ、このメイドさん。


「もう良いよ、ドゥシャさん。感謝の言葉が聞けたのなら、問題無しだ」


「旦那様。これは、ミルン御嬢様の為に御座います。旦那様の為では、御座いません」


「なぁルシィ……このメイドさん」


「流よ、何も言うで無いぞっ」


 このメイドさん、ルシィの部下だよね。

 何でこんなに、怖いのかな?

 

「ゴホンっ、話が逸れたの。では、ヘラクレス・ヴァントとやら、ここに座るのじゃ」


「ぬっ!? へっ陛下? 何故私にお声を……」


「良いから、さっさと来ぬか」


「ははっ!」

 

 急に名前呼ばれたから、驚いてるな。

 大丈夫だ村長、予定通りだから。


 ルシィの前に、村長が跪くと、ドゥシャさんが動き出し、何かをルシィに渡した。

 

「ラクレル村の村長、ヘラクレス・ヴァント。今回の族の討伐、見事であった。その功績を讃え、貴殿には今より、騎士の位と、報奨金を授ける」


「ははっ……はっ?」


 呆けている村長に、ルシィはそのまま、ドゥシャさんから渡された物を被せた。

 その物とは、マント。

 王直属の、臣下の証である。


「ルルシアヌ・ジィル・ジアストールが騎士っ、ヘラクレス・ヴァントに命ず!!」


 村長が呆けたままだけど、構わず進めようとするルシィは、やっぱり女王だわ。


「御主のラクレル村を、人種のみならず、多種族が豊かに暮らせる様、環境を整えよ。これは王命であるっ!」


「ボソッ(ミルンさんや、起きてるかーっ)」


「ボソッ(おきてるっ。うるさくて、ねむれないのっ。なにしてる?)」


「ボソッ(物凄く、面白い事だぞ)」


 とても簡単な話だ。

 人の居ないラクレル村を使って、ケモ耳達の住まう場所を、確保する。


「勿論、王都に避難して来た者達は、真心の水晶が無色、又は緑の者ならば、こちらで新たに、住居を用意させよう」


 それ以外の人達は、スラム行きだけどな。

 孤児院の皆んなを、ラクレル村に移動させるから、空いた土地に住まわせる。

 殆ど焼けてるけど、大丈夫だろう。


「騎士ヘラクレスよ。未だ、王都でも成し得ていない事ではあるが、其方に任せる」


 うんうん、村長固まってるわ。

 こう言うのって、不敬罪になるのかな。

 仕方無い、助けてやるか。


「村長。言葉返さなきゃ、駄目だぞーい」


「はっ!? ははっ! この命に代えましてもっ、必ずや、成し遂げる事を誓いますっ!」


「言い切ったなぁ。んっ? なあリティナ、口押さえて何して……」


 リティナの奴、笑いを必死に堪えてるぞ。

 まぁ、その気持ちは、分からんでも無い。

 俺も必死にっ、堪えてますからっ!


「おとうさん、どういうこと?」


「えっとな、孤児院の皆んなとで、ラクレル村に住みましょうって事だ」


「ミウたちと、くらす……っ、ほんと?」


「本当だぞ。他のケモ耳達も集まるし、友達いっぱい作ろうな!」


「ともだちっ! ひゃくにんっ!」

 

 そうっ! ケモ耳パラダイスだっ!

 村の管理は村長に任せて、俺は自由気ままに働いて、ケモ耳達と戯れる。


「頑張れよ村長! いや……騎士さぷふっ!」


 いかんいかん、村長が睨んで来るわ。


「流や。村の管理は、怠らぬ様にの」


「村の管理? それは村長の仕事だろ?」


 急にルシィが、何かを言い出した。

 ラクレル村の村長は、騎士ヘラクレスだろうに、何で俺が管理せにゃならん。


「御主、"相談役"を、断らなかったであろう。男爵位と同等の権限を持つ故、ラクレル村の管理は、御主の仕事じゃぞ」


「相談役? そんなの俺は、聞いてないぞ?」


「儂は言うたぞ。"相談役"として、やり遂げよとな。ミルンも聞いておったであろう?」


「いってたのっ!」


 ミルン、ちゃんとお話し、聞いてたんだね。

 でも、俺は聞いていないっ!

 男爵位相当って何!?

 相談役って、何の相談役なんだ!?


「嫌だっ! そんなの俺は聞いていないぞ! リティナは聞いてないよな? なっ? 聞いてないと言って下さいっ!」


「ウチに来おったっ。流にーちゃん、諦めーや。女王はちゃんと、言っとったで」


「嘘だっ! リティナは嘘を吐いている!」


「嘘ちゃうわ!」


 クソッ、俺はただっ、ケモ耳パラダイスを作れれば良かったのにっ。


「ミルンや。知らない貴族か、流。村の管理者に相応しいのは、どっちじゃと思う?」


「おとうさん!」


 肩の上のミルンに、裏切られたっ!?


「なぁミルン……良く考えてくれよ? 働きたく無いお父さんだと、管理者は無理だって」


「だいじょうぶっ。ミルンがてつだうの!」


 はいっ! 逃げ道無いです!


「くくっ、宜しくなのであるっ。相談役殿っ」


「村長……随分と、楽しそうだなっ!!」

 


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